トヨタ スープラ 新型、430馬力のGT4レーサー…欧州初導入車は完売

トヨタ GR スープラ GT4
トヨタ自動車の欧州部門は3月16日、新型『GRスープラ』のレーシングカー、『GR スープラ GT4』(Toyota GR Supra GT4)の欧州向けの最初の導入車が、完売したと発表した。

同車は、新型GRスープラをベースに、ドイツに本拠を置くトヨタモータースポーツが開発し、生産を行うレーシングカーだ。「GT4」は、低コストで気軽に参戦しやすいカテゴリーのモータースポーツとして、世界中のプライベートチームに人気を博している。GR スープラ GT4は、米国のミシュランパイロットチャレンジシリーズ、欧州のGT4欧州シリーズやVLN(ニュルブルクリンク耐久シリーズ)、日本のスーパー耐久シリーズなど、世界中のさまざまなレースに参戦することができる。

GRスープラ GT4では、ラベノール(Ravenol)、ピレリ、アクラポヴィッチ(Akrapovic)社を、技術パートナーに起用した。ドイツのラヴェンスベルガー・シュミエルシュトフ・フェアトリーブ社が開発・製造する潤滑油ブランドがラベノールだ。GRスープラ GT4の出荷時には、ラベノール製オイルが充填される。アクラポヴィッチは、モータースポーツ専用エギゾーストシステムを手がけた。

◆車両重量は170kg軽量化して1350kgに

GRスープラ GT4では、フロントスポイラーとリアウイングには天然繊維コンポジットを使用するなどして、車両重量を1350kgに軽量化した。市販車の1520kgよりも、170kg軽い。ボディサイズは全長4460mm、全幅1855mm、全高1250mmとなる。

インテリアには、カーボンファイバー製インストルメントパネルを採用し、レース用のステアリングホイールと8インチディスプレイを導入した。データロギングシステムも標準装備する。軽量スチールボディには、レースでの安全性を確保するため、FIA(国際自動車連盟)規則に準拠した高剛性ロールケージを装着し、OMP製のレーシングバケットシートと6点式シートベルト、消火器、エアジャッキを組み込む。リアビューカメラ、タイヤ空気圧センサー、サスペンションセンサー、点灯式カーナンバー、ドリンクシステム、認定耐久パッケージも、オプションで選択できる。

◆3.0リットル直6ターボはレース用に専用チューン

3.0リットル直列6気筒ガソリンターボエンジンは、マニエッティ・マレリ製のレーシングECUなどにより、最大出力430hp、最大トルク66.3kgmを獲得する。市販車の最大出力340hp、最大トルク51kgmに対して、90hp、15.3kgm の強化にあたる。SRO(ステファン・ラテル・オーガニゼーション)による性能調整(バランス・オブ・パフォーマンス)は、USBパワースティックで行う。パドルシフト付きの7速スポーツATと機械式LSDを組み合わせる。レース用ドライブシャフトは、GKN製だ。

サスペンションは市販車のGRスープラと同様に、フロントにマクファーソンストラット、リアにマルチリンクを採用したうえで、レース用のKW製調整式ダンパーを装着する。ブレーキシステムには、レースにおいて充分な性能を確保するために、フロントに6ポット、リアに4ポットのレース用ブレンボ製キャリパーを採用した。ローター径は、フロント390mm、リア355mmだ。タイヤはピレリ製の18インチで、サイズはフロントが305/660-18、リアが305/660-18とした。OZ製の18インチホイールを装着している。

◆ニュルブルクリンク24時間耐久レースなどに参戦

なお、GRスープラ GT4は、各種レースを主催するSRO(ステファン・ラテル・オーガニゼーション)による公認を取得した。最初の顧客も決定しており、ドイツ・ニュルブルクリンクの近郊のリングレーシングが、GRスープラ GT4を2台導入し、ニュルブルクリンク24時間耐久レースなどに参戦する。

また、フランスに拠点を置くCMRは、2台のGR スープラGT4を、欧州GT4シリーズとフランスGT4シリーズに投入する。英国では、スピードワークス・モータースポーツが、ブリティッシュGTシリーズにGRスープラGT4で参戦する。

なお、GR スープラ GT4に対する顧客の需要が根強いため、欧州向けの最初のユニットは完売した。トヨタの欧州部門は、次の生産車をオーダーしており、出荷は初夏を予定している。


(レスポンス 森脇稔)

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