【フォーミュラE】オリンピックスタジアムをレーシングカーが疾走した韓国戦…第15戦レビュー

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バッテリーとモーターを搭載したレーシングカーが世界を転戦する、フォーミュラE世界選手権(FE)の第15戦が8月13日に韓国で開催された。

FE初開催となったソウルで優勝したのは、ジャガーレーシングのミッチ・エバンス(ニュージーランド)。シリーズランキング首位のストフェル・バンドーン(ベルギー)とのポイント差を、レース前の36から21に縮めて翌日の最終戦に逆転チャンピオンの望みをつないだ。

◆オリンピックスタジアムを利用したサーキット
土曜日と日曜日にダブルヘッダーとして開催される第15戦と第16戦で、今シーズンのFEは全日程を終了する。チャンピオン決戦の舞台となったのは、市内の「ソウル総合運動場(Seoul Sports Complex)」。一般道を一時的に閉鎖して造られた「ストリートサーキット」は、一部がソウル五輪(1988年)で使用されたオリンピックスタジアム内に設けられた。

◆環境と観客に優しいFE
FEでは、すべてのレースが大都市で行われる。イタリアではローマ、イギリスではロンドン、アメリカの場合はニューヨークの街中で生のバトルを観ることができる。また、伝統的なモータースポーツでは2~3日をかけて行われる練習走行、予選、決勝レースといったすべてのセッションが、FEでは1日で終わるようスケジュールが組まれている。

電気自動車(EV)によって行われるFEは、CO2や騒音を出さない環境面でのメリットがある。それに加え、こうしたアクセスの良さや日程などの観戦しやすさも、次世代のモータースポーツと呼ぶのにふさわしいシリーズと言えるだろう。

◆ドライバーにとっては過酷なレース
一方、ドライバーにとっては過酷な面が多い。今回のコースには、マンホールの蓋やバンプ(路面の凸凹)、表面の舗装が変化する場所などがありマシンの挙動が乱れるリスクがある。入り口や出口のコース幅が狭められているコーナーもあるため、ドライバー同士の駆け引きが重要になる。

また、今の季節は日本同様、ゲリラ豪雨に見舞われることもある。天候の変化に応じ、レース戦略やドライビングに迅速な対応が要求されるケースもある。この日は、決勝前に降った雨がコースのあちこちに残った状態で決勝レースが行われたため、1周目で8台が絡む多重クラッシュが発生。壊れたマシンを回収する作業のため、レースは約45分間にわたって中断される波乱の幕開けだった。

◆猛暑や湿気の影響は少なかった韓国戦
猛暑がバッテリーや駆動系システムに大きな負担をかけるとも予想されていたが、雨が止んだ後も日差しは強まらず温度の影響はあまりなかったようだ。FEでは、エネルギー残量(バッテリー充電量)やバッテリーの温度上昇に配慮し、上位陣はレースの中盤までペースをコントロールしながら一列で走行するシーンがよく見られる。「ソウルEプリ」では、事前の予想に反して序盤から比較的ハイペースでのバトルが演じられた。

◆バンドーンが有利な条件で最終戦へ
予選3番手からスタートしたエバンスは、1周目にトップに立つと快調に飛ばして後続との差を約3秒にまで広げた。終盤、ポールポジションのオリバー・ローランド(イギリス)が首位奪還を試みるも追い抜くには至らず2位でゴール。FEに初年度から参戦し、すべてのレースに出場しているルーカス・ディ・グラッシ(ブラジル)が3位に入りFE累計1000ポイントを達成した。

シリーズチャンピオンを狙うバンドーン(メルセデスEQフォーミュラE)は持ち前の安定した走りで4位に入賞し、10ポイントを加算。翌日の最終戦で、7位以内でゴールすれば初タイトルが手に入る。

シリーズランキング2位のエバンスは可能性を残したが、最終戦での優勝がチャンピオン獲得の絶対条件と苦しい状況になった。


  • 【フォーミュラE】オリンピックスタジアムをレーシングカーが疾走した韓国戦…第15戦レビュー
  • 韓国戦のコースは、一部がオリンピックスタジアム内にも設けられた
  • 観戦のしやすさがFEの魅力の1つ
  • トリッキーなコースではドライバーの駆け引きがかなり重要
  • 決勝レースは水たまりも残る状態でスタート
  • Formula EFEでは珍しく、序盤からハイペースでの走行が観られた
  • ディ・グラッシ(向かって右)は累計1000ポイントを達成
  • 初タイトルに大手をかけたバンドーン

[提供元:レスポンス]レスポンス