【ホンダ CB1000R 試乗】ネオレトロの枠にとらわれない「新世代CB」のイメージリーダー…青木タカオ

ホンダCB1000R
上半身が緩やかに前傾するスポーツマインドくすぐるライディングポジションで走り出せば、直4らしい伸びやかなエキゾーストサウンドを響かせ、もう気持ちの昂ぶりを抑えられない。

エンジンは低速から力強く、そして6000回転からはドラマティックなほどにさらにトルクが図太く盛り上がってくる。この高揚感、400ccまでしか乗れなかった2輪免許を限定解除し、初めてナナハンに乗ったときの感動を思い出す。

あの頃と明らかに違うのは車体の軽快感だ。1000ccもの排気量があるビッグバイクなのに持て余すことなく、右へ左へ車体を自在に車体を寝かし込むことができ、タイヤの接地感が高いから気持ちを落ち着かせたままコントロールできる。

ワインディングがもう楽しくて仕方がない! アップライトなライディングポジションをもたらすテーパーハンドルは、積極的に入力できる広めでフラットな形状。跨った途端に車体との一体感を感じるのは、シート前端部が絞り込まれニーグリップもピッタリだから。加速と減速を激しく繰り返しても、体はしっかり着座位置に収まったままだ。

余計な力がどこにも入らず、腰を中心に操る感覚が掴みやすい。お尻をずらせば、行きたい方向にフロントからスッと向きを変え、スムーズに曲がっていく。

◆安心をもたらすライディングモード

気持ちが昂ぶっているのに、心に余裕があるのはトルクコントロールも介入するライディングモードのおかげだ。「スポーツ」「スタンダード」「レイン」そして自身で自由に設定できる「ユーザー」から選べ、出力特性やスロットルレスポンスだけでなく、トルクコントロールやエンジンブレーキの強弱も関わってくる。

フルパワーの「スポーツ」だと、アクセルをガバッと開けるだけで前輪が浮くほどにスロットルレスポンスが鋭く、もはやその走りは過激とも言えるレベルだ。ここでもトルクコントロールは“小”で介入し、たとえ後輪がスリップしようともトルクを制御し、失ったグリップを取り戻してくれる。

ちなみにトルクコントロールは「スタンダード」では“中”、「レイン」では“大”と3段階に介入レベルを設定。スロットルレスポンスも「スポーツ」で“クイック”、「スタンダード」は“穏やか”、「レイン」では“さらにもっと穏やか”といった具合だ。

タイトコーナーの続くところでは「スタンダード」の方が積極的にアクセルを開けていけて扱いやすい。エンジンブレーキの効きも弱くなる「スポーツ」は少し広いところに出てからでないとパワフル過ぎるのだ。

それとクイックシフターの装備もありがたい。シフトチェンジ時のクラッチ操作が不要で、コーナーを攻め込んでいるときに特に威力を発揮する。コーナー入口でギヤを落とすときは自動的にブリッピングしてくれ、さらにスリッパークラッチが急激なエンジンブレーキによる後輪ホッピングを軽減するから変速がよりスムーズ。シフトを上げていくときも加速フィールを途切らせることがない。

◆新世代CBシリーズを牽引する上質さや高級感

興奮を鎮めてエンジンを切り、CB1000Rのスタイルを改めて眺めてみると、マスの集中をもたらす凝縮感を強く感じるダイナミックなプロポーションに見とれてしまう。

エンジンを剥き出しにしたネイキッドスタイルに、何かしらの先進的な現代風のエッセンスを採り入れれば、それだけで“ネオレトロ”などとジャンルの枠にはめられてしまいがちだが、CB1000Rは新世代CBシリーズのイメージリーダーに相応しい、上質さや高級感を含んだ新しさに満ちあふれている。

たとえば、アルミ薄板をプレスしたシュラウドとサイドカバーは見た目も触り心地も上質で、金属素材の持つ美しさがそこにあるし、ラウンドシェイプを基本形としたLEDヘッドライトやレンズを2重構造にしたテールランプもまた時々の流行に大きく左右されないもの。

高揚感タップリの走りと、経験を積んだ大人の趣味にふさわしい上質なスタイル。これまで両立することが難しかったことをCB1000Rでは実現しているのだ。

■5つ星評価
パワーソース:★★★★★
フットワーク:★★★★★
コンフォート:★★★★
足着き:★★★
オススメ度:★★★★★

青木タカオ|モーターサイクルジャーナリスト
バイク専門誌編集部員を経て、二輪ジャーナリストに転身。自らのモトクロスレース活動や、多くの専門誌への試乗インプレッション寄稿で得た経験をもとにした独自の視点とともに、ビギナーの目線に絶えず立ち返ってわかりやすく解説。休日にバイクを楽しむ等身大のライダーそのものの感覚が幅広く支持され、現在多数のバイク専門誌、一般総合誌、WEBメディアで執筆中。バイク関連著書もある。

(レスポンス 青木タカオ)

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