【ハーレー ライブワイヤー 海外試乗】まさに『トロン』の光電子バイク!爽快な走りに心ときめく…佐川健太郎

ハーレーダビッドソン ライブワイヤー(LliveWire)
ハーレー初の電動バイク『LliveWire(ライブワイヤー)』は、おそらくは電動スポーツバイクとしては世界初の量産市販車である。ついにそういう時代に突入したのだ。

◆ガソリンバイクと変わらない感覚で乗りこなせる

一番の特徴はパワーユニットだろう。車体のど真ん中、まさにコア部分にアルミフレームでサンドイッチされる形で15.5kWhの高電圧バッテリー(リチウムイオン電池)を搭載。これを保護するアルミ製ハウジングは車体を支える強度メンバーであり、電池を冷却するヒートシンクとしての役割もある。

その底部に最高出力105psを発揮する水冷式モーターを組み合わせることで、0-100km/h加速3.0秒を実現。これはガソリンバイクでいうと1000ccクラスのスポーツモデルに匹敵する。


電動バイクの出足の良さは広く知られるところだ。それは瞬時に100%のトルクを引き出せる電動モーターの特性も大きいが、それだけではない。クラッチもミッションもないため、発進時もアクセルを捻るだけでよく、通常のバイクのように半クラに失敗してエンストしたり、シフトを焦ってギヤ抜けを気にする必要もない。

それでいて、アクセルを閉じると蓄電するための回生ブレーキが程よく効くため、通常のガソリンバイクとほとんど変わらない感覚で乗りこなしていける。その気になれば、血の気が引くような猛烈な加速も可能だが、一方では歩くような速度でも半クラがいらず、トルクの出方が一定かつスムーズなので実は極低速バランスも得意という意外な一面も見えた。

◆まさに映画『トロン』の光電子バイク


ワインディングも想像以上にスポーティで、日本でいうと箱根のようなタイトな峠道でも軽快に切り返していく。車重が249kgと電動モデルとしては軽量であることに加え、ガソリン車ではあり得ないスリムかつ低重心な車体も奏功しているはずだ。軽快な中にもどっしりとした安定感があり、大型スポーツバイクを操っている醍醐味もちゃんと味わえる。その辺りのハンドリングの作り込みはハーレーの伝統的な持ち味とも重なる。

音もいい。回転上昇とともに唸りを上げるモーターの高周波音と駆動系のメカノイズがミックスした、エレクトリックサウンドがドラマチックに盛り上がる。まさに映画『トロン』に出てきた光電子バイクのような音質を楽しめるのだ。従来のVツイン独特の3拍子のドコドコ感とはまったく異なるものではあるが、けっして退屈なものではなく、まるでSFの世界にいるようなクリーンな爽快感が残った。

電子制御も投入され、4種類のライドモード(スポーツ、ロード、レイン、レンジ)に加え自分でセッティング可能な3つのカスタムモードやコーナリングABS&トラコン、強力な回生ブレーキを緩和するADSL(スリッパ―クラッチの役目)も採用され、走る場所や好みに応じてボタンひとつでモード切り替えができるところもメリット。

◆日本では「CHAdeMO」急速充電にも対応


気になる航続距離だが、急速充電60分でほぼフル充電となり最大235kmの走行が可能。街乗りと高速道路を含めると153km、と既存のガソリンバイクよりは短いものの、ハーレーが想定している都市型モビリティとしては十分なレベルかと。ちなみに、実際の試乗コースではワインディングを含む約60kmの走行でバッテリー残量30%を表示していたことから、ハードな走りではややレンジが短くなるかも。

そこで問題になるのが充電ステーションだが、安心してほしい。ハーレー本社広報スタッフに聞いたところ、LiveWireが日本に導入される際には全国のディーラーを中心に急速充電器が整備され、充電規格も国内ですでに広く普及している「CHAdeMO(チャデモ)」対応となる予定だとか。つまり、ハーレーディーラーだけでなく既存の4輪EV用の充電施設も使えると見ていいだろう。もちろん家庭用電源でもオーケーだ。

日本への導入時期は未定としつつも、おそらく2020年以降となりそうだ。価格も今回の米国仕様で 2万9799ドル(約320万円)と現実的レベルと言える。これは期待できそうだ。


■5つ星評価
パワーソース:★★★★★
ハンドリング:★★★★
扱いやすさ:★★★★★
快適性:★★★★★
オススメ度:★★★★★

佐川健太郎|モーターサイクルジャーナリスト
早稲田大学教育学部卒業後、出版・販促コンサルタント会社を経て独立。編集者を経て現在はジャーナリストとして2輪専門誌やWEBメディアで活躍する傍ら、「ライディングアカデミー東京」校長を務めるなど、セーフティライディングの普及にも注力。(株)モト・マニアックス代表。バイク動画ジャーナル『MOTOCOM』編集長。日本交通心理学会員。MFJ公認インストラクター。

(レスポンス 佐川健太郎)

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