【浦島ライダーの2輪体験記】シングルスポーツの楽しさをギュッと凝縮した「KTM RC390」

KTM RC390
16歳の誕生日と共に原付免許を取り、でも、20代はクルマに夢中。アラサーでリターンライダーになるも、40代は仕事に忙殺される。そしてアラフィフで2輪に再々入門。そんな浦島ライダーが、最新のバイクをチェックしていきます!


◆プロジェクターライトに懐かしさも

デビューから5年余りが経ったKTM『RC390』。いまでも路上でいきなりその姿を目にすると、「ギョッ!」としますね。オーストリアはKISKAデザインの手になる斬新なスタイルは、まったく色あせる気配がない。ある種の「異物感」が、日本でガイシャに乗る理由のひとつでしょう。

RCシリーズは、鋼管を三角に組んだトレリスフレームに単気筒エンジンを搭載し、フルカウルを与えたライトなスーパースポーツ。125(124.7cc)、250(248.8cc)、そして390(373.2cc)の3車種がラインナップされます。特徴的な表情を見せるプロジェクターライトは、ライダーから見て左がロウ、右がハイビーム。「そういえば、ヤマハFZRの最終型がプロジェクターだったなァ」と、“ちょっと古い”バイク好きは遠い目をすることでしょう(←ワタシです)。

KTM RC390は2016年にマイナーチェンジを受け、スロットル開度を電子的に制御する「バイ・ワイヤ」仕様になり、スリッパークラッチを採用、フロントブレーキも拡大されました。外観は大筋では変わらないけれど、新旧の見分けはマフラーでできます。ボディ底部のアンダーカウルに埋め込まれ、その後端にマフラーエンドだけのぞかせているのが、マイチェン前。現行モデルは、通常のスポーティなマフラーが後ろに伸びるカタチになった。コアなKTMファンは「スペシャル感が薄れた」と感じるかもしれませんが、ニューマフラーも違和感なくエクステリアに溶け込んでいます。


◆スーパースポーツでも街乗りなら

シート高は820mm。当たり硬めのシートは横幅がスリムなので、数値ほど足付きは悪くない。一見シングルシートに見えますが、リアの上部がクッションになっていて、二人乗りが可能です。メーカー自らスーパースポーツと謳うように、ポジションの前傾はキツめ。長時間同じ姿勢を続ける高速道路などではちょっとツラいけれど、赤信号のたびに腰を伸ばせる街乗りなら、それほど苦になりません。

ショートストロークのビッグシングルは、ツインカムのヘッドメカニズムを持ち、最高出力43ps/9500rpm、最大トルク35Nm/7250rpmを発生。いかにも高回転を好むエンジンで、スムーズに走るためには、できれば回転計のゲージを5000rpm以上に入れておきたい。

6スピードのトランスミッションは速めのギアが切られ、余裕を見て、7000rpmで点灯するインジケーターを目安にシフトしていくと、セカンドで約55km/h、サードで約70km/h、4速で約85km/hに達する。単気筒ユニットの角が立ったビートを利かせ、スパイシーな加速を見せます。一方で、ハイウェイでの100km/h巡航は6000rpmプラスだから、目的地につくまでに「エンジンの音と振動で疲れ果てる……」ということはありません。


◆山道・峠道でも十二分に楽しい

KTMのスーパースポーツは、「本籍はサーキット」といいたいところだけれど、もちろん山道・峠道でも十二分に楽しい。フロント110、リア150の17インチタイヤを履き、147kg(乾燥重量)の軽量ボディを、スパーン! スパーン! と鋭く倒してカーブをこなしていく。サスペンションは意外なほど柔らかで、バイクの挙動を素直にライダーに伝えつつ、路面の凹凸をしなやかにいなして走ります。

KTMいうところの「アンチホッピングクラッチ」(スリッパークラッチ)がシフトダウン時の回転差を吸収してくれるので、なんだかライディングが上達したかのよう。かっちりと速度を殺すバイブレのブレーキも頼もしい。フロントには、贅沢な4ピストンキャリパーがラジアルマウントされます。もちろん、ABS付き。

先鋭的なデザインを纏ったRC390は、その姿に違わず、今日的なシングルスポーツの楽しさをギュッと凝縮したバイクですね。メーカー希望価格は、66万5000円。キャラの立ったスポーツバイクを探している人には、おもしろい選択肢なんじゃないでしょうか。



(レスポンス ダン・アオキ)

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