【2022スーパー耐久第1戦鈴鹿】2.2L、300馬力のエンジン投入も!? マツダ、バイオディーゼル燃料のマツダ2でS耐フル参戦!
3月20日、「ENEOS スーパー耐久シリーズ2022 Powered by Hankook」の決勝レースが行われ、バイオディーゼル燃料で今シーズンのS耐にフル参戦する55号車MAZDA SPIRIT RACING MAZDA2 Bio conceptは、ST-Qクラス4番手(賞典外)で見事完走をはたしている。
昨年の最終戦岡山でもスポット参戦し話題となったMAZDA SPIRIT RACINGだが、引き続きユーグレナ社製の次世代バイオディーゼル燃料「サステオ」を使用し、カーボンニュートラルへの取り組みと、バイオディーゼル燃料の認知拡大に務めていくという。
ユーグレナ社が精製するバイオディーゼル燃料「サステオ」とは、使用済みの食用油と微細藻類ユーグレナから抽出されたユーグレナ油脂を原料としたバイオディーゼル燃料だ。燃料を燃やすことで二酸化炭素は発生するが、それを取り込む生物資源(バイオマス原料)を原料に使用することで、大気中の二酸化炭素を今以上に増やさない(=カーボンニュートラル)バイオ燃料なのだ。
現在は1Lあたり1万円ほどしてしまうというが、ユーグレナ社のホームページによると「『次世代バイオ燃料』の特徴は、分子構造が市販軽油と全く同じ点です。そのため、排ガス試験の結果では、一般車両のエンジンに負荷をかけること無く、含有率100%で使用できることを確認しています」とのことから、需要と供給の拡大により価格が下がることで、非常に実用性も高いカーボンニュートラルな燃料として期待されている。
レースの運営サポートとして参画するTEAM NOPROの野上敏彦監督は、「昨年より一つ上の領域にステップアップしていますね。MAZDA2になったことで、ブレーキの冷却のダクトやエアジャッキを4輪上がるようになどの仕様変更は行っています。またタービンや排気システムなども、よりパワーアップとエコな方向でのバージョンアップを行ってきました」
「今年はマツダさんのエンジン開発の技術者に関わってもらっています。僕たちがパワーを出すためにいろんなやり方をしてきたことをたたき台として、マツダの技術が加わることで開発のスピードも上がり、よりバランスのとれたマシンとなりました。ピークパワーでいうと150馬力少々ですが、ディーゼルのトルク型の特性を生かし、瞬間的な加速は明らかに速くなっています」と、そのマシンの開発状況に自信を見せている。
なお、TEAM NOPROで走らせるディーゼルエンジンの17号車DXLアラゴスタNOPROデミオには、DPF(ディーゼルパティキュレートフィルター:排気ガスの有害物質を取り除く装置)をつけていなかった。今年は55号車での知見を生かし、17号車にDPFをつけてもそれほどパワーを落とさず、ディーゼルの特有の黒い煙も削減できているということからも、非常に有意義な技術開発が進められている。
決勝レースでは、「事前の走行でトランスミッションが壊れてしまい、その対策部品が間に合わなかった(野上監督)」ため、労わりながらの走行もあってかST-5クラスで6位(全14台、完走11台中)相当でのフィニッシュとなった。
だが、野上監督は「確かにロードスターが速いですが、戦略も色々ありますからいい戦いができると思います」と、ST-5クラスのライバルたちとのバトルを想定し、マツダとレース巧者が一体となり虎視眈々とマシンの開発を進めている。
なお、マツダは予選日に行われたカーボンニュートラル燃料で参戦するトヨタ、スバルとの会見の場で、サプライズ発表を行っている。
「実は数週間前ですが、弊社のエンジニアからスバルさんのBRZ、トヨタさんのGR86の走りを目の当たりにして、後半戦に向けて2.2L、300馬力のマシンを開発したいという強い要望を受け、さらなる挑戦に同意しました」とマツダの丸本明社長が明かしている。
これは、単に一台のニューマシンがS耐にデビューするという以上に、それが1秒、100分の1秒を削るというレースでの速さの追及ではなく、カーボンニュートラルに向けた技術開発に端を発していることは、非常に面白く意義深いところだ。
新たな大きな壁が技術者の魂に火をつけ、それが新たな技術競争、革新を生んでいく。トヨタの豊田章男社長がいう「意志ある情熱と行動」という言葉が見事に体現され、今後も広がりを見せていくことは間違いないだろう。
新しいエンジンはMAZDA3への搭載を予定しており、今シーズンの後半で、バイオディーゼル燃料を使ったMAZDA3が、カーボンニュートラル燃料を使用するGR86とBRZとバトルを繰り広げることが楽しみだ!
(文:GAZOO編集部 山崎、写真:折原弘之、山崎)
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