【三菱 デリカD:5 新型試乗】新型を選ぶべき“絶対的”な理由がある…まるも亜希子

三菱 デリカD:5 新型
◆斬新なフロントマスクに仰天

「デリカじゃなきゃダメ」という熱狂的なファンを持つ、本格SUV並みのオフロード性能を備えた唯一無二のミニバンは、果たしてどの道に進むのか。

私も1ファンとしてヤキモキしながら登場を待っていたが、最初に見た外観写真は衝撃的だった。2世紀くらい先のデリカの子孫を見ているような、斬新なフロントマスクに仰天。

でもよくよくコンセプトを聞いてみると、唯一のオールラウンドミニバンとしての期待に応えつつ、最新のライバルたちとも真っ向勝負する装備や都会的な上質感を手に入れるための進化とのこと。

なるほど、そこをどう両立させたのか、楽しみにして試乗会場へと向かった。

◆旧型デリカD:5をおさらい


まずはおさらいのために、旧型から試乗してみる。

ディーゼルエンジンらしい音が室内にも響く中、加速は最初こそ重さを感じるものの、強大なトルクでぐんぐんと引き上げられ、高速域まで悠々と達していく。

段差を乗り越えるとゴツンと振動はくるが、収まりも早く、ミシリとも言わないさすがのボディ剛性に感心。

ハンドリングだって穏やかではあるが、決して応答が悪いわけではなく、オフロードならちょうどいい操作感だろう。

全体的に大味なところはあるが、まだまだ旧型でも満足度は高いと感じた。

その感覚を忘れないうちに、新型へと乗り込んだ。

◆見た目以上に進化した走り


エンジンは2.3リットル直4ディーゼルターボで、型式こそ同じだが中身のほとんどが新設計。トルクが20Nmアップの380Nmとなり、2022年から施行される新しい排ガス規制にも対応するため、新たに尿素SCRシステムを採用した。

トランスミッションは旧型の6速から8速ATへと進化して、サブフレームを新設計。それによってボディ剛性もアップしているという。

エンジンをスタートした瞬間に、まず驚いたのはその静かさ。エンジン音がほとんど室内には響かず、振動もとても小さく抑えられており、言わなければディーゼルだとわからないほどではないだろうか。

そしてアクセルペダルを踏んでいくと、最初のひと転がりめのなめらかさに再びビックリ。そのままスーッと上質な加速フィールが続いていき、ボディ全体のカタマリ感と相まって、クルマとの一体感がしっかり感じられる。

スラロームをしてみても、ボディが軋んだりグラリとねじれたりするようなことがなく、旧型に輪をかけてガッシリと守られている感覚だ。

しかも、今回からデュアルピニオン式に変更されたステアリングの操作感が、とてもレスポンスよくスムーズ。思わぬところでスカッと軽さが出たり、そういう違和感がないことに感心した。

直線路で強めにアクセルを開ければ、パワーみなぎる加速も手に入る。これなら長距離ドライブもまったく苦にならないだろうと思えた。

そして次はオフロードにもチャレンジ。8速ATは悪路走破性アップのために、1速で約8%のローギヤード化をはかり、デュアルピニオン式の採用も、モーグルを素早く走り抜けることにつながっているという。

ややぬかるんだ泥の急坂を、走行モードダイヤルで「4WD」を選ぶだけでグイグイと登りきり、1輪が浮いた状態で「4WDロック」を選べば、難なく脱出。

旧型との比較はできなかったが、個人的な感覚では滑りやすい路面でタイヤが空転するロスがだいぶ減り、より賢く走れるようになっている気がした。

◆絶対に新型を選んだ方がいい!


こうしてオンロード、オフロードともに、新型の走りは「お見事!」と深く納得させられる出来栄え。

大事な家族を乗せる、というだけでなく、どこを走っても「守ってくれる」という感覚が得られるミニバンは、やっぱりデリカD:5だけだと改めて実感した。

そしてもう一つの見所でもあった、インテリアの質感や装備の充実度は、ライバルと比べても十分、対抗できる空間になっていると感じた。

とくにシートの座り心地、たっぷりとしたスペースが、3列目までしっかりと確保されているのが大きなアドバンテージ。

細かな要望を言えば、サイドウインドウに純正のロールサンシェードが付いていればもっと良かったのだが、パワースライドドアにウェルカム電動スライドドア機能が加わったり、スイッチ二度押しでロック機能が付いたりと、子育て世代に嬉しい使い勝手と先進の安全装備が揃ったのは素晴らしいところ。

外観デザインに好き嫌いはあるかもしれないが、もし好みではないとしても絶対に新型を選んだ方がいい! そう心からオススメしたいと思う。


■5つ星評価
パッケージング:★★★★
インテリア/居住性:★★★★★
パワーソース:★★★★★
フットワーク:★★★★★
オススメ度:★★★★★

まるも亜希子/カーライフ・ジャーナリスト
映画声優、自動車雑誌『ティーポ(Tipo)』編集者を経て、カーライフ・ジャーナリストとして独立。 現在は雑誌・ウェブサイト・ラジオ・トークショーなどに出演・寄稿する他、セーフティ&エコドライブのインストラクターも務める。04年・05年にはサハラ砂漠ラリーに参戦、完走。日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員、AJAJ(日本自動車ジャーナリスト協会)会員。



(レスポンス まるも亜希子)

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