トヨタ 豊田社長「等身大の実力が素直に」…今期営業利益は2期連続減益の1兆6000億円

トヨタ 豊田章男社長
トヨタ自動車は5月10日、2017年3月期の連結決算と今期(18年3月期)の業績予想を発表した。今期はアジアでの堅調な販売を見込むものの、主力の北米市場での競争激化などで、営業利益は前期比20%減の1兆6000億円と、2期連続の減益を予想している。

今期の連結販売計画は1%減の890万台としている。主力の北米は1%減の282万台、アジアは中国や東南アジアが堅調なことから1%増の168万台を計画した。また、国内は新モデル効果が一巡することもあり、3%減の220万台を見込んでいる。

為替レートは1ドル105円と、前期実績より3円の円高を前提にしており、営業損益段階で1100億円の減益影響となる。さらに、鋼材など原材料費の上昇による減益影響が大きく、原価改善は前期実績より3500億円少ない900億円と想定した。今期の純利益予想は18%減の1兆5000億円と、2期連続の減益になる。また、売上高は0.4%減の27兆5000億円と、2期続けての減収を見込んだ。

17年3月期決算は営業利益が30.1%減の1兆9943億円、純利益は20.8%減の1兆8311億円と、いずれも5期ぶりの減益だった。連結販売台数は3%増の897万台、またグループ総販売台数は2%増の1025万台となった。円高による減益要因が9400億円に及び、利益を大きく圧迫した。同期の年間配当は前期から据え置きの210円とした。

東京本社で記者会見した豊田章男社長は、今期の業績見通しについて「為替の追い風も向かい風もないなかで、まさに現在の等身大の実力が素直に表れたと感じている」と評価した。また、今期は研究開発費を前期比で125億円、設備投資は882億円積み増すことから「目先の利益確保を最優先するのでなく、未来への投資も安定的、継続的に進めるというトヨタの意志が表れた決算」と強調した。

そのうえで「自分たちの等身大の姿を真正面から見据え、徹底的に競争力を磨いていく年ということに尽きる」と位置付けた。ただ、2期連続の減益については「スポーツの世界では連敗。負け嫌いは私だけではない」との受け止めを示し、「ここをボトムラインに、持続的成長へのオンラインで歩みを進めたい」と表明した。

(レスポンス 池原照雄)

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