実は創業の地や祖業も同じトヨタとスズキ、なぜ2社は自動車メーカーになったのか
今日では世界中で多くの人に、自動車メーカーとして知られるトヨタとスズキ。じつは双方ともその起原を遡れば織機メーカー、つまり布生地を織るための機械を、現在の浜松市近隣で造ることから始まった。
というのも、トヨタ・グループの創始者である豊田佐吉は現在の静岡県湖西市鷲津にあたる敷知郡吉津村で、スズキの創業者である鈴木道雄は現在の浜松市中区あたりの天神村で生まれた。江戸時代まで遠江国と呼ばれたこの辺り一帯は、温暖な気候を利して綿花栽培が盛んで、農閑期に機(はた)で木綿を織る農民が多くいて「遠州織物」という織物産業が盛んだった。明治以降に近代化・機械加が進み、地元で造られた動力織機によって工業化が進んでいった地域なのだ。
明治政府が専売特許条例を発布したのは1885年で、豊田佐吉が自身の第1号となる特許案件を取得したのは1891年のこと。少し遅れて、鈴木道雄は1909年に鈴木式織機製作所を興し、法人化したのは1920年だった。
明治中期から昭和初期にかけて、織物は重要な輸出品だった。豊田式と鈴木式、そして鈴政式を擁するもう一社、遠州織機(現エンシュウ社)が、遠州の3大織機メーカーと謳われた。ちなみに今日、エンシュウはヤマハの工作機械や加工を供することで知られている。
いずれも自動車産業への脱皮を図ったきっかけは、自動車という発明品が1910~20年代、欧米で将来性を見せていたことに加え、繊維産業が世界的な不景気や他国との競合によって難しくなっていたため、経営の多角化という側面も多分にあった。
豊田自動織機製作所で自動車製造の研究が本格したのは1930年前後、同じ頃から鈴木式織機は海外メーカーのライセンス生産も模索していたようだ。が、自動織機メーカーにとって、動力を持続的に伝えることで一定の仕事を効率よく為す機械という点では、自動車は軌を同じくするプロダクトで、軽工業から重工業という違いはあれど、次世代のプロダクトとして時代の要請するものだった。
ちなみに1930年代の浜松では近隣の出身の本田宗一郎が、自動車修理業のアート商会浜松支店、次いでピストンリング製造の東海精機重工業を営んでいた。自動車産業は今やエネルギー源と制御の方に重きが移ってしまったかのように見えるが、かの地域の繊維産業は自動車産業の前身のひとつとして、興味深いものがある。
というのも、トヨタ・グループの創始者である豊田佐吉は現在の静岡県湖西市鷲津にあたる敷知郡吉津村で、スズキの創業者である鈴木道雄は現在の浜松市中区あたりの天神村で生まれた。江戸時代まで遠江国と呼ばれたこの辺り一帯は、温暖な気候を利して綿花栽培が盛んで、農閑期に機(はた)で木綿を織る農民が多くいて「遠州織物」という織物産業が盛んだった。明治以降に近代化・機械加が進み、地元で造られた動力織機によって工業化が進んでいった地域なのだ。
明治政府が専売特許条例を発布したのは1885年で、豊田佐吉が自身の第1号となる特許案件を取得したのは1891年のこと。少し遅れて、鈴木道雄は1909年に鈴木式織機製作所を興し、法人化したのは1920年だった。
明治中期から昭和初期にかけて、織物は重要な輸出品だった。豊田式と鈴木式、そして鈴政式を擁するもう一社、遠州織機(現エンシュウ社)が、遠州の3大織機メーカーと謳われた。ちなみに今日、エンシュウはヤマハの工作機械や加工を供することで知られている。
いずれも自動車産業への脱皮を図ったきっかけは、自動車という発明品が1910~20年代、欧米で将来性を見せていたことに加え、繊維産業が世界的な不景気や他国との競合によって難しくなっていたため、経営の多角化という側面も多分にあった。
豊田自動織機製作所で自動車製造の研究が本格したのは1930年前後、同じ頃から鈴木式織機は海外メーカーのライセンス生産も模索していたようだ。が、自動織機メーカーにとって、動力を持続的に伝えることで一定の仕事を効率よく為す機械という点では、自動車は軌を同じくするプロダクトで、軽工業から重工業という違いはあれど、次世代のプロダクトとして時代の要請するものだった。
ちなみに1930年代の浜松では近隣の出身の本田宗一郎が、自動車修理業のアート商会浜松支店、次いでピストンリング製造の東海精機重工業を営んでいた。自動車産業は今やエネルギー源と制御の方に重きが移ってしまったかのように見えるが、かの地域の繊維産業は自動車産業の前身のひとつとして、興味深いものがある。
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