【試乗記】プジョー・リフター デビューエディション(FF/8AT)

プジョー・リフター デビューエディション(FF/8AT)
プジョー・リフター デビューエディション(FF/8AT)

絶妙なサジ加減

プジョーの新型MPV「リフター」に試乗。ご覧の通り、四角四面の背高なスタイリングは兄弟車たる「シトロエン・ベルランゴ」とほとんど同じ。あえて(ちょっと地味な)プジョー版を選ぶ価値はどこにあるのだろうか。

兄弟車・双子車・三つ子車

2020年秋の正式導入が予定されている「プジョー・リフター」。今回は先行して発売された限定車「デビューエディション」に試乗した。
2020年秋の正式導入が予定されている「プジョー・リフター」。今回は先行して発売された限定車「デビューエディション」に試乗した。
プロテクター風パーツを多用したフロントマスクにはSUV風味がただよう。垂直にレイアウトしたフロントグリルやアウトラインに切り欠きのあるヘッドランプは他のプジョー車と同じデザイン要素だ。
プロテクター風パーツを多用したフロントマスクにはSUV風味がただよう。垂直にレイアウトしたフロントグリルやアウトラインに切り欠きのあるヘッドランプは他のプジョー車と同じデザイン要素だ。
ボディーのスリーサイズは全長×全幅×全高=4405×1850×1890mm。「シトロエン・ベルランゴ」よりも46mm背が高いスタイリングが特徴だ。
ボディーのスリーサイズは全長×全幅×全高=4405×1850×1890mm。「シトロエン・ベルランゴ」よりも46mm背が高いスタイリングが特徴だ。
サスペンションはフロントがマクファーソンストラット式でリアがトーションビーム式。最低地上高は180mmを確保している。
サスペンションはフロントがマクファーソンストラット式でリアがトーションビーム式。最低地上高は180mmを確保している。
プジョー・リフターは以前に試乗記をお届けしたシトロエン・ベルランゴの兄弟車だ。そこでも紹介したように、このクルマもまた商用バン仕様がメインの商品だが、乗用のレジャービークル仕様も用意される。すなわち、日本市場にすっかり根を下ろしている「ルノー・カングー」のライバルである。

ベルランゴと同じく、プジョーのこのクルマも実質は通算3代目となる。ただ、これまでの2世代の車名が「パルトネール(英語でいうとパートナー)」だったのに対して、この最新型にはリフターという新車名(商用バン仕様はパルトネールのまま)が与えられている。こうして新しい商品名をあえて用意した裏には、リフターがこれまで以上の存在感と成果を示すことへの期待感がにじむ。というのも、従来の販売実績では明確にベルランゴのほうが上であり、しかも今回からはグループに新加入したオペル/ボクスホール版の「コンボ」と「コンボライフ」もあるからだ(コンボが商用車、コンボライフが乗用車)。

繰り返すが、リフターとベルランゴは兄弟車である。ただ、プジョーとシトロエン(とオペル/ボクスホール)は土台となるプラットフォームを共用するのだから、広義ではすべてが兄弟……といえなくもない。しかし、ベルランゴとリフター/パルトネールはプラットフォームはおろか、パッケージレイアウトや外板パネルまで共用する“双子車”といえる間柄だ(正確にはコンボ/コンボライフも加えた三つ子車)。

そんな双子車を、プジョー・シトロエンの日本法人(現グループPSAジャパン)は日本に同時導入することに決めた。どちらも正式なカタログモデルは2020年秋の発売予定だが、その前に先行限定車として「デビューエディション」を投入した。今回の試乗車もそれだが、ベルランゴのデビューエディションと同じく、このリフターの初回限定版もすでに完売だそうである。

2020年秋の正式導入が予定されている「プジョー・リフター」。今回は先行して発売された限定車「デビューエディション」に試乗した。
2020年秋の正式導入が予定されている「プジョー・リフター」。今回は先行して発売された限定車「デビューエディション」に試乗した。
プロテクター風パーツを多用したフロントマスクにはSUV風味がただよう。垂直にレイアウトしたフロントグリルやアウトラインに切り欠きのあるヘッドランプは他のプジョー車と同じデザイン要素だ。
プロテクター風パーツを多用したフロントマスクにはSUV風味がただよう。垂直にレイアウトしたフロントグリルやアウトラインに切り欠きのあるヘッドランプは他のプジョー車と同じデザイン要素だ。
ボディーのスリーサイズは全長×全幅×全高=4405×1850×1890mm。「シトロエン・ベルランゴ」よりも46mm背が高いスタイリングが特徴だ。
ボディーのスリーサイズは全長×全幅×全高=4405×1850×1890mm。「シトロエン・ベルランゴ」よりも46mm背が高いスタイリングが特徴だ。
サスペンションはフロントがマクファーソンストラット式でリアがトーションビーム式。最低地上高は180mmを確保している。
サスペンションはフロントがマクファーソンストラット式でリアがトーションビーム式。最低地上高は180mmを確保している。

SUV仕立ての外装デザイン

ホイールアーチやサイドシルには樹脂によるクラッディングが施されている。
ホイールアーチやサイドシルには樹脂によるクラッディングが施されている。
タイヤサイズは「ベルランゴ」よりもひと回り大きい215/65R16。テスト車はミシュランのSUV用タイヤ「ラティチュード ツアーHP」を履いていた。
タイヤサイズは「ベルランゴ」よりもひと回り大きい215/65R16。テスト車はミシュランのSUV用タイヤ「ラティチュード ツアーHP」を履いていた。
リアのフロア下にはフルサイズのスペアタイヤが収納されている。
リアのフロア下にはフルサイズのスペアタイヤが収納されている。
リアコンビランプにはライオンの爪痕をモチーフとした3本のラインが刻まれている。
リアコンビランプにはライオンの爪痕をモチーフとした3本のラインが刻まれている。
というわけで、リフターのハードウエアは車体のプレスパネルまで含めて、ベルランゴとほぼ同一だが、今のプジョー・シトロエンはブランドごとのつくり分けを世界一(?)得意とするメーカーといっていい。逆に言うと、そうした共用している基礎部分以外は、リフターとベルランゴではことごとく差別化されている。

たとえば、バンパーからヘッドライト、グリルといったフロントマスク部分はごっそりと別物だ。さらにリアバンパーやテールランプの内部デザインも当然ながら専用である。

サイドビューも同様である。リフターのそれはサイドシルやホイールアーチにクラッディングを施して、独自のSUV風仕立てとなっている。エアバンプ風プロテクターが特徴的なベルランゴとは完全に別のクルマに見せているが、よくよく観察すると、スチールのプレスラインは両車で共通だったりする。

もっとも、リフターが意外なほど本格的な雰囲気をただよわせるのは、じつはそれがクラッディング加飾(や前後バンパーデザイン)によるものだけではないからだ。215/60R16というタイヤはベルランゴより大径のリフター専用サイズで、しかもSUVらしいオールシーズン銘柄が選ばれている。

タイヤ径が約30mm大きいリフターの地上高が、ベルランゴのそれより拡大しているのは見た目にも明らかだ。それ以外のシャシー周辺の技術情報は残念ながら入手できなかったが、両車の全高差が46mm(ともに欧州仕様参考値)であることを考えると、サスペンション部分でも、わずかにリフトアップされている可能性もある。

インテリアに目を移しても、そこは超小径オーバル形状ステアリングと、スポーツクーペばりに強く傾斜した立派なセンターコンソールによる「i-Cockpit」となっている。主たるレイアウトやダッシュボードの基本形状はベルランゴと同じながら、乗車感覚はもうプジョー以外のなにものでもない。

ホイールアーチやサイドシルには樹脂によるクラッディングが施されている。
ホイールアーチやサイドシルには樹脂によるクラッディングが施されている。
タイヤサイズは「ベルランゴ」よりもひと回り大きい215/65R16。テスト車はミシュランのSUV用タイヤ「ラティチュード ツアーHP」を履いていた。
タイヤサイズは「ベルランゴ」よりもひと回り大きい215/65R16。テスト車はミシュランのSUV用タイヤ「ラティチュード ツアーHP」を履いていた。
リアのフロア下にはフルサイズのスペアタイヤが収納されている。
リアのフロア下にはフルサイズのスペアタイヤが収納されている。
リアコンビランプにはライオンの爪痕をモチーフとした3本のラインが刻まれている。
リアコンビランプにはライオンの爪痕をモチーフとした3本のラインが刻まれている。

装備内容を精査する

小径のステアリングホイールの上方にメーターパネルをレイアウトするプジョーならではの「i-Cockpit」を採用。「ベルランゴ」にはない立派なセンターコンソールも備わる。
小径のステアリングホイールの上方にメーターパネルをレイアウトするプジョーならではの「i-Cockpit」を採用。「ベルランゴ」にはない立派なセンターコンソールも備わる。
シート表皮はざっくりとしたグレーのファブリック。前席には収納可能なセンターアームレストが備わる。
シート表皮はざっくりとしたグレーのファブリック。前席には収納可能なセンターアームレストが備わる。
助手席を前にたたむことで長尺物の収納に対応する。アームレストがセンターコンソールに干渉するが、簡単に取り外しできる。
助手席を前にたたむことで長尺物の収納に対応する。アームレストがセンターコンソールに干渉するが、簡単に取り外しできる。
リアシートの座面は3座独立タイプだが、可倒機構は6:4分割となる。
リアシートの座面は3座独立タイプだが、可倒機構は6:4分割となる。
本国のリフターにはベルランゴと同じく最高出力100PS版のディーゼルや1.2リッター3気筒ガソリンエンジン、5段MTや6段MTの用意もあるが、今回のデビューエディションはベルランゴのそれと同じく、130PSの1.5リッター4気筒ディーゼル+8段ATという同車でもっとも贅沢なものが選ばれている。

欧州のリフターには大きく3種類のトリムグレードがあって、メッキグリルや16インチホイール、ブルー基調のダッシュボードといった試乗車のディテールから、それが中間の「アリュール」をベースにしていることが分かる。そこに左右独立調整式オートエアコン、後席用の空調吹き出し口や風量調整、スマートキー、開閉ガラスハッチ、電動格納ドアミラーなどの上級装備(欧州では最上級の「GT」に標準)を追加トッピングしたのが、日本のデビューエディションとなる。

さらに、スロットルやトラクションコントロール、左右ブレーキ制御により、ワンタッチでノーマル、雪、泥、砂……など、路面に合わせた駆動力が選べる「アドバンストグリップコントロール」やヒルディセントコントロールも、今回のリフターには備わる。これも本国ではリフターとベルランゴの両方にオプション設定される装備だが、このデビューエディションでは、リフターにのみ標準装備とする。これも“SUVテイスト”というリフターのキャラクターを強調するためだろう。

このグリップコントロールとヒルディセントコントロールのほか、オールシーズンタイヤやセンターコンソール、プロジェクターヘッドランプといったあたりが、今回のリフターで「ベルランゴより贅沢か!?」と思われるディテールだ。逆に6:4分割可倒になるリアシートは、ベルランゴの3座分割リアシートよりコスト安と思われるが、差し引きでベルランゴの8万円高という車両本体価格はまあ妥当なところか。

小径のステアリングホイールの上方にメーターパネルをレイアウトするプジョーならではの「i-Cockpit」を採用。「ベルランゴ」にはない立派なセンターコンソールも備わる。
小径のステアリングホイールの上方にメーターパネルをレイアウトするプジョーならではの「i-Cockpit」を採用。「ベルランゴ」にはない立派なセンターコンソールも備わる。
シート表皮はざっくりとしたグレーのファブリック。前席には収納可能なセンターアームレストが備わる。
シート表皮はざっくりとしたグレーのファブリック。前席には収納可能なセンターアームレストが備わる。
助手席を前にたたむことで長尺物の収納に対応する。アームレストがセンターコンソールに干渉するが、簡単に取り外しできる。
助手席を前にたたむことで長尺物の収納に対応する。アームレストがセンターコンソールに干渉するが、簡単に取り外しできる。
リアシートの座面は3座独立タイプだが、可倒機構は6:4分割となる。
リアシートの座面は3座独立タイプだが、可倒機構は6:4分割となる。

正確無比の操舵感

5人乗車時の荷室容量は597リッター。奥行きは約1mで、タイヤハウスなどの凹凸がないため使い勝手は良好だ。
5人乗車時の荷室容量は597リッター。奥行きは約1mで、タイヤハウスなどの凹凸がないため使い勝手は良好だ。
リアシートの背もたれをすべて倒した場合の荷室容量は2126リッター。
リアシートの背もたれをすべて倒した場合の荷室容量は2126リッター。
リアゲートはガラス部分だけが開く仕掛け。天井のシーリングボックスに直接アクセスできるのが便利だ。
リアゲートはガラス部分だけが開く仕掛け。天井のシーリングボックスに直接アクセスできるのが便利だ。
ガラスサンルーフの下には収納として使える半透明のブリッジを装備。前席頭上の収納までつながっている。
ガラスサンルーフの下には収納として使える半透明のブリッジを装備。前席頭上の収納までつながっている。
リフターの独特の極小径ステアリングホイールの操作感はしっとりと重い。ベルランゴはそれとは好対照に、大きめのステアリングを軽く回させる。これは昨今のプジョーとシトロエンのすべてに共通する味つけだ。ロックトゥロックで3.0回転弱というステアリングギアレシオは両車で共通のようだ。となると、小径ホイールのリフターのほうが、実質的にクイックなステアリング設定ということになる。

全高1.8m超の背高グルマなので、走行中の上屋の動きは絶対的に小さくない。路面にへばりつくような安定した低重心感では、リフターがベルランゴともども、宿敵カングーにゆずるのも正直なところだ。そして、ベルランゴより最低地上高の大きいリフターのほうが、よりロールが速くて大きい。

ただ、驚くのは、そんな動きの小さくない巨体を、極小のステアリングホイールで無遠慮に振り回しても、クルマの挙動に過敏さや神経質さをこれっぽっちも感じさせないところだ。カーブや交差点ではスパッとロールしてしかるべきタイヤに荷重が乗るが、一定程度までロールしきると、ピタリと動きが収束して路面にしっかりと吸いつく。

こうした一連の流れのなかに、リフターは乗り手を不安にさせる“オーバーシュート”感が皆無。そこはさすがの調律というほかない。操縦性そのものはおっとり型なのだが、ステアリングはとても正確である。しかも、シトロエンよりレザーがギュッときつめに巻かれたステアリングホイールの握りからは、タイヤの接地感が鮮明かつリアルに伝わってくる。穏やかなグリップ感のオールシーズンタイヤが踏ん張りすぎないところも、リフターの自然で穏やかで一貫した挙動の一助になっているかもしれない。

5人乗車時の荷室容量は597リッター。奥行きは約1mで、タイヤハウスなどの凹凸がないため使い勝手は良好だ。
5人乗車時の荷室容量は597リッター。奥行きは約1mで、タイヤハウスなどの凹凸がないため使い勝手は良好だ。
リアシートの背もたれをすべて倒した場合の荷室容量は2126リッター。
リアシートの背もたれをすべて倒した場合の荷室容量は2126リッター。
リアゲートはガラス部分だけが開く仕掛け。天井のシーリングボックスに直接アクセスできるのが便利だ。
リアゲートはガラス部分だけが開く仕掛け。天井のシーリングボックスに直接アクセスできるのが便利だ。
ガラスサンルーフの下には収納として使える半透明のブリッジを装備。前席頭上の収納までつながっている。
ガラスサンルーフの下には収納として使える半透明のブリッジを装備。前席頭上の収納までつながっている。

高速道路でさらに輝く

トランスミッションはアイシン・エィ・ダブリュ製の8段AT「EAT8」。センターコンソールにはダイヤル式のシフトセレクターが備わる。
トランスミッションはアイシン・エィ・ダブリュ製の8段AT「EAT8」。センターコンソールにはダイヤル式のシフトセレクターが備わる。
雪道や泥道、砂地などの路面状況に応じてスロットルやトラクションコントロールの制御が変わる「アドバンスドグリップコントロール」を装備する。
雪道や泥道、砂地などの路面状況に応じてスロットルやトラクションコントロールの制御が変わる「アドバンスドグリップコントロール」を装備する。
8インチのセンタースクリーンを標準装備。車載ナビはオプションとなるが、「Apple CarPlay」と「Android Auto」のナビアプリを映し出すことができる。
8インチのセンタースクリーンを標準装備。車載ナビはオプションとなるが、「Apple CarPlay」と「Android Auto」のナビアプリを映し出すことができる。
センターコンソールの後端にはエアコンの吹き出し口と風量コントローラーが備わる。これは「ベルランゴ」にはないアイテム。
センターコンソールの後端にはエアコンの吹き出し口と風量コントローラーが備わる。これは「ベルランゴ」にはないアイテム。
コーナーで振り回しても楽しめるリフターだが、高速道をひた走ると、さらに滋味深くて心地よい。これはレジャーカーとしてはとてもステキな資質といっていい。市街地や山坂道では豊かなストローク感と穏やかな上下動が際立つのに、高速でスピードが上がるほど上下動がおさまって、滑るようなフラットライドになる。パワステの調律もドンピシャで、小径ステアリングに軽く手を添えるだけで、路面に食いつくようにズバッと直進する。

これだけの背丈なので空気抵抗が小さいはずはないのだが、1.5リッターディーゼルに力不足感はまるでない。血気盛んなC~Dセグメント車に背後を取られてもあわてる必要がない程度のパンチ力は十分にある。

ただ、それ以上にうれしいのは、高速でのリフターがすこぶる静かなことだ。加速時こそかすかなディーゼル感が伝わるものの、トップギアの8速で100km/h巡航するとエンジン回転は1700rpm前後。この状態でエンジン音はほとんど耳に届かない。それに、四角四面のスタイリングやスライドドア、巨大な室内容積といった諸条件を考えると、風切り音やロードノイズの類いは印象的なほど小さい。

このように高速走行に必要な基本フィジカルに余裕があるので、全車速対応アダプティブクルーズコントロール(ACC)による半自動運転クルーズも快適そのものだ。リフターの先進運転支援システムは「シトロエンC5エアクロスSUV」や「プジョー508」のそれよりワンランク安価なレベルのようで、車線機能はプジョー・シトロエンでいうところの「レーンキープアシスト」……すなわち“車線逸脱抑制アシスト”にとどまる。車線を外れかけるとステアリングを戻し方向に制御してくれるが、彼らが「レーンポジショニングアシスト」と呼ぶ、車線中央を積極的に維持するものとはちがう。

トランスミッションはアイシン・エィ・ダブリュ製の8段AT「EAT8」。センターコンソールにはダイヤル式のシフトセレクターが備わる。
トランスミッションはアイシン・エィ・ダブリュ製の8段AT「EAT8」。センターコンソールにはダイヤル式のシフトセレクターが備わる。
雪道や泥道、砂地などの路面状況に応じてスロットルやトラクションコントロールの制御が変わる「アドバンスドグリップコントロール」を装備する。
雪道や泥道、砂地などの路面状況に応じてスロットルやトラクションコントロールの制御が変わる「アドバンスドグリップコントロール」を装備する。
8インチのセンタースクリーンを標準装備。車載ナビはオプションとなるが、「Apple CarPlay」と「Android Auto」のナビアプリを映し出すことができる。
8インチのセンタースクリーンを標準装備。車載ナビはオプションとなるが、「Apple CarPlay」と「Android Auto」のナビアプリを映し出すことができる。
センターコンソールの後端にはエアコンの吹き出し口と風量コントローラーが備わる。これは「ベルランゴ」にはないアイテム。
センターコンソールの後端にはエアコンの吹き出し口と風量コントローラーが備わる。これは「ベルランゴ」にはないアイテム。

スイートスポットを外さぬギリギリの味付け

前席まわりの収納スペースが多いのも「リフター」の特徴だ。写真はメーターパネル手前の空間とカップホルダー。
前席まわりの収納スペースが多いのも「リフター」の特徴だ。写真はメーターパネル手前の空間とカップホルダー。
ドアのインナーパネルには2カ所の収納スペースが備わる。
ドアのインナーパネルには2カ所の収納スペースが備わる。
センタースクリーンの後方にもスペースが隠されている。
センタースクリーンの後方にもスペースが隠されている。
助手席側にはきちんと車検証ケースが入るグローブボックスが備わるほか、膝前部分にもスペースが設けられている。
助手席側にはきちんと車検証ケースが入るグローブボックスが備わるほか、膝前部分にもスペースが設けられている。
センターコンソールのシャッターを開けると広大な空間が。特に前方部分は深さが30cmほどある。
センターコンソールのシャッターを開けると広大な空間が。特に前方部分は深さが30cmほどある。
繰り返すが、クルマ自体の直線性がすこぶる優秀なので、リフターは今のシステムのままでもストレスは小さい。ただ、ここまで増えてしまったACC機能の大半を、いまだにコラムから生えた昔ながらのサテライトスイッチにまかなわせているのだけは明らかな難点である。

ステアリングホイールに隠れて据えられるサテライトスイッチは、ブラインド操作が前提の設計。しかし、今ではそこに配されるボタン数が増えすぎて、これを直感的に正しく操作するには相当の熟練が要求される。そろそろ根本的な刷新が必要と思う。

……といった重箱のスミはともかく、リフターとベルランゴはハードウエアがほとんど同じなので、クルマの動きは当然のごとくよく似ている。それでいて、車高やタイヤの設定で、その乗り味をちょっとだけ変えているサジ加減が絶妙である。

これ以上の明確な差別化をしようとすると、どちらか(もしくは両方)の味つけは、このハードウエアのスイートスポットから外れてしまうだろう。そのうえで、ステアリングホイールの大きさと形状、それに合わせたパワステの調律、そして周辺機器のレイアウトだけで、運転感覚をこれだけ差別化できていることに、あらためて感心する。

この種のフランス車がお好きなエンスージアストは、リフターとベルランゴの両方に好感をもつ向きが多いはずである。それでいて、両方のステアリングを握れば、多くの人があまり迷うことなく、どちらが好みかを直感的に選ぶことができると思う。

ちなみに、筆者は断然リフター派である。こういう背高グルマは基本的に大径ステアリングでゆったり操るのが正論なので、ベルランゴ派も多いことと想像する。エクステリアデザインもシトロエンのほうがキャラが立っている。ただ、個人的には、このゲームコントローラーを思わせる小径ステアリングホイールで、リフターの大きな車体を正確無比に操る行為は、これまでに経験のない快感だった。

(文=佐野弘宗/写真=向後一宏/編集=藤沢 勝)

前席まわりの収納スペースが多いのも「リフター」の特徴だ。写真はメーターパネル手前の空間とカップホルダー。
前席まわりの収納スペースが多いのも「リフター」の特徴だ。写真はメーターパネル手前の空間とカップホルダー。
ドアのインナーパネルには2カ所の収納スペースが備わる。
ドアのインナーパネルには2カ所の収納スペースが備わる。
センタースクリーンの後方にもスペースが隠されている。
センタースクリーンの後方にもスペースが隠されている。
助手席側にはきちんと車検証ケースが入るグローブボックスが備わるほか、膝前部分にもスペースが設けられている。
助手席側にはきちんと車検証ケースが入るグローブボックスが備わるほか、膝前部分にもスペースが設けられている。
センターコンソールのシャッターを開けると広大な空間が。特に前方部分は深さが30cmほどある。
センターコンソールのシャッターを開けると広大な空間が。特に前方部分は深さが30cmほどある。

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