新型セレナの「プロパイロット」を試してみた!

昨今の自動車業界で話題を集めている技術のひとつが自動運転だ。米テスラなどがリードしている技術だが、昨年8月より発売された日産のセレナには、国産車初となる同一車線自動運転技術「プロパイロット」が搭載されている。この機能を試す機会を得たので、実際に高速道路で使ってみた印象をお伝えする。

そもそもプロパイロット機能とは

試した感想を語る前に、「プロパイロット」について紹介しよう。これは、高速道路などで同一車線をキープしながら走行できる機能のこと。さらに前を走るクルマとの車間距離を保ち、前方のクルマが減速すると自動的に減速を行う。

設定メニューの「運転支援システム」でプロパイロットの設定ができる
前方車の追随は100km/hまで対応。プロパイロットの速度設定は114kmが最大となっていた

このため、「自動運転」という言葉の持つイメージとはちょっと違うかもしれない。高速道路の緩やかなカーブでは自動的にハンドルを切ってくれるが、交差点を曲がって目的地まで行ってくれるといった自動運転ではなく、あくまでも”同一車線自動運転技術”なのだ。この機能は、単眼カメラのみで実現している。

プロパイロットによる自動運転にチャレンジ

早速、新型セレナで高速道路に入り、プロパイロットによる同一車線自動運転を試してみる。利用は非常に簡単だった。キープしたいレーンに入ったら、ハンドルにある「プロパイロット」ボタンを押す。あとは左隣にある、セットスイッチの上下を押して、車速をセットするだけだ。

ちょっと見えにくいがハンドル右側にプロパイロットボタンがある

自動運転といってもハンドルから手を放していいわけではない。10秒以上ハンドルから両手を放すと、警告が鳴る。このため、常にハンドルに手を添えている必要はある。しかし、アクセルやブレーキはプロパイロット機能におまかせ。設定した速度をキープして走ってくれる。また、車線を認識するため、高速道路の緩やかなカーブでは自動的にハンドルを切ってくれる。慣れるまでは、勝手にハンドルが動くのが怖かったが、慣れてくると手は本当に“添えているだけ”になった。

設定した速度をキープしながら、走ってくれる

しばらく走行していると、前方のクルマに追いつくシーンがあった。すると、メインディスプレイに前方車が表示される。車間距離が詰まると自動的にブレーキがかかり、車間距離を維持しながら走行してくれる。

自動運転ではあるが、手は添えている必要がある

このとき、先行車の速度が自分のペースより遅い場合、追い越し車線に移って追い越したい。プロパイロット機能がオンのときはハンドルを軽く切っても自動的にハンドルを戻すが(強く切るとオフになる)、ウインカーを出すと自動的にプロパイロットが切れるのだ。このため、スムーズに車線変更ができる。あとは再びレーンに戻ったら、プロパイロットをオンにすればいい。

先行車をカメラとセンサーが認識したところ。車間距離も認識している

100km前後だと思うが、日産の同一車線自動運転技術「プロパイロット」による運転を試すことができた。著者は毎年2、3回帰省のために片道400km超のロングドライブをしている。このとき、このプロパイロットがあると、すごく楽だろうなと感じた。また、同時に緊張感がなくなることの怖さも感じた。

もちろん、ハンドルから手を放すわけではないので、運転姿勢は崩さないし、先行車に近づくと自動的に減速してくれるので衝突の心配は非常に小さくなる。とはいえ、アクセルに足を置いていない状態で走っていると、いざというとき、サッとブレーキを踏めるか不安に感じた。

しかし、長距離ドライブのサポートとしてはあると楽なのは事実だ。また、高速走行時だけでなく、渋滞時にもハンドル、アクセル、ブレーキを制御してくれるのも便利。まだまだ機能は限定的ではあるが、高速道路に乗る機会が多い方には、魅力的な機能だといえるだろう。

(コヤマタカヒロ+ノオト)

[ガズー編集部]