[WEC]トヨタ、新規定車「GR010」でシリーズ3連覇&ルマン4連覇に照準…可夢偉の個人最大目標は悲願のルマン初優勝

トヨタは15日、ルマン24時間レースを含む世界耐久選手権(WEC)の2021年シーズン参戦車「GR010 HYBRID」を発表した。ドライバー布陣に昨季からの変更はなく、昨季世界王者の小林可夢偉は悲願である自身初のルマン優勝を「最大の目標」に据えて戦う。

トヨタ(TOYOTA GAZOO Racing=TGR)はWECの新たな最高峰クラス規定「LMH」(ルマン・ハイパーカー)に則ったプロトタイプマシン「GR010 HYBRID」を開発、この日の発表に至った。GR010は昨季まで活躍してきたLMP1規定車「TS050 HYBRID」からバトンを引き継ぎ、3季連続の対象シリーズタイトル独占と4年連続のルマン総合優勝を目指す。

WECの最高峰クラスから2016年シーズン限りでアウディが、2017年シーズン限りでポルシェが去ったのち、トヨタは2018/2019シーズン、2019/2020シーズンと、いずれもドライバー&チーム両部門の対象シリーズタイトルをTS050で獲得した。この2季の間に計3回あったルマン24時間レースでは、すべて総合優勝。その覇道を継承するGR010について、TGRのWECチーム代表・村田久武氏はこう“解説”する。

「GR010 HYBRIDは、TGRにとってTS050 HYBRIDのDNAを受け継ぎ、開発中のGR Super Sport (仮称)の兄弟とも言える重要なクルマです。お客さまが将来ドライブするクルマのプレビューでもあります」

「また、GR010 HYBRIDは私たちの最先端の技術ショーケースであり、これまで耐久レースで磨き続けてきたトヨタのハイブリッド技術、パフォーマンスを最大限に注ぎ込んでいます」

「WEC参戦を通じて、ハイパーカー技術の理解を深め、『もっといいクルマづくり』に向けて人を鍛えます。新しいライバルの参入による厳しい戦いを通じて、我々はさらなる高みを目指し、挑戦し続けます。応援よろしくお願いします」

TGRによれば、2021年のWEC最高峰クラスにはスクーデリア・キャメロン・グリッケンハウス、バイコレス、LMP1カーで参戦のアルピーヌといったライバルが集結するという。

WECの最高峰クラスに関しては、プジョーがLMHマシンでの参戦を近い将来(2022年以降)に企図中。また、「LMDh」という新規定でもWEC最高峰クラスには参戦が可能になるとされており、これを利用してアウディやポルシェの近未来の帰還も見込まれている。ただ、当面はやはりトヨタに圧倒的な主軸としての活躍が期待されるところだ(BoP=バランス・オブ・パフォーマンスにより接戦化が進むことをTGRの首脳や選手は覚悟しているようだが)。

まだまだ流動的な要素も多いWEC最高峰クラスの今季(2021年)および今後ではあるが、ともあれ、トヨタは対象タイトルの3季連続独占とルマン4連覇を目指して戦う。そのドライバー布陣は昨季と変わらない。#7 GR010 HYBRIDが小林可夢偉/M.コンウェイ/J-M.ロペス、#8 GR010 HYBRIDは中嶋一貴/S.ブエミ/B.ハートレーだ(N.デ・フリーズも引き続きテスト兼リザーブドライバーを務める)。

2019/2020シーズンのWEC LMPドライバーズチャンピオン、つまりディフェンディングチャンピオンの立場で新シーズンに臨むのが7号車・小林可夢偉組である。彼ら3人はまだルマン総合優勝を経験しておらず、やはりそこが最大の目標になってくるようだ。

#7 小林可夢偉のコメント
「新しい時代の幕開けは常に楽しみですし、GR010 HYBRIDとGR Super Sport(仮称)は大いに気に入っています。ルマンのパフォーマンスをロードカー開発に注ぎ込むというプロジェクトの一員になることは心躍ります」

「ドライバーがすべきことと求められることに変わりはありませんので、我々ドライバーは速く、そしてコンスタントに走ることで勝利を手に入れることができるでしょう。BoPのことを考えると、ミスは許されません。個人的にはここ数年の悪運をふり払ってルマンに勝つことが最大の目標です。7号車のメカニックもエンジニアも全員がルマンで勝つことを心から望んでいます」

一方、2018/2019シーズンのWEC LMPドライバーズチャンピオンで、ルマン3連覇中なのが8号車の中嶋一貴(とブエミ)。こちらは当然、ルマン4連覇とチャンピオン奪回がターゲットになる(8号車は2018/2019シーズンに中嶋/ブエミ/F.アロンソで王座獲得、2019/2020シーズンは中嶋/ブエミ/ハートレー。ルマン優勝は18、19年が“アロンソ組”で、20年が“ハートレー組”)。

#8 中嶋一貴のコメント
「技術的にもレースに対するアプローチの面でもまったく異なるWECの新時代に参加するのはとてもエキサイティングなことです。新しいクルマでレースをすること、ステアリングを握って新しい感覚を得ることは、ひとりのドライバーとして特別な体験ですからね」

「このクルマ(GR010)はスタイルも良く、全開のレーススピードで駆け抜ける姿を観戦するのは壮観に違いありません。今シーズンはこれまでのどのシーズンよりも接戦の連続になると思います。ハイパーカークラスの誰もが勝利のために限界に挑みます。ドライバーだけでなくファンのみなさんにとっても心躍る体験となるでしょう」

「従来とは異なるアプローチでレースに臨む必要がありますが、ゴールは常に同じであり、今シーズンのターゲットも明確です。TGRにとって4回目のルマン優勝を果たし、ワールドチャンピオンを獲得(対象シリーズタイトルを独占)することです」

一貴のコメントを補足すれば、TGRにとって4回目のルマン優勝と今季の対象ドライバー部門ワールドチャンピオン獲得はもちろん8号車が、というところだろう。TGRは今季も陣営内での切磋琢磨を、可能な限り(共倒れ等になったりしない限り)継続するものと見られる。

既にTGRは3日間におよぶGR010の集中的テストプログラムを2回実施した。チームディレクターのロブ・ロイペン氏は、「デビュー戦(3月19日/米セブリング)を前に、残されたテストに集中して取り組みます。新しい、エキサイティングな時代の到来をファンのみなさまにお見せすることを心待ちにしています」とコメント。テクニカルディレクターのパスカル・バセロン氏も、「開発においては技術的に興味深い数々の挑戦がありました。我々はこうした新機軸を実際のテストプログラムで検証している最中であり、完成する日を心待ちにしています」としている。

WECの2021年シーズンはルマン24時間レース(6月)、富士スピードウェイ戦(9月)など全6戦の構成で、開幕戦はアメリカのセブリングにて3月19日決勝予定でスケジュールされている。また、セブリングでは開幕直前の公式プレシーズンテストも実施される予定だ。予定通りならば、今から約2カ月後にGR010は初実戦を迎え、秋には富士でその雄姿が見られることとなる。

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