トヨタが作る街「Woven City」ではあらゆるものをコネクティッドに―クルマのトレンドワード⑭

自動で走ったり、電気で動いたり、インターネットにつながったりと、クルマを取り巻くトレンドは今、めまぐるしく変化を続けている。この連載では、なんとなく分かった気になってしまいがちな最新キーワードを整理して、現在進行形のクルマのトレンドに迫っていく。
今回はクルマメーカーのトヨタが作る街「Woven City(ウーブン・シティ)」について。

米ラスベガスで2020年1月に開催した世界最大の技術見本市「CES 2020」で、トヨタ自動車の豊田章男社長は「コネクティッド・シティ」のプロジェクト概要を発表した。
人々の暮らしを支えるあらゆるモノやサービスがつながる実証都市を、静岡県裾野市の東富士工場跡地を使い、将来的に約70.8万m2の広大な範囲において街作りを進めていく計画だ。

「CES 2020」で「コネクティッド・シティ」を発表する豊田章男社長
「CES 2020」で「コネクティッド・シティ」を発表する豊田章男社長

本連載でもたびたび取り上げてきた、クルマが情報とつながることでカーライフをより豊かにする「コネクティッドサービス」。
この「つながる」対象をクルマだけでなく人の暮らしにかかわるあらゆるものへ広げていくことで、カーライフも含めた「ライフ」をより豊かにしていくための技術を計画し、試し、カイゼンする。その実践的な街づくりを2021年から開始する。

まずはトヨタの従業員やプロジェクト関係者など2000名ほどが住まい、人の暮らしのなかで、CASE(コネクティッド、自動運転、シェアリング、電動化)、MaaS(Mobility as a Service)、パーソナルモビリティ、ロボット、スマートホーム技術、AI(人工知能)技術などを導入・検証していく。

豊田章男社長は、「バーチャルとリアルの世界の両方でAIなどの将来技術を実証することで、街に住む人々、建物、クルマなど、モノとサービスが情報でつながることによるポテンシャルを最大化できると考えています。このプロジェクトでは、将来の暮らしをよりよくしたいと考えている方、このユニークな機会を研究に活用したい方、もっといい暮らしとMobility for Allを私たちと一緒に追求していきたい方すべての参画を歓迎します」と語るように、さまざまな企業や研究者と連携していく考えだ。

Woven Cityのイメージ
Woven Cityのイメージ

都市設計はデンマーク出身の建築家でBIG(ビャルケ・インゲルス・グループ)の創業者である、ビャルケ・インゲルス氏が担当。
ちなみにBIGは、ニューヨークの新たな第2ワールドトレードセンターやGoogleの新しい本社屋など、これまで数多くの著名なプロジェクトを手掛けている。

街では、スピードが速い車両専用の道、歩行者とスピードが遅いパーソナルモビリティが共存するプロムナード、歩行者専用の公園内歩道と道を3種類に分けることで、人間、動物、車両、ロボットなどが行き交う幅広い種類の交差点を生み出すという。
そしてこれらの道が網の目のように織り込まれる姿から、「Woven(織られた)City(街)」と名付けている。織機メーカーからスタートしたトヨタらしい趣深い名前だ。

スピードが速い車両専用の道で活躍するのは、連載第1回でも登場した「電動化」「コネクティッド」「自動運転技術」を実現した車両「e-Palette」だ。
e-PaletteはWoven Cityの住民の足となり、物流も担う。また、移動型店舗としての運用も想定されていて、子供の世話など事情があって出かけられない人にとって近くて便利なお店になるだろう。

トヨタの「e-Palette」
トヨタの「e-Palette」

街の各ブロックは生活や仕事のエリアが共存。家や企業などの建物は主にカーボンニュートラルな木材で作り、屋根には太陽光発電パネルを設置し、環境との調和やサスティナビリティを前提とした街作りが行なわれる。
暮らしを支える燃料電池発電も含めて、この街のインフラはすべて地下に埋設され、自動配達のネットワークも地下に作られる。

その家の中で住民は室内用ロボットなどの新技術を生活とともに検証。センサー技術などで健康状態をチェックしたり、日々の暮らしに役立てたりするなど、生活の質を向上させていく。
また、街の中心や各ブロックには、人々の集いの場としてさまざまな公園・広場を作り、住民同士もつながり合うことでコミュニティの醸成を促す。

スピーチのなかで豊田章男社長が、「私たちの技術を使って、新しい種類の街を、そして人生を楽しむ新しい方法を織りなそうとしています」と語るように、トヨタは最新テクノロジーの上に人と人がつながる未来の街を織りなそうとしている。

次回は「走る蓄電池」であるPHVやEVが電気のある生活にどう活かされるのかを紹介する。

[ガズー編集部]

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