【ハスクバーナ ヴィットピレン701 試乗】“洒落た”見た目に騙されてはいけない…河西啓介

ハスクバーナ ヴィットピレン701
昨年、2018年夏に日本に導入されて以来、ずっと「乗ってみたい」と思っていたハスクバーナ『ヴィットピレン701』に試乗することができた。

スウェーデン発の「ハスクバーナ」は100年以上の歴史を持つ老舗メーカーだが、日本での認知度は決して高くない。長らくモトクロス、エンデューロ、モタードといったオフロード系モデルに特化していたことがその主たる理由だ。しかし経営をめぐる紆余曲折の末、2013年にオーストリアのKTM傘下に入ったことから、オンロードモデルの開発がスタートした。


そのハスクが放ったロードモデル、ヴィットピレンを見て誰もが驚いたのは、そのスタイリングだった。シンプルでエッジの効いた造形は、デザイン画をそのまま実車にしてしまったかのような印象で、とくにシート直後でストンと裁ち落とされたテールの処理は象徴的なポイントだ。

タンクからテールまでの直線的なライン上にあるシートは、830mmという高めの着座位置。脚付きは決していいとは言えないが、157kgという250ccモデル並みに軽い車重がそれを補ってくれるおかげで、取り回しに不安は感じさせない。


ハンドルが比較的高い位置にあり、前傾姿勢がそれほどキツくないのは中年以上のライダーにとっては嬉しい。デザイン優先と思わせるスタイリングから受ける印象に対して、ライディングポジションは親しみやすく感じられる。

エンジンはKTM『690デューク』とベースを同じくする水冷693cc単気筒だ。シングルながら高回転まで淀みなく回る高性能ユニットとして定評がある。ヴィットピレンに積まれるエンジンはデュークよりハイチューンが施され、8500rpmで76psを発揮する。


エンジンを始動し、走らせてみると、スタート直後の低回転域でのトルクがやや薄く、ロースピードで走っていると車体がガクガクと振動するのが気になった。だがスピードを上げ、高回転域をキープして走ると印象は一変する。回すほどにスムーズさが増し、ガツンとパンチの効いたトルクが軽量な車体をグングン前に押し出す。

ハンドリングは見た目およびウェイトの「軽さ」に比して、しっとりとした味付けだ。こちらもある程度スピードを上げ、タイヤにしっかり荷重をかけて走ったほうが愉しめる。そのデザイン・コンシャスな見た目から、「ストリートを流す」ためのモデルという先入観を持っていたが、実際は硬派かつ“男気”あふれるバイクなのだ。

きっとワインディングロードで気合を入れて走ったなら、このパワフルなエンジンと軽量な車体があいまって、相当に楽しいだろうなと想像する。やはりオフロードレースで鳴らしたハスクバーナのバイクなのだ。その“洒落た”見た目に騙されてはいけない。


■5つ星評価
パワーソース:★★★★
ハンドリング:★★★★
扱いやすさ:★★★
快適性:★★
オススメ度:★★★

河西啓介 編集者/モータージャーナリスト
自動車雑誌『NAVI』編集部を経て、出版社ボイス・パブリケーションを設立。『NAVI CARS』『MOTO NAVI』『BICYCLE NAVI』の編集長を務める。現在はフリーランスとして雑誌・ウェブメディアでの原稿執筆のほか、クリエイティブディレクター、ラジオパーソナリティ、テレビコメンテーターなどとしても活動する。

(レスポンス 河西啓介)

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