【大学自動車部】部長を中心にチームワークが自慢の部-大同大学-

全国の大学や専門学校などの自動車部にお邪魔して、日頃の活動風景や自慢の部員をレポート。今回は、大同大学自動車部を訪問しました。

大同大学自動車部プロフィール

部員数
29名 ※部員数は2016年12月現在
部員紹介ページ

活動内容
活動時間は、毎週月曜日と金曜日に授業終了後の16時10分から21時まで。全員ガレージに集合し、部会を行い、コミュニケーションをとったり、自分のクルマを整備したり、大会に向けてのミーティングを行う。

活動実績
2016年3月 全中部ダートトライアル大会優勝

50年の歴史という伝統を守り続ける部活

1939年、大同特殊鋼の出資により設立された教育機関で、ものづくりに強い中部産業界およそ30社の支援を受けて1964年に4年生の大同工業大学が設置されました。大同大学に校名が変更されたのは2009年と比較的最近のことです。多くのものづくり企業がバックアップしていることもあり、企業との連携が強いのが特徴です。優れた技術者を育てるための企業交流の場があり、さまざまなプログラムが用意されています。

ここ最近の大会のトロフィー。他にもたくさん飾ってあり、歴史を感じさせる

そんな大同大学の自動車部は大学となった1964年と同時に創部。50年以上の歴史があります。部室には多くの先輩たちの活躍の証でもある、輝かしいトロフィーがずらりと並んでいました。毎年9月に行われるジムカーナの大会を機に、部長を交代するのが習わしです。今回は9月まで部長だった鈴木崇司さんと、新部長の加藤碧流さんにお話を伺いました。ちなみに加藤さんの名前は、「あいる」。父親がアイルトン・セナが大好きだったから名付けたそうです。クルマ好きになるのも納得です。

前部長の鈴木さん(右)と、新部長の加藤さん(左)。連携もバッチリ!

「部活は週に2日ですが、それ以外の日でも、土日を含めてガレージは自由に使えます。ほとんどの修理などはここでできます。修理に出すと高いですから、お金をかけずに手間をかける。それが技術の向上にもつながりますから」と鈴木さん。工業大学だけに、皆さん機械いじりは得意という人が多いようです。「とにかくエンジン音にこだわる部員が多いですね。部車はホンダ車が多いからということもありますが、部員もホンダ車所有率が高いです」。と加藤さん。話を聞いている間も、あちこちで大きなエンジン音が響いていました。

2016年の全中部ダートトライアルで優勝した時の記念撮影。表彰台の一番高い所に立った時の快感と達成感は言葉にならないとか

毎年、ジムカーナとダートの両方の大会に出場しますが、どちらに比重を置くかは、その年の部長の考え方次第とか。部長の方針に部員が従って、まとまっていく。部長が部員に指示を出すと、一斉に動く。そんなチームワークのよさも見られました。大同大学が全中部ダートトライアル大会の主催大学ということもあり、前部長の鈴木さんはダートにこだわっていました。その成果は、2016年の優勝という結果に結びつきました。

福井県の雁ヶ原スキー場での練習風景。試合が近づくと練習にも気合が入り、先輩の指導も厳しくなる

一方、新部長の加藤さんはジムカーナに力を入れたいそう。鈴鹿サーキットで毎年行われる全日本市長杯があるのですが、3年前に連続出場が途切れてしまったからです。もう一度鈴鹿で走りたい!その思いを部員と共有し、夏場には月1回、オフシーズンにコースになる、福井県のスキー場まで練習に行っています。来年の8月に試合がありますが、予選でピットが使えるAグループに入ることを目標にしているそうです。

広々とした部室と充実の設備は企業支援大学ならでは

エンジンを釣り上げるためのエンジンクレーン。大学の部室にあるのは珍しい

ところで、企業支援が手厚い大学ならではのメリットは?と尋ねると、やはり設備的に恵まれているそう。クルマ2台分のガレージがあるところは珍しく、雨でも夜でも作業ができるのはありがたいようです。またピットはもちろん、エンジンクレーンがあるところも珍しいらしく、他大学からうらやましがられることも多いそうです。さらに、多くの道具を保管する物置が必要になりますが、大学がバックアップして購入、設置してくれるとのこと。週末に自分のクルマを持ち込んで、整備をする部員も多く、納得いくまでクルマをいじることができるのが嬉しいとの声が聞かれました。

自らのクルマのタイヤをホイールから外す作業をする部員。一通りの工具類も揃っているため、ほとんどの整備ができる

また、設備面のみならず、50年もの歴史があるゆえ、OBも多くいます。金曜日にはふらりと部室に来るOBもいて、交流を図っています。一緒に整備を手伝ってくれたり、時には自分のクルマの整備にやってきたり!?卒業後はやはりクルマ関連の企業に就職する人が多く、レースに参加する先輩も少なくはないとか。社会人でもジムカーナをやっている先輩が、部員と同乗走行して指導もしてくれるそうです。先輩のテクニックを盗む絶好のチャンスです。

自分のクルマのエンジンルームをチェックする部員。夜遅くまで大きなエンジン音をひびかせられるのも大学構内だからこそ

取材にお邪魔したのは金曜日の夕方。皆さん自分のクルマを持ち込んでいるようですが、クルマ通学は許可されているのでしょうか?「3年生の後期から全学部クルマ通学が可能になります。自動車部の部員は、たいてい1年生の夏休みからせっせとアルバイトをしてお金を貯めて、2年生に自分のクルマを買い、3年生から通学に使う、というパターンが多いですね。自分のクルマで通学するまでに、自分で整備ができるようになる部員が多いですね」と鈴木さん。

全中部ジムカーナ大会後の記念撮影。女子部員がいると記念撮影もこんなに華やか!

さすが工業大学。名古屋市内にある大学で、クルマ通学ができるとは、何とも羨ましい限りです。そんな話を横で聞きながら「整備は苦手ですよ。メンバーにやってもらうことも多いです」と話すのは、女性部員の藤田さん。現在女性部員は2名。それほどクルマに興味があったわけではないものの、気づけばクルマが好きになっていたという藤田さん。「ドリフトを体験して、すっかりはまってしまいました。まったくクルマのことを知らなかったのですが、ある程度は自分で整備もできるようになりました。複雑なものはお願いしちゃいますけど」。隣で笑っている部員たちと照れくさそうに顔を見合わせる藤田さん。部員同士の仲の良さが垣間見られました。

エンジンクレーンを使いながら、前部長の鈴木さんが後輩に指導。たまに部室を訪問するOBが指導してくれることもある

そんなチームワークのいい自動車部ですが、部長としての悩みもあるとか。「以前はもっと体育会系のノリで、練習も厳しかったのですが、少しずつ方向性が変わってきて『みんなで楽しくやる』という雰囲気になりました。退部する人が減って、それはそれでいいことなのですが、やはり大会でなかなかいい記録が残せなくなってしまいました。今年は1年生が多く、11人も入部しました。楽しい雰囲気もいいですが、少し意志の弱さみたいなものを感じます。クルマそのものが好きなだけというか。やはり大会に出て、もっと“走る“ことにシフトしていかなければと思っています」。と加藤さんは語ってくれました。

ダートトライアルの練習風景。得意のダートトライアルで2017年も優勝を狙う

まずは5月に行われるダートトライアルの結果次第で、翌年の大学からの予算が決まってきますので、いい成績を残すこと。そして夏の鈴鹿サーキットで行われるジムカーナの大会での本選走行を目指し、日々練習に励んでいる皆さんです。
いつかは全国レベルの大会に出場することを視野に入れて、新部長のもと、新たに動き始めました。

[ガズー編集部]