【大学自動車部】団結力がパワーの源-工学院大学-

全国の大学や専門学校などの自動車部におじゃまして、日頃の活動風景や自慢の部員をレポート。今回は、工学院大学を訪問。部活動の様子と魅力について取材してきました。

工学院大学自動車部プロフィール

●部員数
15名 ※部員数は2016年2月取材時
部員紹介ページ

●部車
ホンダ・インテグラ(DC2)

●活動内容
毎週月曜日と金曜日の16:45~19:30に、八王子キャンパス内のガレージにて車両の整備を中心に活動している。運転練習は個人車でのサーキット走行や、部車を持ち込んでのジムカーナ走行を定期的に実施。また、サーキットを貸し切っての走行会の主催も行っている。

●活動実績
平成27年度 全関東学生ジムカーナ選手権大会 出場
平成27年度 全日本学生ジムカーナ選手権大会 出場
平成27年度 全日本エコドライブチャンピオンシップ 出場

部活動の主力は下級生が担う

工学院大学の歴史を辿ると、1887年(明治20年)に設立の「工手学校」にまで遡る事となります。
文明開化により急激な成長を遂げる産業の中核をになう技術者を育成するべく誕生した、日本で最も古い私立の工業実業学校で、現在は新宿と八王子の都内2箇所にキャンパスを持つ大学です。

工学院大学自動車部は、専用のガレージと部室を八王子キャンパスの一角に持っています。

工学院大学の学生はもちろん全員理系。しかもキャンパス内で活動出来る好立地という事で、 自動車部の学内での人気は高そうな気がしますが、実際のところはどうなのでしょうか? 2015年度の主将を務めた松本勇樹(まつもと ゆうき)さんに、詳しく伺ってみました。

実際にクルマを持ってしまえば、お金はどうにかなるものですよ!と話す松本さん。愛車のトヨタ・スターレットも自ら整備して維持費を安く抑える様に努めている

「実は、新入生の勧誘は毎年苦労しています。クルマに対して、お金がかかるというイメージが先行しているみたいですね。オープンキャンパスで見学に来た高校生達に自動車部の説明をしたことがありましたが、興味がある人は結構いると感じました。ただ、いざ勧誘の時期となると他の大学生らしい団体の方が魅力的に映ってしまうのかもしれません。」

車両3台が楽に収まるガレージは、もちろん部車優先だが個人のクルマも整備できる。中にはトランスミッションのオーバーホールに挑戦する部員もいる

学部にもよりますが、八王子キャンパスでは主に大学2年生までの授業が行われており、3年生からは新宿キャンパスがメインの学び舎となります。 そうした立地条件のためか、自動車部では2・3年生が活動の主力。4年生は実質引退した「現役OB」という立場となるそうです。こうした制度をとる部活は珍しくありませんが、工学院大学自動車部の場合、4年生は大会に出場する選手にもならないという決まりだとか。この仕組みは、数多くある自動車部の中でも少数派かもしれません。
自動車部の現在の部員数は15人で、その内訳は3年生が8人、2年生が2人、1年生が5人となっています。

ピンチを乗り越えて生まれた結束

部室を訪れた際に、第一印象として感じたのは部員の皆さんの仲の良さでした。
お互いに明るく声を掛け合い、作業中も連携が上手く取れています。

普段の活動のメインはガレージでの車両整備。八王子キャンパスに通う1年生と2年生が作業の主力となり、先輩に教わるうちに個人車の整備も身に付いてくるそうだ

4年生への進級を間近に控える現主将の松本さんは、入部して間もない頃から一学年上の先輩が居らず、下級生の頃から運営の中心となって活動を引っ張ってきた苦労人です。

そんな松本さんに、現在の雰囲気の良い部活動に至るまでの道のりを伺ってみました。

「本当は別に主将がいたのですが、2015年の4月に就任してすぐ突然辞めていなくなってしまうという事がありました。引き継ぎも全くなされず、提出書類や走行会の段取りなど、仕事が山積みの状態でした。アドバイスを貰いたくても上級生は卒業して1人もいない中、部員が一丸となって役割分担してピンチを切り抜けたという事がありました。結果的に、部がまとまるきっかけとなったのかもしれないです。」

とにかく皆話し好き。時に真剣に、時に冗談を交わしながら楽しく活動している

チームをまとめる手法は人それぞれで、正解は一つではありません。松本さんは、体育会的に厳しくするのではなく、信頼を得て徳で治めるという形を採ったそうです。
「ギスギスした雰囲気で部活をしたくないので、あえて緩くしている部分はあります。先輩後輩といった関係性だけで縛るのではなく、軽口や憎まれ口を叩きながらも、何かあれば協力し合える部活になりました。その反動かもしれませんが、どうも先輩としての威厳が足りてなかったかも?と思ったりもします。」と笑いながら話してくれました。 結果的に、お互いを認め合える関係性を核としたチームワークの良い部活動になっています。良いところも悪いところも率直に指摘し合える間柄は、大変貴重なのではないでしょうか。

今後さらなる飛躍に期待

アットホームな空気感が魅力的な工学院大学自動車部ですが、その活動の中心は学生自動車連盟主催のジムカーナ大会への出場です。来年度の主将を任される2年生の中里優(なかざと ゆう)さんに、大会に向けた意気込みを聞いてみました。
「去年までは試合車のインテグラの故障に泣かされました。ドライブシャフトが折れるトラブルが頻発しており、交換部品の購入で部の予算が圧迫されてしまって…。足回りの見直しにより改善されたので、今年はこれまで手が回らなかったダンパーのセッティング出しや、細かな部分まで追求して車両をリフレッシュしつつ速くしていきたいです。」

来年主将を務める中里さん(写真左)。愛車の日産・スカイラインは先輩から譲り受け、自分でコツコツ整備して車検を通したという

現在の3年生が進級して活動の第一線から退くとなると、他大学と比べて選手層が薄くなりがちです。新入生に沢山入部してもらう事が、今後の部活づくりには不可欠と中里さんは付け加えます。

「僕の学年は、人数が少ないので後輩達に頼らざるをえないという実情もありますが、その後輩たちが上級生になった時、同期が多ければ役割分担してお互いに支えあえますから。」

後輩たちの先行きも見通しつつ、新主将としては成績を以って部内の存在感を出していきたいとも語ってくれた中里さん。2016年度は全日本学生ジムカーナ選手権大会で入賞圏内を狙いたいとの事でした。

4月で2年生となる部員たちが、次の大会に向けて着々と準備を進めている

取材に訪れた際には、2月下旬に関東の自動車部有志により開催される新人ジムカーナ大会に向けて、1年生が中心となって整備や遠征の為の積み込みなどを行っていました。
2016年度シーズンに向けて準備に余念がない彼らですが、そのチームワークの良さを発揮して、きっと活躍してくれる事でしょう。興味のある学生さんはぜひ工学院大学の八王子キャンパスのガレージを訪れてみてはいかがでしょうか。

[ガズー編集部]