【連載全14話】第10話三菱コルト800・・・2サイクルエンジンのクルマ特集

現在のクルマのパワーユニットは実にさまざま。一方で絶滅危惧種となっている2サイクルエンジンのクルマを今回はピックアップ。日本やドイツで親しまれた小排気量車を中心に、週替わりで紹介します。

三菱コルト800

三菱初のオリジナル乗用車である三菱500から発展したコルト600に代わり、800cc級が主流となっていた大衆車市場に向けて1965年に投入されたモデル。ボディーは最新流行のファストバックを採用したが、ほぼ同時期に同様のスタイルを導入したトヨペット・コロナ 5ドアセダンがテールゲートを備えていたのに対し、こちらは通常のトランクを持つ2ドアセダンだった。

機構面で最大の特徴となるのが、三菱そして国産市販車では初採用となる水冷2ストローク3気筒の843ccエンジン。その形式は、これまで何度もこの連載で名の上がったドイツのDKWを範としたであろうもの。ただし駆動方式は、DKWや(前回紹介した)そのフォロワーであるスズキ・フロンテ800がFFだったのに対し、こちらはオーソドックスなFR。三菱としては経験がなく、日本車でも珍しかったFFの信頼性や耐久性への不安に加えて、バリエーション展開を予定していた4ナンバーの商用車(ライトバン、トラック)にFFを採用した場合の、積載時のトラクション不足が問題視されたのであろう。

いざ市場に出してみると、2ストローク特有の白煙や燃費の悪さで評判は芳しくなかった。また翌1966年にスバル1000や初代ダットサン・サニー1000などがデビューして大衆車市場の1リッター級への移行が見えてきたこともあり、1965年11月の発売から1年に満たない1966年9月に、先行していた上級車種であるコルト1000用の997cc 4ストローク水冷直4 OHVにエンジンを換装した、コルト1000F(Fはファストバックの意味)を追加設定。やがて2ストロークエンジン搭載の800はフェードアウトした。

[GAZOO編集部]

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