レクサス初のEV、『UX300e』に最新エアロダイナミクス技術…欧州で年内発売

レクサス UX 300e(欧州仕様)
レクサスの欧州部門は6月29日、2020年内に欧州市場で発売されるブランド初の市販EVの『UX300e』(Lexus UX 300e)に、最新のエアロダイナミクス技術を採用した、と発表した。

同車は、レクサス最小のSUVの『UX』をベースに、EVパワートレインを搭載したモデルだ。UXのデザインやユーティリティなどの特長はそのままに、EVならではのパフォーマンスを実現することを重視して開発された。

UX300eのベース車両のUXは発売初年度、およそ2万5000台を欧州で販売した。ヨーロッパで最も売れたレクサス車になったという。

◆F1マシンの空力技術を応用したフラップ付きホイール

レクサスは、このUX300eに、最新のエアロダイナミクス技術を採用した。レクサスは、UX300e専用にミディアムグレーで仕上げられた17インチまたは18インチのアルミホイールを用意している。

17インチのアルミホイールは、スポークの両側にフラップを備えた「エアロベンチレーティング」デザインだ。これは、F1マシンが空気の流れを最適化し、ダウンフォースを高めるためにリアウィングに取り付ける「ガーニーフラップ」と同様の形状になる。この新しいホイールデザインは、ブレーキ性能やブレーキの冷却効率を高めるとともに、車両側面の空気の流れの乱れを抑える効果を発揮するという。

18インチタイヤは、静粛性と操縦安定性を重視して設計された。17インチタイヤは、同クラスのタイヤの中で最も低い転がり抵抗を実現するという。

UX 300eのフロントグリルには、アクティブシャッターを備えており、バッテリーの状態に応じて自動的に開閉する。走行中に発生する気流が冷却に必要な量を超えると、シャッターが閉じてグリルから入る気流を遮断する。この時、車両の抗力係数も0.33から0.31に低減される。

エアロホイールモールディングとリアコンビネーションライトは、ベース車両のUXから引き継がれた。リアコンビネーションライトは、空気圧の変化を約16%減少させ、コーナリング時や横風時のリアの安定性に貢献するという。

また、ノイズを抑えるために、バッテリーの底面を滑らかな形状とし、車両の床下カバーが拡大されて、空力性能の高いアンダーボディ構造を作り出している。

◆0~100km/h加速は7.5秒

UX 300eでは、「GA-C」プラットフォームのフロントに、最大出力204ps、最大トルク30.6kgmを発生するモーターを搭載する。パワフルなモーターにより、0~100km/h加速は7.5秒の性能を発揮する。最高速は160km/hに抑えられる。

EVでも、UXのガソリン車やハイブリッド車と同じく、ドライバーの意図に忠実な滑らかな加速フィーリングを追求した。ドライブモードセレクトによって、ペダル操作に対して、瞬時にトルクが立ち上がるEVならではの力強い加速フィーリングを味わうことも可能という。

また、パドルシフトによって、減速度を4段階から選択できる。ガソリン車のエンジンブレーキと同じように減速操作ができ、EVの特性を最大限生かしながら自然な操作性を実現することを目指した。

◆リチウムイオンバッテリーは蓄電容量54.3kWh

大容量のリチウムイオンバッテリーは、床下に搭載される。蓄電容量は54.3kWhとした。ハイブリッド車で培ったモーター、インバーター、ギア、バッテリーといった主要装備の効率を最大化し、システム全体としての性能向上を図った。1回の充電での航続は、最大で400km(NEDC:新欧州サイクル)を確保している。

低温や高温下でも正常に動作するよう、バッテリーには温度調整機能を備える。過充電防止システムや、多重監視のセーフネットにより、高い信頼性を追求した。バッテリーの充電は、普通充電(AC)の場合、最大6.6kWの出力で充電できる。急速充電(DC)の場合、最大充電出力は50kWとした。

最新のコネクティッド技術を採用する。専用アプリによるスマートフォンとの連携で、バッテリー残量や航続、充電の必要があるかどうかを確認できる。また、充電完了までの時間を把握したり、出発時刻に合わせて充電が完了するようタイマーを設定したりすることも可能だ。エアコンやシートヒーター、デフロスターなどを、車外から遠隔操作することもできるという。

(レスポンス 森脇稔)

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