【レクサス LC】佐藤チーフエンジニア「レクサスのクルマ造りを変える挑戦の象徴」

レクサス LC 発表会
トヨタ自動車は3月16日、レクサスブランドの新型ラグジャリークーペ『LC』を発売した。チーフエンジニアを務める佐藤恒治氏は同日都内で開いた発表会で「レクサスのクルマ造りを変える挑戦の象徴として、このクルマの開発に取り組んだ」と明かした。

というのも「レクサスがよりエモーショナルなブランドになるために、お客様の感性に訴えるデザインと走りを備えたブランドを象徴するラグジャリークーペが必要だった」ことが背景にあると佐藤氏は語る。

そこで「こだわったのは理屈抜きに格好良いデザインと気持ちの良い走り。スペックにこだわらずに感性価値を追求した」という。

まずデザインに関しては「目指したのは低重心でダイナミックなFRらしいプロポーション」とした上で、「重量物を最適に配置し、ドライバーの着座位置を車両の重心に近づける。感性諸元にこだわってクルマとの一体感を感じるドライブフィールを目指した」と解説。

その実現のために「基本に立ち返りプラットフォームを一新した」ことも明かした。LCで採用された新プラットフォームは『GA-Lプラットフォーム』と名付けられ、今後のレクサスブランドのFR系モデルに順次採用される計画で、「エモーショナルなデザインとレクサスらしい走りの味を実現する」としている。

一方、LCの走りに関して佐藤氏は「開発キーワードは『より鋭く、より優雅』。鋭くとは正確でリニアな剛性。優雅には動きのつながりやしなやかさを示している。アルミやカーボンなどの素材を適材適所に配置し、ボディ剛性を高めながら従来技術に対して約100kgの軽量化を行った。サスペンションはフロント、リアともに新開発し、とくに切り始めの手応えとリニアな応答にこだわった」と述べた。

LCのパワートレインは5リットルV型8気筒エンジンと、3.5リットルV型6気筒エンジンに2基のモーターを組み合わせたハイブリッドの2タイプで、「感性を刺激する2つのユニットをフレーバーの違いにこだわって設定した」と佐藤氏は話す。

このうち5リットルV8には新開発の10速ATが組み合わされ「切れ味が良く、リズミカルで伸び感のある加速を味わうことができる」という。さらに「気持ちの良い走りを五感で感じて頂くためにエンジンサウンドにもこだわった。サウンドジェネレーターや排気切り替えバルブの採用により、『LFA』のDNAを引き継いだレクサスらしいエンジンサウンドを奏でる」としている。

一方のハイブリッドは世界初となるマルチステージハイブリッドシステムを採用している。「V型6気筒3.5リットルエンジンの最高回転数を6600まで高め、2基のモーターと有段ギアの自動変速機からなるシステムで、いままでのハイブリッドの概念を覆し、ダイナミックな走りを実現するために開発した」と佐藤氏は強調する。

LCは元町工場に専用の組立ラインを新設し生産される。専用ラインは床や天井を白一色にして作業しやすくする一方で、一人ひとりの作業工程をタブレット端末で確認しながら行う最先端のシステムも導入されている。「7人の匠と呼ばれる専門技能士を中心にレクサスのものづくりの技を磨き、1台1台こだわりぬいて、ひとつの作品として世に送り出される」と佐藤氏は胸を張っていた。

レクサスLCの価格はV8エンジン搭載のLC500が1300万~1400万円、ハイブリッドモデルのLC500hが1350万~1450万円。なおLC500の発売は4月13日を予定している。

(レスポンス 小松哲也)

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