【スーパーフォーミュラ 第3戦】速さ圧巻の山本尚貴、「腑に落ちない」終わり方となった予選を制して今季初ポール

ポールポジションを獲得した#1 山本尚貴(予選直前)。
全日本スーパーフォーミュラ選手権(SF)第3戦の予選が22日、宮城県のスポーツランドSUGOで行なわれ、選手、観客の多くが消化不良感を抱く終了形態となった混乱のなか、前年王者の山本尚貴が今季初ポール獲得を達成した。Q2では1分03秒953という圧倒的タイムも記録している。

微妙な空模様が続いたSUGO戦予選日、午後1時20分に今回は2グループ分割実施となる予選Q1が開始された時点での天候は、またパラッと雨が来たかどうかというところだった。Q1-A組、Q1-B組、Q2、Q3と進んでいくなかでも雨は微妙な変化を継続。ただ、タイム水準で考える限り、路面状態は実質的にほぼドライで維持されていたようだ(ドライ用タイヤはQ1のみ規則でミディアムに使用を限定、Q2以降はソフト使用可=基本的に全車ソフト使用)。

Q2までは順調な展開、そこで快調な仕上がりぶりを見せたのは昨年のチャンピオン #1 山本尚貴(DOCOMO TEAM DANDELION RACING/ホンダ)である。Q1-B組、Q2ともにトップ通過、Q2ではこの日唯一の1分03秒台となる新コースレコードの1分03秒953を叩き出し、短いコースで後続に0.355秒の大差をつけた。のちに#1 山本は「(サーキットへの)持ち込みの状態からマシンがすごく良い」との旨を語っている。

順調な流れのまま迎えたQ3、しかしここで混乱が生じた。各車がいよいよ本格的にタイムを出す、というタイミングの残り約1分半というところで、#64 A.パロウ(TCS NAKAJIMA RACING/ホンダ)がSPコーナー区間でクラッシュしてしまう。さらには直後、ほぼ同じ場所で僚友の#65 牧野任祐もクラッシュし、赤旗中断になる(両選手に大きな負傷等はなかったようだ)。

この時点では#1 山本が1分04秒532をマークしていた以外は1分08秒台以降の“準備試走レベル”のタイムしか出ていない。通常ならば、残り時間を適宜のばしてセッションは再開されるのだが、赤旗直後に「赤旗をもって終了」という通知がタイミングモニター上に流れる。選手も観客も首をひねる、クライマックスなしの予選終了形態となってしまった。

予選後の早い段階で伝わってきた情報によれば、クラッシュ発生地点のバリアの修復等にけっこうな時間がかかりそうだったことと、天候悪化の懸念もあったため、いわゆる“競技団”は安全性を最優先に考慮して、Q3の赤旗即時終了を決めた模様。

(予選中断時の延長または短縮の決定は競技会審査委員会が決定する、と規則にある。なお、上記とほぼ同義のQ3終了理由が当日のうちにシリーズ運営団体「JRP」の派遣レースディレクター名で公表されている。それによれば「大会競技長と協議の上、大会審査委員会の承認を得てQ3を終了することとした」)。

判断は尊重されるべきで、大会運営のルール的にも問題はないと思われるが、時刻がまだ午後2時半であり、いささか「?」な雰囲気の強い決定になってしまったことは否めない。結果的にその後も強い雨はしばらく降らず、3時過ぎにはサポートレースの実施ができていたこともあって、傍目からの「?」感はさらに強まったといえよう。

Q3で唯一まともなタイムを刻めていた#1 山本も、その状況での今季初ポールポジションに表情は複雑。マシンの仕上がり的に絶好調だったたけに、消化不良感も増したようだった。

#1 山本尚貴のコメント(予選終了直後、一部抜粋)
「みなさん(取材陣やファン)が思っていることと、僕たちドライバーが感じていることは一緒だと思います。腑に落ちない予選(Q3の終わり方)になってしまったな、というのがいちばんですね」

「Q2までは(自分自身の出来としても、競技全体としても)いい予選ができていたと思います。もちろん決定は尊重すべきですけど、通常なら延長があるところでこういう決定がされた理由は(なるべくすぐに)知りたいですね」

「僕がもし観客で、こういう終わり方だったらと考えると……。(関係者の)みなさんと、もっとレースをちゃんと戦える状況をつくっていけたらな、と思います」

速いだけでなく、日本のモータースポーツの真の隆盛を思う偉大な王者・山本尚貴ならではの、すべてが集約されたコメントである。不運な巡り合わせが招いた消化不良感ではあったが、関係各位には競技運営状況のさらなる向上を期待したいところ。そして明日の決勝こそは、全選手が全力を尽くせる展開になることを望みたい。

Q3の2番手タイムは1分08秒台の#64 パロウだったが、彼は赤旗原因となったためのタイム抹消を受け、さらに予選8位(Q3最下位)へと位置づけられた。#65 牧野も同じくタイム抹消(予選7位)。

予選2~6位には、それぞれQ3ではまともなアタックタイムを残せていない状態(1分10~13秒台)ながら、以下の面々がついている。

2位 #16 野尻智紀(TEAM MUGEN/ホンダ)
3位 #50 L.アウアー(B-Max Racing with motopark/ホンダ)
4位 #17 塚越広大(REAL RACING/ホンダ)
5位 #18 小林可夢偉(carrozzeria Team KCMG/トヨタ)
6位 #5 福住仁嶺(DOCOMO TEAM DANDELION RACING/ホンダ)

今回はQ3進出枠8台中7台をホンダ勢が占め、トヨタ勢では#18 可夢偉が唯一のQ2突破者(しかもQ2は8位)だった。開幕戦優勝の#37 N.キャシディ(VANTELIN TEAM TOM'S/トヨタ)が予選14位、第2戦優勝の#19 関口雄飛(ITOCHU ENEX TEAM IMPUL/トヨタ)も予選15位。

ただ、彼らの今季の優勝はともにフタ桁グリッド発進から成し遂げられたものであり、彼らに限らず、今回も戦略等々での決勝急浮上は充分に可能だろう。WEC王者となって凱旋した#36 中嶋一貴(VANTELIN TEAM TOM'S/トヨタ)も予選17位からの挽回を期す。

決勝レース(68周、約250km)は明日23日の午後2時20分開始予定。セーフティカー導入等が多く見られるコースでの戦いだけに、天候がどうあれ、一瞬たりとも目の離せない、やはり波乱度高めな展開になるかもしれない。

(レスポンス 遠藤俊幸)

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