ホントに無いんですよ 他に欲しいと思えるクルマが【Roadster 30th Anniversary Meeting】

三島 麿さん 岡山県在住

新車からワンオーナーで30年!

 前回の20周年イベントから10年。今回もプログラムの一貫として行なわれたのが、1989年の発売時に新車で購入し、今日まで長年ワンオーナーで大切に維持して来たオーナーへの表彰セレモニー。表彰者にはステージ上でロードスターの開発陣から記念のホワイトキャップが贈呈されるのだが、そのキャップを手にした中の一人がここで紹介する三島さん。
 今を遡ること30年。三島さんはすでに専門誌などで、ロードスターというオープンスポーツカーがマツダから発売されることを知っていたが、現在のようにネットやSNSが発達していない時代であっただけに、その具体的な時期はまだ見えていなかった。そんなある日、たまたま訪れていた友人の会社にセールスマンがロードスターのカタログを持って来たという。
 「もうワクワクでした。7月から正式な予約が開始されると聞いて、すぐ近くのマツダディーラー(当時はユーノス店ができる前でした)、に予約を入れました。色は青。シカゴショーのクラブレーサーに衝撃を受けていたので、本当はイエローが欲しかったけど、発売当初は赤、青、白、シルバーの4色しか設定が無かったので、たぶん一番流通量が少ないだろうと思われるマリナーブルーに決めました。それから数ヶ月後、販売店からクルマが届いたという知らせが入り、慌てて見に行ったら、あまりの鮮烈な青さに驚きました。あの時代にあんな色をしたクルマなんて無かったから、周りからは『これ、タイタン(マツダのトラック)のブルーと同じだろ!』と、散々言われましたネ」。
 ちなみに、結婚を期にロードスターを手放したというのはよく聞く話だが、三島さんはなんとロードスターを購入した年に結婚!しかも頭金を工面する際には奥様のサポートもあったとのこと。家庭を取るか、お気に入りの愛車を取るかという二者択一で悩む、世のクルマ好きの男性諸氏からすれば何とも羨ましい話のようにも思えるが、時間が経てば環境も変わって行くもの。その後、3人のお子さんの誕生と共に、奥様の対応も徐々に変化が。
 「現実は甘く無いです。我が家も同じですよ。いつ売るの?どうするの?という話に何度もなりました。でも男は忍耐(笑)。不思議なもので、何年も何年も、じっと我慢しているうちに何も言われなくなりました。1600ccだから、そのまま持っておいても維持費的な負担もそれほど大きくないですし。ふと気づけば30年。今、振り返ればあっと言う間でしたね」。

30年間ワンオーナーを記念したホワイトキャップ。「NAロードスターのチーフデザイナー、田中俊治氏から直々にサインを頂くことができました!」。
30年間ワンオーナーを記念したホワイトキャップ。「NAロードスターのチーフデザイナー、田中俊治氏から直々にサインを頂くことができました!」。

カスタムはDIYで。「原寸大のプラモデルですよ」

 30年間ワンオーナーと聞くと、細かなパーツ類に至るまでフルノーマル、フルオリジナルというクルマが連想されるかも知れないが、三島さんの愛車はご覧の通り、マリナーブルーのボディカラー以外、フルカスタム仕様。クラブレーサーばりの固定式ヘッドライトやロールバー、トヨタ・セルシオ用を流用した大型ブレーキキャリパー/ローターなど、いたる所に手が加えられている。さらにエンジンに関しても4連スロットル+ターボというスペシャルチューニングが施され、最新モデルにもひけを取らないパフォーマンスを発揮。もちろん、これらはすべて公認を取得している。

 「ターボの前はキャブレター仕様で乗っていた時期もありました。後付けのターボといっても、ピストンには純正のファミリア・ターボ用を使用したり、燃料や冷却系にもしっかり対策を行なっているのでトラブルフリーですよ。B6はもともとエンジン自体が丈夫ですからね。ここまでやるなら、他のもっと速いクルマにすればという人もいますが、サイズといいスタイルといい、このクルマ以上に“欲しい”と思えるものが見当たらないんです。これからも自分流にプラモ感覚でカスタマイズさせながら、ロードスターを乗り続けて行きますよ。こんな楽しいクルマ、他にはありませんから!」。
 笑顔で語る三島さんの隣りには、少々あきれ気味の表情を浮かべる奥様の姿が。だが、「恥ずかしいから」と、当初ワンオーナー表彰セレモニーへの登壇を拒んでいた三島さんを「せっかく今まで大事にしてきたんでしょ」と、ステージへと促したのは奥様。やはり、二人にとって青いロードスターは特別な存在なのだ。

4連スロットル、K26ターボチャージャーなどパワー志向のモディファイが行なわれたエンジン。三島さんはオーバーホールも自分で行なえるほどの腕前なのだ。
4連スロットル、K26ターボチャージャーなどパワー志向のモディファイが行なわれたエンジン。三島さんはオーバーホールも自分で行なえるほどの腕前なのだ。
昨年結婚した長女の世奈さんのブライダル記念写真にも登場。この素敵な写真が実現したのも、長年乗り続けて来たからこそ。「チビの頃は、よく助手席に乗せていましたね」と三島さん。背景に見えるのは備前・日生大橋。
昨年結婚した長女の世奈さんのブライダル記念写真にも登場。この素敵な写真が実現したのも、長年乗り続けて来たからこそ。「チビの頃は、よく助手席に乗せていましたね」と三島さん。背景に見えるのは備前・日生大橋。

[ガズー編集部]

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