【連載全9話】第5話 スバル・ジャスティ(ECVT)・・・日本発の技術やアイデアのあるクルマ◇日本発の技術やアイデアのあるクルマ

工業製品として時代の先端を行く自動車は、さまざまな技術を生かしてつくられています。今回は、なかでも日本発祥のアイデアやテクノロジーが注がれた、注目すべき日本車を週替わりで紹介します。

スバル・ジャスティ(ECVT)

現在、ガソリンエンジンを搭載する軽から中型までの国産乗用車に幅広く使われている変速機がCVT。Continuously Variable Transmissionの略で、日本語では無段変速機あるいは連続可変変速機と呼ばれる。その始まりは1958年。オランダ製の小型セダンであるダフ600に、ラバーベルトと遠心クラッチを用いたCVTが“ヴァリオマチック”の名で初めて量産車に採用された。

1975年にダフの乗用車部門はボルボに吸収され、ヴァリオマチックの特許はオランダのVDT(後にボッシュが吸収)が受け継いだ。そのVDTと富士重工業(現スバル)が共同開発した、今日のCVTのルーツ的な存在が1987年に初代ジャスティに搭載された世界初となるECVT、日本語では電子制御電磁クラッチ式自動無段変速機である。

CVTの基本構造である径が可変する2つのプーリーの連結に、ラバーベルトより格段に耐久性に優れたスチールベルトを採用。エンジンからの動力の断続には、富士重工業がスバル360の時代から“オートクラッチ”と称する2ペダル式MTに使ってきた電磁クラッチを用いたが、それを電子制御化したことがECVTの“E(electro)”たるゆえんだった。

コンパクトな3ドア/5ドアハッチバックだった初代ジャスティ。エンジンは1リッター直3と1.2リッター直4、駆動方式はFFと4WDが用意されていたが、ECVTが設定されたのは1リッターのFF仕様のみ。メーカーではMT車をも上回る機敏な走り、一般的なATに対して変速ショックが皆無のスムーズな加減速と低燃費を実現したとうたっていた。ジャスティ以降、スバルでは軽のレックスやサンバーなどにも採用を広げ、また日産(マーチ)やフィアット(パンダ、ウーノ)など他社にも供給された。

[GAZOO編集部]

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