【ドゥカティ スクランブラー アイコン 新型試乗】見た目はあえて変えない、という進化…河西啓介

ドゥカティ スクランブラー アイコン
2014年に登場した『スクランブラー』シリーズは、ドゥカティを“変えた”バイクだ。それまでのドゥカティは「速さ」を至上命題とするメーカーだった。だがスクランブラーはそのベクトルを変えた。「速さ」より「楽しさ」を追求したのだ。

その結果、スクランブラーは大ヒットモデルとなった。そしてドゥカティというブランドに対する何よりの貢献は、あらたなドゥカ乗りを増やしたことだ。これまで敷居の高さを感じていた多くのライダーが、スクランブラーに惹かれドゥカティにエントリーしたのだ。


そのスクランブラーは昨年、じつはかなり大掛かりな改良を受けた。スタイリング面ではタンクカバーのデザイン変更、マフラーのサイレンサーとプロテクターの形状変更、ヘッドライトのLED化、ホイールのデザインも変更されている。

だがその刷新に気づいた人は少ないかもしれない(僕もそうだった……)。それはスクランブラーの見た目の印象を大きく変えるような変更ではなく、細かな部分を少しずつブラッシュアップしていたからだ。むしろ見た目を「変えない」ように配慮しつつ改良された、と言うべきかもしれない。

しかし走り出すと、803cc Lツイン・エンジンの印象はかなり変わっていた。従来型は低回転域でややギクシャクするような粗さがあったが、新型は下から上までとてもスムーズに回り扱いやすい。さらにクラッチがワイヤー式から油圧式に替わり、操作が軽くなったことも相まって、とくに街中を走るのはかなりラクになるだろう。


足まわりもリセッティングされ、サスペンションの動きがしなやかになるとともに、厚みの増したシート形状により乗り心地もよくなった。「カジュアルに付き合えるドゥカティ」としてのキャラクターが、いっそう進化していると感じられた。

見た目を変えずに中身をリファインしてくれたのは、スクランブラー・ファンとして、とても嬉しい。願わくばヤマハ『SR』のように、外観のモデルチェンジをせずに長く作り続けてほしい。もとよりイタリア人は、ひとつのモノを愛着を持って使い続けるのが上手な人達なのだから。

■5つ星評価
パワーソース:★★★★
ハンドリング:★★★★★
扱いやすさ:★★★★★
快適性:★★★
オススメ度:★★★★

河西啓介|編集者/モータージャーナリスト
自動車雑誌『NAVI』編集部を経て、出版社ボイス・パブリケーションを設立。『NAVI CARS』『MOTO NAVI』『BICYCLE NAVI』の編集長を務める。現在はフリーランスとして雑誌・ウェブメディアでの原稿執筆のほか、クリエイティブディレクター、ラジオパーソナリティ、テレビコメンテーターなどとしても活動する。

(レスポンス 河西啓介)

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