【試乗記】ボルボV60クロスカントリーT5 AWDプロ(4WD/8AT)

ボルボV60クロスカントリーT5 AWDプロ(4WD/8AT)【試乗記】
ボルボV60クロスカントリーT5 AWDプロ(4WD/8AT)

オマケが目当て

ボルボの新たな「60シリーズ」に、オフロードの走破性能を高めたクロスオーバーモデル「V60クロスカントリー」が加わった。何かと評判のいい新世代ボルボ、その最新モデルの出来栄えをチェックする。

多めに上げてます

新型「ボルボV60クロスカントリー」は2019年4月に発売されたばかり。他の「60/90シリーズ」と同様、モジュラープラットフォーム「スケーラブル・プロダクト・アーキテクチャー」を採用している。
新型「ボルボV60クロスカントリー」は2019年4月に発売されたばかり。他の「60/90シリーズ」と同様、モジュラープラットフォーム「スケーラブル・プロダクト・アーキテクチャー」を採用している。
ボディーのスリーサイズは全長×全幅×全高=4785×1895×1505mm。専用バンパーやホイールハウスへのガード装着などにより、「V60」よりも15mm長く、45mm幅広く、70mm高くなっている。最低地上高は「V60」よりも65mm高い210mm。
ボディーのスリーサイズは全長×全幅×全高=4785×1895×1505mm。専用バンパーやホイールハウスへのガード装着などにより、「V60」よりも15mm長く、45mm幅広く、70mm高くなっている。最低地上高は「V60」よりも65mm高い210mm。
バンパーだけでなく、シルバーのドットを配したフロントグリルは「V60クロスカントリー」専用デザインだ。
バンパーだけでなく、シルバーのドットを配したフロントグリルは「V60クロスカントリー」専用デザインだ。
リアバンパーには「CROSS COUNTRY」のロゴが刻まれている。
リアバンパーには「CROSS COUNTRY」のロゴが刻まれている。
ボルボといえばステーションワゴン(エステート)という時代が、かつてあった。日本車では「レガシィツーリングワゴン」や「アコードUSワゴン」が人気だった90年代だ。日本でも人気の高かった「850」は、欧州のツーリングカーレースにエステートで参戦した。

そんな時代の正統ボルボ・エステート復活を期したのが、2018年夏に国内導入した新型「V60」。その中型ボルボワゴンにもクロスカントリー(CC)が加わった。

ふつうのV60より最低地上高を65mmかさ上げし、2リッター4気筒ターボの「T5」ユニットに4WDを組み合わせたのがクロスカントリーである。これまでの「V60 T5」はFFのみ。四駆は、後輪をモーター駆動する「ツインエンジン」(749万円より)しかなかった。しかしこれは4WDよりまず「電動化ありき」のプラグインハイブリッドである。クロスカントリーはV60待望の実用四駆モデルともいえる。

ちなみに210mmの最低地上高は「V90クロスカントリー」と同じで、アウディA4オールロードクワトロ(170mm)やスバル・レガシィアウトバック(200mm)、フォルクスワーゲン・パサート オールトラック(160mm)などより高い。ヨソより多めに上げてます。

グレードは「T5 AWD」(549万円)と、同「プロ」(649万円)の2種類。グレード名の扱いは変わったが、「モメンタム」「インスクリプション」の呼称を使い分けているV60 T5と比べると、クロスカントリーのお代はいずれもプラス50万円である。

新型「ボルボV60クロスカントリー」は2019年4月に発売されたばかり。他の「60/90シリーズ」と同様、モジュラープラットフォーム「スケーラブル・プロダクト・アーキテクチャー」を採用している。
新型「ボルボV60クロスカントリー」は2019年4月に発売されたばかり。他の「60/90シリーズ」と同様、モジュラープラットフォーム「スケーラブル・プロダクト・アーキテクチャー」を採用している。
ボディーのスリーサイズは全長×全幅×全高=4785×1895×1505mm。専用バンパーやホイールハウスへのガード装着などにより、「V60」よりも15mm長く、45mm幅広く、70mm高くなっている。最低地上高は「V60」よりも65mm高い210mm。
ボディーのスリーサイズは全長×全幅×全高=4785×1895×1505mm。専用バンパーやホイールハウスへのガード装着などにより、「V60」よりも15mm長く、45mm幅広く、70mm高くなっている。最低地上高は「V60」よりも65mm高い210mm。
バンパーだけでなく、シルバーのドットを配したフロントグリルは「V60クロスカントリー」専用デザインだ。
バンパーだけでなく、シルバーのドットを配したフロントグリルは「V60クロスカントリー」専用デザインだ。
リアバンパーには「CROSS COUNTRY」のロゴが刻まれている。
リアバンパーには「CROSS COUNTRY」のロゴが刻まれている。

クロスカントリーならではの美点

フロント/リアともサスペンションの主要パーツを「V90クロスカントリー」と共用。「V60クロスカントリー」の乗り心地のよさは上位モデル譲りといえるものだ。
フロント/リアともサスペンションの主要パーツを「V90クロスカントリー」と共用。「V60クロスカントリー」の乗り心地のよさは上位モデル譲りといえるものだ。
発売時点で設定されるパワープラントは最高出力254ps、最大トルク350Nmの「T5」ユニットのみとなっている。
発売時点で設定されるパワープラントは最高出力254ps、最大トルク350Nmの「T5」ユニットのみとなっている。
「T5 AWDプロ」のタイヤサイズは前後とも235/45R19。テスト車には快適性能とスポーツ性能の融合がうたわれている「コンチネンタル・プレミアムコンタクト6」が装着されていた。
「T5 AWDプロ」のタイヤサイズは前後とも235/45R19。テスト車には快適性能とスポーツ性能の融合がうたわれている「コンチネンタル・プレミアムコンタクト6」が装着されていた。
新型「V60クロスカントリー」には標準モデルの「T5 AWD」と、装備充実の「T5 AWDプロ」がラインナップされている。今回テストしたのは後者。
新型「V60クロスカントリー」には標準モデルの「T5 AWD」と、装備充実の「T5 AWDプロ」がラインナップされている。今回テストしたのは後者。
最近乗った新型車で、個人的に最も気に入ったクルマの1台が、フルサイズボルボワゴン、V90のクロスカントリーだった。もう1台挙げろと言われたら、「アルピーヌA110」だろうか。

V90CCでいちばん感心したのは足まわりだ。ふつう車高を上げると、突っ張ったような硬さが出がちなのだが、クロスカントリーのアシはノーマルの「V90」よりソフトで、しなやか。乗り心地のよさだけでずっと乗っていたくなるクルマだった。

あの乗り心地が、ひとクラス下のV60クロスカントリーでも味わえるだろうか? ヨーロッパと同じ“ダイナミックシャシー”を備える日本仕様のノーマルV60はちょっとゴツゴツしすぎると感じていたので、今回それが試乗前のもっぱらの興味だった。

結果は「ビンゴ!」でした。V60のクロスカントリーも、ロードクリアランス145mmのノーマルV60より明らかに乗り心地がいい。ボルボは新しいプラットフォーム戦略で可能な限り構成部品の共通化を図っている。アルミパーツを多用したV60CCのサスペンションは、基本的にV90CCと同じだという。乗り味のテイストが似ているのも道理である。V60でもV90でも、クロスカントリーの美点は乗り心地のよさにあると言っていい。

試乗車の“プロ”は標準グレードよりワンインチアップの19インチで、タイヤは235/45の「コンチネンタル・プレミアムコンタクト6」を履いていた。サイドウオールにチェッカー柄の文様が入った“見せるタイヤ”だが、コンフォート性能も太鼓判を押せる。

フロント/リアともサスペンションの主要パーツを「V90クロスカントリー」と共用。「V60クロスカントリー」の乗り心地のよさは上位モデル譲りといえるものだ。
フロント/リアともサスペンションの主要パーツを「V90クロスカントリー」と共用。「V60クロスカントリー」の乗り心地のよさは上位モデル譲りといえるものだ。
発売時点で設定されるパワープラントは最高出力254ps、最大トルク350Nmの「T5」ユニットのみとなっている。
発売時点で設定されるパワープラントは最高出力254ps、最大トルク350Nmの「T5」ユニットのみとなっている。
「T5 AWDプロ」のタイヤサイズは前後とも235/45R19。テスト車には快適性能とスポーツ性能の融合がうたわれている「コンチネンタル・プレミアムコンタクト6」が装着されていた。
「T5 AWDプロ」のタイヤサイズは前後とも235/45R19。テスト車には快適性能とスポーツ性能の融合がうたわれている「コンチネンタル・プレミアムコンタクト6」が装着されていた。
新型「V60クロスカントリー」には標準モデルの「T5 AWD」と、装備充実の「T5 AWDプロ」がラインナップされている。今回テストしたのは後者。
新型「V60クロスカントリー」には標準モデルの「T5 AWD」と、装備充実の「T5 AWDプロ」がラインナップされている。今回テストしたのは後者。

オフロードモードを新規採用

インテリアカラーはボディーカラーに合わせて3種類がラインナップされる。テスト車のものは「チャコール/ブロンド」と名付けられた白内装。
インテリアカラーはボディーカラーに合わせて3種類がラインナップされる。テスト車のものは「チャコール/ブロンド」と名付けられた白内装。
シフトセレクターやエンジンのスタート/ストップスイッチ、ドライブモードセレクターなどは、他の「60/90シリーズ」と同じデザインで同じレイアウトとなる。
シフトセレクターやエンジンのスタート/ストップスイッチ、ドライブモードセレクターなどは、他の「60/90シリーズ」と同じデザインで同じレイアウトとなる。
テスト車にはオプションの「Bowers&Wilkinsプレミアムサウンドオーディオシステム」が装着されていた。15個のスピーカーとサブウーファーで構成される。
テスト車にはオプションの「Bowers&Wilkinsプレミアムサウンドオーディオシステム」が装着されていた。15個のスピーカーとサブウーファーで構成される。
8段ATと組み合わされる2リッター4気筒ターボは、最高出力254ps。カタログ上のスペックは、V60 T5と変わらない。ワゴン化で車重は110kg重くなっているから、動力性能は若干ドロップしているはずだが、体感できるほどの差はない。しなやかさを増した足まわりも加勢して、V60持ち前のかろやかな走りは相変わらずだ。

駆動系はハルデックスのアクティブ・オンデマンド・クラッチを使った電子制御4WD。通常は前輪駆動だが、必要なときに後輪へ最大50%の駆動力を伝える。

クロスカントリーにはドライブモードに「オフロード」が加わった。これを選択すると、20km/h以下ではデフロック状態になり、降坂時にはヒルディセントコントロールが効き、アイドリングストップ機能がオフになるなど、一括してオフロード仕様になる。

しかしそこまでやるなら、ワンタッチで切り替えられる独立したオフロードスイッチを付けたほうが親切だと思う。90シリーズ、60シリーズでおなじみのドライブモードセレクターは、ジュエリーみたいでカッコイイのだが、いちいちモニター画面を見て選択しなければならないし、ローラースイッチの操作性もいまひとつなのだ。

インテリアカラーはボディーカラーに合わせて3種類がラインナップされる。テスト車のものは「チャコール/ブロンド」と名付けられた白内装。
インテリアカラーはボディーカラーに合わせて3種類がラインナップされる。テスト車のものは「チャコール/ブロンド」と名付けられた白内装。
シフトセレクターやエンジンのスタート/ストップスイッチ、ドライブモードセレクターなどは、他の「60/90シリーズ」と同じデザインで同じレイアウトとなる。
シフトセレクターやエンジンのスタート/ストップスイッチ、ドライブモードセレクターなどは、他の「60/90シリーズ」と同じデザインで同じレイアウトとなる。
テスト車にはオプションの「Bowers&Wilkinsプレミアムサウンドオーディオシステム」が装着されていた。15個のスピーカーとサブウーファーで構成される。
テスト車にはオプションの「Bowers&Wilkinsプレミアムサウンドオーディオシステム」が装着されていた。15個のスピーカーとサブウーファーで構成される。

使い倒したいユーザーのために

ワインディングロードも含めて約300kmを走行した今回のテストでは、満タン法で8.5km/リッターの燃費値を記録した。JC08モードの数値は11.6km/リッター。
ワインディングロードも含めて約300kmを走行した今回のテストでは、満タン法で8.5km/リッターの燃費値を記録した。JC08モードの数値は11.6km/リッター。
「T5 AWDプロ」ではパーフォレーテッド加工が施されたナッパレザーのシート表皮が標準装備。ヒーターやベンチレーション機能に加えて、マッサージ機能も備えている。
「T5 AWDプロ」ではパーフォレーテッド加工が施されたナッパレザーのシート表皮が標準装備。ヒーターやベンチレーション機能に加えて、マッサージ機能も備えている。
荷室の容量は529~1441リッター。後席の背もたれを倒したときには、荷室の床面との間がフラットになる。
荷室の容量は529~1441リッター。後席の背もたれを倒したときには、荷室の床面との間がフラットになる。
約300kmを走って、燃費は8.5km/リッター(満タン法)だった。走行感覚が爽やかに軽いので、燃費もよさそうに感じるが、そうでもない。2WDより110kg重くなっているのだから、仕方ないか。

正統ボルボワゴンのV60にしたい。ダートや雪道も走るので、4WDにしたい。プラス50万円でクロスカントリーを選ぶと、乗り心地のよさという大きなオマケもついてくる。個人的にはクロスカントリーがベストV60だと思う。

「ボルボといえばワゴン」だった時代、大量の機材を載せる自動車メディアのカメラマンにも愛用者が多かった。そのひとりだった知人が、いまのボルボはプレミアムになりすぎて、道具感がなくなってしまったともらしていた。たしかに、白いレザーインテリアの試乗車も、使い倒すワゴンみたいな雰囲気はまったくない。プロのワゴンユーザーのために、荷車性能を際立たせた、洗いざらしみたいな内装仕様も出したらおもしろいと思う。

(文=下野康史<かばたやすし>/写真=郡大二郎/編集=藤沢 勝)

ワインディングロードも含めて約300kmを走行した今回のテストでは、満タン法で8.5km/リッターの燃費値を記録した。JC08モードの数値は11.6km/リッター。
ワインディングロードも含めて約300kmを走行した今回のテストでは、満タン法で8.5km/リッターの燃費値を記録した。JC08モードの数値は11.6km/リッター。
「T5 AWDプロ」ではパーフォレーテッド加工が施されたナッパレザーのシート表皮が標準装備。ヒーターやベンチレーション機能に加えて、マッサージ機能も備えている。
「T5 AWDプロ」ではパーフォレーテッド加工が施されたナッパレザーのシート表皮が標準装備。ヒーターやベンチレーション機能に加えて、マッサージ機能も備えている。
荷室の容量は529~1441リッター。後席の背もたれを倒したときには、荷室の床面との間がフラットになる。
荷室の容量は529~1441リッター。後席の背もたれを倒したときには、荷室の床面との間がフラットになる。

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