偶然は必然?66歳のオーナーが思いがけず出会った2002年式マツダ・ロードスターRS(NB8C)が教えてくれた世界

クルマ好きのオフ会やミーティングへ参加すると、気づけばクルマとは関係のない話題で盛り上がっていたという経験はないだろうか?もしかしたら、参加する理由は結局「クルマ好きな人が好き」だからなのかもしれない。

今回の主人公、66歳の男性オーナーも、偶然出会った愛車がきっかけで「人生が変わった」ひとりだ。定年退職直後に購入した2002年式のマツダ・ロードスターRS(NB8C)とは、ともに暮らして6年目。愛車とともにオフ会やミーティングへの参加を楽しんでいるほか、自らツーリングも計画しているそうだ。オドメーターは現在15万4000キロ、手に入れてからは7万キロを走っているという。

このマツダ・ロードスターRS(NB8C/以下、ロードスター)は、シリーズ2代目のモデルだ。オーナーの所有する個体は「RS」と呼ばれるグレードで、足まわり強化やボディの補強が施され、走りが重視されている。

1998年1月に登場、初代ロードスター(NA型)では1995年のマイナーチェンジの際に廃止された小排気量の1.6L(1597cc)エンジンを復活させ、1.8L(1839cc)との2バージョンがラインナップされた。ボディサイズは全長×全幅×全高3955×1680×1235。搭載される直列4気筒DOHC16バルブエンジンは、1.6Lで125馬力、オーナーが所有する1.8LのRSは160馬力を発生させた。

2代目は、大幅な変更が施されている。まず、初代に配されていたリトラクタブルライトは固定式に変わった。エクステリアデザインも初代にはなかった流線型が多用され、グラマラスなボディになった。

オーナーがこの個体と出会ったきっかけは?

「60歳で定年退職してから、しばらくデスクワークをしていました。ずっと座りっぱなしなので体がなまってしまうんですよね。子どもたちは独立してそれぞれ家庭を持っているので、そろそろ憧れの2シーターに乗りたいと考えていたところでした。そこで、中古車サイトを検索してみたところ、近所のディーラーにこのロードスターが置いてあったんですね。店で応対してくれた担当者が偶然にも初代ロードスターのオーナーで、わざわざリフトアップしてまで車体を見せながら丁寧に説明してくれました。そして、その日のうちに契約してしまいました(笑)」

オーナーはもともとロードスターに乗りたかったのだろうか?

「昔から自動車誌をよく読んでいたので知っていて、2シーターオープンを考えたときに自然と浮かんできただけです。BMW・Z4もいいなと思っていましたし。もし、そこにあったのが初代ロードスターでも買っていたでしょう。ディーラーの担当者と出会っていなかったら、買っていなかったかもしれないです。本当に偶然なんですね」

ロードスターに乗りはじめて、変化したことはあったのだろうか?

「所有したことで急に世界が広がりましたね。実は、ディーラーの担当者に勧められてカーライフのSNSをはじめたんです。それがカルチャーショックでした。オフ会の情報も豊富ですし、さまざまなオーナーと繋がりました。やがて、オフ会へ参加するために遠出もするようになりましたね。ロードスターは全国的なオフ会が多いんです。軽井沢、兵庫、富良野へも行きました。ロードスターと一緒にフェリーで北海道まで出掛けてしまう行動力に、自分でも驚いています。カメラを持ち出して写真を撮るようにもなりました。もはやロードスターは『生活の中心』と言ってもいいですよね」

SNSでの交流を通じて、気がついたことを伺ってみた。
「ネットのエチケットや交流マナーを学べたことですね。相手の顔が見えないぶん、つい書きすぎてしまうこともあるじゃないですか。そういうときは、友達がそっとメッセージでフォローしてくれたり…。私の周囲は、気配りのできる方が多いと思います」

ネット(SNS)があってこその交流は、今やカーライフにおいて、欠かせない存在になっていると言っても過言ではないだろう。

オーナーは平日休みの仲間と交流するため、平日のツーリングも月1度のペースで開催しているという。

「平日休みの友達とは一緒に過ごせないので、なるべく月イチで開催しています。地元中心ですが、県外まで足を延ばすこともあります。ルートや休憩場所は、あらかじめ下見をして決めますね。ひと手間かけるのが大切だと思っていますが、開催することがストレスになると続かないので、無理せず楽しむことを心がけています」

ロードスターがすっかり「生きがい」となっているオーナーに、これまでの愛車遍歴を尋ねてみた。

「スバル・1000スポーツ、ミニクーパー、フォルクスワーゲン・ビートル、ホンダ・アコード、シビック(ワンダーシビック)、サーブ・9000、スバル・レガシィなどです。冬場はクルマでスキーに行くので、じつは今まで所有してきたクルマはFFや4WD、RRばかりで、FRはこのロードスターがはじめてなんですよ」

数多くのクルマを乗り継いできたベテランだ。そんなオーナーに、人生観を変えた1台を尋ねてみた。

「ロードスターをおいて他にはないです。ロードスターに偶然出会ったおかげで、こんなにも人生が豊かになっているので。ロードスターのオーナーのなかにもさまざまな人がいて、いろんな話が聞けるという意味でも人生観が変わっています。スポーツとしての走り、個体を愛でること、機械工学的な話まで本当に幅広い知識が得られます」

愛車のいちばん気に入っている点は?

「NB特有の、リアから見たフォルムがセクシーである点でしょうか。例えるなら、成熟した女性のボディラインを思わせる、グラマラスな美しさを感じます。例えエアロを着けていなくてもサイドの抑揚のついたラインは好きですね。リアフェンダーの盛り上がりもいいです」

走りの面で気に入っている点はあるのだろうか?

「FRのコーナリングの気持ちよさが解ってきました。エンジンを回しながらクイックに『後ろ脚を蹴っていく』ような、気持ちいい旋回性を感じられるのが好きです。FFのタックインとはまた違った魅力がありますよね」

オーナーの個体は、アイラインや、マツダスピード製のエアロ、スポイラーなど、前オーナーが装着していたものをそのままに乗っているそうだ。新たに施したモディファイを伺ってみた。

「基本はソフトチューニングです。真っ先に交換したのがMOMO製ステアリングとシートでした。シートは空力パーツの会社が手がけるFATRA STYLING社のエスケレートというブランドのものです。ここのオーナーが初代ロードスターを買ったとき、合うシートがないので自分で作ってしまったというエピソードを聞いてから買おうと決めていました。エアクリーナーはK&Mの純正タイプのものを、エキマニはマキシムワークス、マフラーはオートエクゼです。ファッションバーは定番のK.G.Works。足まわりはBLITZのものと交換しています。あと、ターボ用強化クラッチとエンジンレスポンスにもこだわりたくなって、フライホイールも交換しました」

今後のモディファイの予定は?

「そろそろ故障が増えてくると思うので『弄り』よりも『維持り』を重視したいですね。ラジエーター本体、ハブベアリング、タイミングベルト、エンジン補機類など、そろそろ来るだろうなという部分を予防整備していきたいです。より永く楽しむために…」

愛車に乗るうえでこだわっている点は?

「キレイに保つことですね。夏はハードトップを着けています。トヨタ・FJクルーザーのベージュと白のツートンカラーを見たときにピンと来て、ハードトップをベージュに塗装してもらいました。汚れないように雨の日はなるべく乗らないようにしていたんですが、ツーリングで降られてからは開き直ってジャブジャブ洗っています。水をかけることは、幌の雨漏りの確認にもなりますから。それから、なるべくオープンドライブを楽しむこと!先日のツーリングも、 12月の風花(かざはな)のなか、ずっとオープンで走っていました。ヒーターが効くので、足下は意外と暖かいですよ」

オープンドライブは冬も気持ちいい。体はヒーターで暖かく、顔だけ冷えてまるで「露天風呂」のような気持ち良さを味わえるのだ。

今後、愛車にどう接していきたいかを伺ってみた。

「そろそろ70歳が見えてきたし、この2代目ロードスターも、生まれて20年を迎えました。先日横浜で、2代目ロードスターの誕生日オフ会があったんですけど、その日が偶然、私の誕生日でもありました。これからも、できるだけ手を掛けてあげたいと思います。それだけ永く一緒に居られるということですから」

最後に、今後のカーライフについてと、次に乗り換えたいクルマを伺ってみた。

「考えてもいないのですが『アガリの1台』があったとしたら、きっとスポーツカーになると思います。しかもロードスターは手放さず、増車になるでしょうね(笑)。でも最後は、いろんなものが『ゼロ』で終わりたいとも思っていて、そのときクルマはどうなっているかわかりません。ただ、自動運転車には一生乗らないと、あえて言っておきます(笑)。その頃には運転免許を返却しているかもしれないし、自動運転のクルマが普及して従来のクルマが公道を走れなくなり、サーキットで楽しむ以外に方法がなくなったとしてもMT車には乗っていたいです。結局、クルマが好きなんでしょうね」

クルマは「コミュニケーションツール」だ。なかでもロードスターは、その役割が強いと感じている。ロードスターのミーティングや「おはよう集会(朝のカーミーティング)」が多いのも「クルマ好きな人が好き」なロードスターオーナーの大きな特徴なのだろう。

もちろん「一人が気楽」と敬遠するオーナーもいるが、一度試しにミーティングやオフ会へ参加してみてはいかがだろうか。そこから広がる世界は“偶然にも”かけがえのない存在となるかもしれない。

(編集: vehiclenaviMAGAZINE編集部 / 撮影: 古宮こうき)

[ガズー編集部]

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