“袖振り合うも多生の縁”を実感。2014年式ダイハツ コペンRobe(LA400K型)

ご自身の愛車遍歴のなかで、オープンカーが含まれている方はどれくらいいるのだろうか。

憧れているけれど、実用的じゃないし、荷物も積めない。大人数で移動ができない…などと、ついつい否定的な要素を並べて、敢えて選択肢から遠ざけている方がいるかもしれない。

セカンドカーとしてオープンモデルを所有したいと思ったとき、ネックになるのは維持費だ。しかし、日本には軽自動車という規格がある。おかげで一定額の維持費を軽減することが可能だ。そして、ありがたいことに「軽自動車のオープンカー」といった特殊なカテゴリーのクルマを購入することもできる。今流行りのトールワゴンタイプの軽自動車と比べたら、販売台数は見込めないし、自動車メーカーにとって決してドル箱とはいえないモデルかもしれない。
それでも、軽自動車の維持費のメリットとオープンカーがもたらす開放感を享受できるのは、自動車メーカーにクルマを運転することをもっと多くの人に楽しんで欲しい(=FUN TO DRIVE)、という想いがあるからこそなのだろう。

今回の主人公であるオーナーの年齢は56歳。かつて、フェラーリF430のオーナーとして、愛車広場のコーナーにご登場いただいた方でもある。少年時代にスーパーカーブームの洗礼を受け、憧れの存在だったフェラーリを手に入れたオーナー、現在もF430は健在だという。今回は、もうひとつの夢であった「オープンカーを手に入れること」を実現させるまでの経緯を伺うことにした。

「このクルマは2014年式ダイハツ コペン Robe(LA400K型/以下、コペン)です。手に入れてから3年、現在の走行距離は、約2万8千キロです。手に入れてから約2万5千キロ乗りました。このクルマのオーナーは私ですが、妻の移動の足としても活躍してくれています」

ダイハツ コペンがデビューしたのは2002年のことだ。それから12年後、2代目にフルモデルチェンジしたのは2014年だった。オーナーが所有する「Robe」の他、「XPLAY」や「Cero」、それぞれに「S」モデルが設定されるなど、さまざまなバリエーションを展開している点も魅力のひとつといえる。さらに2019年には、第4のモデルとなる「GR SPORT」が追加された。

さまざまなモデルバリエーションが展開されているコペンだが、ボディサイズは全グレード共通の全長×全幅×全高3395×1475×1280mm。「KF型」と呼ばれる、排気量658cc、直列3気筒DOHCインタークーラーターボエンジンが搭載され、最大出力は64馬力を発揮する。ちなみに、2代目コペンの車名に込めた思いは「Community of OPEN car life」であり、同時に「CoupeとOpenの両方の良さをあわせ持つクルマ」という意味合いも持つ。その名に恥じない魅力を持つクルマであることは、おそらく誰もが認めるところであろう。

さて、さっそくもうひとつの夢であった「オープンカーを手に入れること」について語っていただこう。

「結婚して子どもが産まれてからしばらくは、趣味を封印してミニバンを何台か乗り継いできました。子どもたちが成人して社会人となり、やっと自分の趣味車が所有できるようになったのが45歳のときでした。このとき、ようやく趣味車である日産フェアレディZ(Z32型)を手に入れることができたんです。その後、ホンダNSX(NA1型)や、いわゆる“ハコスカGT-R仕様”を乗り継いで、数年前には念願のフェラーリF430を手に入れることができました」

家族のために良き父親に徹したオーナー。子育てのあいだは趣味であるクルマで楽しむことをぐっと堪え、お子さんたちを立派に育てあげたオーナーに対して「自分へのご褒美」があってもいいはずだ。

「クルマ好きとして、男の夢であったフェラーリを手に入れることができたのは、言葉に表現できないほどの喜びでしたね。そして、もうひとつの夢であるオープンカーを手に入れる際の条件として『妻も日常の足として使えること』『夫婦で旅行にも行けるクルマであること』『予算を抑えつつ維持費が掛からないこと』がテーマでした」

この記事を読んでくださっている方のなかには「フェラーリにもスパイダーモデルがあるのでは…」と思った方がいたに違いない。そんな方にこそ、前回、取材させていただいたこちらの記事に目を通してみて欲しい。欲しいクルマを手に入れるには「タイミングと縁と勢いが大事」だということがご理解いただけるはずだ。

話を戻そう。前述の3つのニーズに応えられるクルマとしてオーナーが導きだした答えは「軽自動車のオープンカー」だった。そうなると、ホンダ S660かダイハツ コペンの2択になる。

「結果的に、荷物が積めて実用性を兼ね備えたコペンを選びました。S660も気になったのでディーラーで現車を確認、妻と2人で旅行するとなると荷物の置き場所がないことを実感しました。いまでもS660の潔さはとても好きですけれど…」

こうして理想のコペン探しがはじまった。3つのテーマのひとつである「予算を抑えつつ維持費が掛からないこと」。コペンを新車で購入すれば、諸経費を含めると総額で200万円を軽くオーバーする。しかし、手間と時間を掛けてコンディションの良い中古車を見つけ出すことができれば、初期費用をグッと抑えられる。

「妻からも購入OKの許可が下り、中古車検索サイトで気になる物件を“お気に入り”登録して毎日のように探していました。初代モデルのデザインも好きですが、少しでも新しい方がいいだろうと現行モデルに的を絞りました。トランスミッションはMTとCVTが選べますが、コンディションを優先したので、敢えてこだわりませんでした。妻はMT車の運転ができるので、“できればMT車が欲しい”が本音でしたけれど…(笑)」

こうして見つけ出したコペンは、まさに「出物」といってよい条件を兼ね備えた個体だったという。

「ある日、目に留まったのが、自宅の隣県にある中古車販売店が公開したばかりのコペン RobeのMT車でした。3年落ちで走行距離は3000km台、純正ナビつき。さらに純正オプションが豊富に装備されていた理想的な個体だったんです。すぐさま連絡を取り、まだ現車が売れていないことを確認。担当してくれた営業担当の若い男性の方がとても熱心で、私の希望についても『本日中に決めてくださるなら…』と、上司の方にも掛け合ってくれました」

オーナーのように「本気モードでクルマを探している」ライバルは1人ではない。出物であればなおさらだ。躊躇しているうち、あっという間に他の誰かに押さえられてしまう。つまり「早い者勝ち」だ。現在、コンディションの良い中古車を探しているとしたら…いつでも即断即決可能な環境を整えておく必要があることは、この際なので声を大にしてお伝えしておきたい。

今回は担当してくれたセールスマンの人柄にも恵まれ、オーナーにとって理想的な条件でコペンを購入できたことは間違いなさそうだ。

「実際に納車されてから調べて驚いたのですが、DIATONE製の純正カーナビをはじめ、シートカバーやスカッフプレート・フロアマット&イルミネーション・シフトノブ・カーボン調のインパネパネル&ドアミラーカバーやフロントピラーガーニッシュ・LEDフォグランプ・オートライトシステム・メッキ調ロールバーカバー・リアのルーバーガーニッシュ&ロアガーニッシュ・フューエルリッドガーニッシュといった、カタログに掲載されているありとあらゆる純正オプションが装着されている個体でした。ざっと計算してみたところ、オプション費用だけで70万円近い金額になることが分かりました。私が追加で取り付けたのは、フロントのルーバーガーニッシュ(ヘッドライト下の3本のアイライン)くらいです」

諦めず、じっくりと出物を待ち、ここぞというときには即断即決。その結果、新車で購入する際には躊躇してしまうような「フルオプション状態」の個体と巡り会うこともある。これこそ中古車探しの醍醐味といえるだろう。こうして手に入れた念願のオープンカー。以来、手に入れて3年とのことだが、その感想を伺ってみた。

「電動で屋根が開くので、7割はオープンの状態で走らせていますね。一度、この開放感を味わってしまうと、屋根を閉じたときに圧迫感があると思えてしまうほどです。ただ、妻からは『屋根を開けるときは自宅から離れているときにして!』といわれています(苦笑)。日差しが強いときに屋根を開けるのも嫌がりますね。これは仕方がないと思っていますが…。走りに関しては、常々乗り心地が硬いと感じていました。インターネットでオーナーレビューを調べてみると同様の意見は少ないようですが、タイヤサイズを思い切って2インチダウンして14インチにしました。現在のタイヤサイズは175/65R14です。ホイールもガンメタリック調にして足元を引き締めつつ、インチダウンしても違和感がないようにバランスよく見せる技はかなり研究しましたね」

オーナーのコペン Robeの純正タイヤサイズは165/50R16だ。通常、タイヤ&ホイール交換をする場合、インチアップするのが定番といえるだろう。しかし、オーナーのコペンは、見た目を損なわずインチダウンし、ご覧のとおり見事なバランスを保っている。これは乗り心地の硬さに悩むコペンオーナーにとって参考になるかもしれない。

実は、オーナーには他にも気になるクルマがあるという。

「スズキ アルトワークスのATモデル(5AGS搭載車)にも興味があるし、それから、エブリィ バンの車中泊仕様です。いわゆる"軽バンの車中泊仕様"ですね。軽自動車だから維持費も安いし、高速道路の料金も軽自動車枠です。エブリィ バンで実践する車中泊の楽しみかたを、YouTubeを観て研究しているところなんです」

バイクも好きだというオーナー。さらに鉄道に関する知見も豊富だ。クルマに関する「守備範囲」も、今回取材させていただいたコペンや、軽バンの車中泊仕様、そしてフェラーリと実に広範囲である。おそらく、オーナーは根っからの乗り物好きなのだろう。さらに、一人で楽しむのではなく、あくまでも奥さまと一緒にという視点でクルマを選んでいる点にも優しい人柄が垣間見える。最後に、この愛車と今後どのように接していきたいか伺ってみた。

「仕事が休みの日に1人でコペンをドライブするのもいいけれど、やはり夫婦で出掛ける時間を大切にしたいと思っています。コペンなら、その両方を叶えてくれるクルマなので理想的です。それと、オーナーになって初めて気づいたんですが、コペンオーナー同士の絆の強さを感じますね。暗黙の了解なのか、すれ違うときに手を振り合う文化があることに気づいたんです。素敵なことだと思うので、私も布教活動に一役買いたいですね」

バイク乗りや、ハイキングなど、見知らぬ人同士がすれ違う際に挨拶を交わす文化がある。もちろんクルマにも同様の文化が根付いていると聞いていたが、コペンオーナーのあいだでも浸透しているとは…今回の取材を通じて初めて知った。そんな文化が自然発生的に生まれるのも、このクルマが多くのユーザーに愛され、所有する喜びを共有する文化が確立されていることを意味するのだろう。

まさに「袖振り合うも多生の縁」。夫婦で照れくさそうに、しかし笑顔で手を振ってくれるコペンが対向車線に見えたら…。全国各地にいるコペンオーナーは躊躇することなく手を振り返して欲しい。そんな何気ない交流ができるのも、コペンというクルマが多くの人を惹きつけて離さない名車としての何よりの証であり、オーナーにとって誇りといえるのだから。

(編集: vehiclenaviMAGAZINE編集部 / 撮影: 古宮こうき)

[ガズー編集部]

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