Grabを追いかける一番手RYDEを使ってみた

 RYDE TECHNOLOGIES PTE LTD(以下RYDE)は、シンガポール、香港、マレーシアでライドシェア・サービスを展開している企業。2014年に創業したベンチャー企業だが、シンガポールではGrabに次ぐ規模を持つとされており、現在盛んに投資を行なって契約台数などを増やしている。

RYDEを利用するにはFacebookアカウントを使うか、RYDEアカウントを作成する

RYDEのAndroidアプリ、Facebookアカウントかメールアドレスを登録して利用できる
RYDEのAndroidアプリ、Facebookアカウントかメールアドレスを登録して利用できる

 RYDEを利用するには、スマートフォンにRYDEのアプリケーションを導入しておく必要がある。
iPhone用[https://itunes.apple.com/sg/app/ryde-ride-hailing/id979806982?mt=8]、
Android用[https://play.google.com/store/apps/details?id=com.rydesharing.ryde&hl=ja]
があり、それぞれ利用前に導入する必要がある。

 利用するにはFacebookアカウントを利用するか、RYDEのアカウントを作成する必要がある。この時やはりSMS(ショートメッセージサービス、電話番号同士でやりとりできる短文のメッセージサービス)による携帯電話番号の認証が必要になるので、SMSが海外でも利用できる海外ローミング可能な携帯電話か、現地でプリペイドSIMと呼ばれる売り切りの短期間だけ使えるSIMカードを購入するなどしたい。

 なお、支払いはRyde Payと呼ばれる支払いの仕組みが用意されており、そこにクレジットカード(VISAないしはマスターカード)を登録しておくことですべて支払いはオンラインで完了する。2018年12月の段階では日本のクレジットカードも登録可能で、支払いに利用することができた。

他の人とシェアするRydePOOL、タクシー的な利用が可能なRyde X/XLなどのサービスを提供

 利用するにはRYDEのアプリを起動して、現在地と目的地を設定し、利用するサービスを選ぶだけだ。目的地に関しては住所などから検索するため正確な場所が表示されるが、現在地に関してはGPSなどの情報を参照するスマートフォン位置情報から決定されるため、時々ずれていることがある。なので実際に利用する際には、現在地に間違いがないかはチェックしておこう。

RYDEの地図で現在地を指定しているところ、実際にいたところから若干ずれていたので修正した
RYDEの地図で現在地を指定しているところ、実際にいたところから若干ずれていたので修正した

 RYDEには複数のサービスが用意されている。最もベーシックで低価格なのがRydePOOL。RydePOOLは2人まで乗ることが可能で、目的地が近い他の利用者と1つの車両をシェアする仕組みになっている。結局最後まで乗ってこないこともあるが、場合によっては遠回りをして他の利用者を拾いに行く可能性があるなどしており、時間はかかってもいいのでコスト重視の人に向いている。

で頼めるメニュー。荷物だけを運ぶメニューもある
で頼めるメニュー。荷物だけを運ぶメニューもある
一般的な4人乗りのRydeXに加えて、6人乗りや相乗り、またペット同伴可能の車両もある
一般的な4人乗りのRydeXに加えて、6人乗りや相乗り、またペット同伴可能の車両もある
オーダー前の画面、料金が表示されている
オーダー前の画面、料金が表示されている
オーダーするとドライバーと車両の情報が表示される
オーダーするとドライバーと車両の情報が表示される

 RydeX、RydeXLは、1つの車両を占有できるサービス。タクシーにかなり近く、RydeXなら4人まで、RydeXLなら6人まで乗ることができる。前者であれば車両は普通のセダンであることが多く、後者であればミニバンなどであることが多い。この他にも、RydeEXEC(エグゼクティブ向けの豪華車)、RydeHIRE(時間単位で利用するハイヤー)などの選択肢が用意されている。

先行するGrabを追いかけるべくドライバーへの契約条件をよくするなど投資を行なっている

今回RYDEを利用したときにはかなり遠くからクルマが来た
今回RYDEを利用したときにはかなり遠くからクルマが来た

 RYDEを実際に利用してみて感じたことは、都心でかつRydePOOLやRydeXなどの普通車を利用する限りはGrabと大きな差は感じないということだ。都心であれば、それらを呼んでもすぐに呼ぶことができた。

 しかし、例えばRydeXLなどさほど車両数が多くないであろうサービスを指定すると、すぐ近くには車両がいなくて呼べないということを何度か経験した。また、郊外に行くと、やはりGrabに比べて台数が少ないためか、呼べないということが何度かあった。例えば都心から少し離れたシンガポール動物園ではGrabはすぐ来たが、RYDEに関しては車両が見つからなかった。さらに今回は都心部近くで6-Seaterをオーダーしたのだが、かなり遠くからクルマが来るためそれなりの時間を待つことになった。

 もちろんたまたまいなかっただけなのかもしれないが、このあたりは先行しているGrabに比べるとRYDEが弱いと感じた部分だ。ただ、RYDEのドライバーによれば、ドライバーの契約条件(例えば報酬の取り分や稼働時間など)はRYDEの方がGrabよりもよいとのことで、そのRYDEのドライバーもGrabから乗り換えたと話してくれた。となると、近い将来にはRYDEも車両が増えて、待ち時間の不満も徐々に解消していく可能性が高いだろう。

 加えて、運賃についても、比較してみるとGrabより少しだけ安い価格設定になっていることが多かった。このあたりもGrabに対する戦略的な意図を感じる。

 ドライバーの待遇でも運賃でもGrabに攻勢をかけていて、シンガポールのライドシェアがGrab一強の時代が終わるのは、時間の問題なのかもしれない。

[ガズー編集部]

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