『マツダスピリットレーシング ロードスター』が見せた、「最後発」だからこそのデザインとは…東京オートサロン2025
マツダは「東京オートサロン2025」において、マツダのサブブランド、「マツダスピリットレーシング」の市販モデル第1弾として『マツダスピリットレーシングロードスター』を発表した。スーパー耐久で磨いた技術を反映した性能、2リットルエンジンの搭載などが目玉だが、マツダといえばやはりデザイン。この新ロードスターのデザインにも、マツダデザインならではの“魂”が込められていた。
マツダデザイン本部チーフデザイナーの諌山慎一さんにそのポイントを聞いた。
◆速いクルマ、強いクルマ、戦うクルマという血統
マツダスピリットレーシング(以下MSPR)はモータースポーツを中心に活動しており、その知見をベースに内外装にも手が加えられたのがMSPRロードスターだ。チーフデザイナーの諌山さんによると、「魂動デザインを踏まえながらもレース系のブランドとして、ちょっと違ったデザインに取り組みたいという思いからスタートしました」という。
具体的には、「魂動デザインはクルマの美しさに主眼を置いていますが、そこから機能に裏打ちされた速いクルマ、強いクルマ、戦うクルマという血統を形に落としていく必要があるという理解のもとデザインしています」と諌山さん。そうしてこのMSPRロードスターが生まれたのだ。
諌山さんはスーパー耐久の車両デザイン開発にも参画している。特にエクステリアでは空力パーツを含めたボディキットやボディをワイド化してフロントフェンダーの造形をリデザインしたほか、専用のハードトップもデザイン。その中には下回りのエアロパーツもあり、「このデザインをよく見ていただくとMSPRロードスターとほぼ同じ造形だというのがわかっていただけるでしょう」とのこと。特にセンターでスプリットされたフロントスポイラーデザインやサイドのアンダー周りの造形は、諸元の関係があり多少寸法は違うもののMSPRロードスターと同じテーマを持っていることがわかる。
一方で、現行のNDロードスターは10年選手で、格好良い、あるいは美しく見えるアフターパーツはかなり出回っていることから、マツダとしてエアロパーツを提供することは「結構ハードルが高い」。諫山さんは「我々は最後発として“一点取れる”ポイントを探し、レースという文脈で性能も担保もできる形としてここにたどり着いたのです」と語った。
◆ニュルの200km/hコーナーでもリアの荷重抜けがない
もう少し具体的に説明してもらおう。まずはエアロパーツだ。
「いままでの国内仕様のエアロパーツは、例えば直線で120km/hから130km/hぐらいの空力性能を担保すれば、それで良しとしてリリースしてきましたし、フロントとリアのダウンフォースの考え方もバランス重視で、特にダウンフォースを効かせる開発はしていなかったんです」と磯山さん。しかし、このクルマでは、「ニュルブルクリンクで200km/hでコーナーに入ったときにもリアの荷重抜けがないぐらいのリクエストをテストドライバーから受けてデザインしています」とのこと。
そこでリアスポイラーをよく見ると、中央が少し低くなっている。これはレギュレーションの関係でハイマウントストップランプの制約があるからだ。その左右には壁を立てたり、左右の端を回りこませたりしている。通常ではそのまま横方向につなげるものだが、その理由について磯山さんは、「実際にこの有無や高さを検証したのですが、コーナーで斜めに風を受けたときに全然効果が違っていた。その結果としてたどり着いたのがこの形です」と機能に基づいていることを明かし、スーパー耐久での技術を反映していることを強調した。
このほかにもインテリアでは滑りにくく防眩効果も生むアルカンターラをふんだんに使用しているほか、ホイールもRAYSと共同開発。ただし、12Rは外周リングを切削加工している点が違っている。因みにRAYS公認のTE37モデルだ。
また、12Rに装備されたレカロのフルバケットシートは「ロードスターは幅が狭いので、センター側のトンネルをそれぞれ逃がすように左右非対称で作りました」と、左専用、右専用のシートを改めて開発したというこだわりだ。
そのほかビルシュタインやブレンボ、フジツボなどとも協力し仕上げられている。エンジンとエアログレーのボディカラー、デカール、外周リンクの切削加工したホイールは12R専用だが、それ以外は用品として購入できるものになるという。
◆レーシーで上質、そして速いロードスター
MSPRロードスターの最大のトピックは幌トップのロードスターとして国内で初めて2リットルエンジンを搭載したことだろう。そして、エンジンなどを手組し、カムシャフトや吸排気系、エキゾーストマニホールドなども見直すなどでチューン、200psにまでアップさせたのがMSPRロードスター12Rで、それに合わせてフルバケットシートや専用デザインのデカールなどが用意されたのだ。
諌山さんは、MSPRロードスターについて、「街中からサーキットまで楽しめるように、1.5リットルよりもよりパワーが欲しい、もう一段階高速域での走りを楽しみたい方にはぴったりでしょう」と述べ、12Rは、「200psまで向上させたエンジニアの思いを込めています。性能云々というよりもマツダデザインも含めて、色々なエンジニアのこだわりがつまった200台限定の価値を作り込んでいるということです」と話す。
「MSPRというサブブランドがレース界で培ってきた技術や取り組みをこのクルマにフィードバックして生み出していく。なのでMSPRロードスターも単にRFのエンジンを搭載しただけでなく足回りやインテリアへのこだわりも12Rと同じ特別な仕立てです。そういったところも含めて性能と質感の両方を、いままでのロードスターの世界とはちょっと違った、少しレーシーで上質で、そして速いというところをうまく表現したクルマになっていると思います」と語った。
以前から海外にはある2リットルエンジンを国内にも搭載してほしいという声は市場からも上がっていたが、1.5リットルの軽快さなどを考えると国内ではそちらのほうが相応しいという考えがあったようだ。しかし、MSPRロードスターの背後にはモータースポーツシーンがある。つまり勝たなくてはならないのだ。だからこそMSPRロードスターは2リットルエンジンが相応しく感じ、それに基づいたパーツ類はさすがメーカーだと唸らせるものだった。
マツダデザイン本部チーフデザイナーの諌山慎一さんにそのポイントを聞いた。
◆速いクルマ、強いクルマ、戦うクルマという血統
マツダスピリットレーシング(以下MSPR)はモータースポーツを中心に活動しており、その知見をベースに内外装にも手が加えられたのがMSPRロードスターだ。チーフデザイナーの諌山さんによると、「魂動デザインを踏まえながらもレース系のブランドとして、ちょっと違ったデザインに取り組みたいという思いからスタートしました」という。
具体的には、「魂動デザインはクルマの美しさに主眼を置いていますが、そこから機能に裏打ちされた速いクルマ、強いクルマ、戦うクルマという血統を形に落としていく必要があるという理解のもとデザインしています」と諌山さん。そうしてこのMSPRロードスターが生まれたのだ。
諌山さんはスーパー耐久の車両デザイン開発にも参画している。特にエクステリアでは空力パーツを含めたボディキットやボディをワイド化してフロントフェンダーの造形をリデザインしたほか、専用のハードトップもデザイン。その中には下回りのエアロパーツもあり、「このデザインをよく見ていただくとMSPRロードスターとほぼ同じ造形だというのがわかっていただけるでしょう」とのこと。特にセンターでスプリットされたフロントスポイラーデザインやサイドのアンダー周りの造形は、諸元の関係があり多少寸法は違うもののMSPRロードスターと同じテーマを持っていることがわかる。
一方で、現行のNDロードスターは10年選手で、格好良い、あるいは美しく見えるアフターパーツはかなり出回っていることから、マツダとしてエアロパーツを提供することは「結構ハードルが高い」。諫山さんは「我々は最後発として“一点取れる”ポイントを探し、レースという文脈で性能も担保もできる形としてここにたどり着いたのです」と語った。
◆ニュルの200km/hコーナーでもリアの荷重抜けがない
もう少し具体的に説明してもらおう。まずはエアロパーツだ。
「いままでの国内仕様のエアロパーツは、例えば直線で120km/hから130km/hぐらいの空力性能を担保すれば、それで良しとしてリリースしてきましたし、フロントとリアのダウンフォースの考え方もバランス重視で、特にダウンフォースを効かせる開発はしていなかったんです」と磯山さん。しかし、このクルマでは、「ニュルブルクリンクで200km/hでコーナーに入ったときにもリアの荷重抜けがないぐらいのリクエストをテストドライバーから受けてデザインしています」とのこと。
そこでリアスポイラーをよく見ると、中央が少し低くなっている。これはレギュレーションの関係でハイマウントストップランプの制約があるからだ。その左右には壁を立てたり、左右の端を回りこませたりしている。通常ではそのまま横方向につなげるものだが、その理由について磯山さんは、「実際にこの有無や高さを検証したのですが、コーナーで斜めに風を受けたときに全然効果が違っていた。その結果としてたどり着いたのがこの形です」と機能に基づいていることを明かし、スーパー耐久での技術を反映していることを強調した。
このほかにもインテリアでは滑りにくく防眩効果も生むアルカンターラをふんだんに使用しているほか、ホイールもRAYSと共同開発。ただし、12Rは外周リングを切削加工している点が違っている。因みにRAYS公認のTE37モデルだ。
また、12Rに装備されたレカロのフルバケットシートは「ロードスターは幅が狭いので、センター側のトンネルをそれぞれ逃がすように左右非対称で作りました」と、左専用、右専用のシートを改めて開発したというこだわりだ。
そのほかビルシュタインやブレンボ、フジツボなどとも協力し仕上げられている。エンジンとエアログレーのボディカラー、デカール、外周リンクの切削加工したホイールは12R専用だが、それ以外は用品として購入できるものになるという。
◆レーシーで上質、そして速いロードスター
MSPRロードスターの最大のトピックは幌トップのロードスターとして国内で初めて2リットルエンジンを搭載したことだろう。そして、エンジンなどを手組し、カムシャフトや吸排気系、エキゾーストマニホールドなども見直すなどでチューン、200psにまでアップさせたのがMSPRロードスター12Rで、それに合わせてフルバケットシートや専用デザインのデカールなどが用意されたのだ。
諌山さんは、MSPRロードスターについて、「街中からサーキットまで楽しめるように、1.5リットルよりもよりパワーが欲しい、もう一段階高速域での走りを楽しみたい方にはぴったりでしょう」と述べ、12Rは、「200psまで向上させたエンジニアの思いを込めています。性能云々というよりもマツダデザインも含めて、色々なエンジニアのこだわりがつまった200台限定の価値を作り込んでいるということです」と話す。
「MSPRというサブブランドがレース界で培ってきた技術や取り組みをこのクルマにフィードバックして生み出していく。なのでMSPRロードスターも単にRFのエンジンを搭載しただけでなく足回りやインテリアへのこだわりも12Rと同じ特別な仕立てです。そういったところも含めて性能と質感の両方を、いままでのロードスターの世界とはちょっと違った、少しレーシーで上質で、そして速いというところをうまく表現したクルマになっていると思います」と語った。
以前から海外にはある2リットルエンジンを国内にも搭載してほしいという声は市場からも上がっていたが、1.5リットルの軽快さなどを考えると国内ではそちらのほうが相応しいという考えがあったようだ。しかし、MSPRロードスターの背後にはモータースポーツシーンがある。つまり勝たなくてはならないのだ。だからこそMSPRロードスターは2リットルエンジンが相応しく感じ、それに基づいたパーツ類はさすがメーカーだと唸らせるものだった。
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