ユーノスロードスターは愛する「生活必需品」。ラフに付き合える大切な愛車

  • ユーノスロードスター Vスペシャル

デビューから今年で35年。現役のクルマとして、いまでも街中で見掛ける機会が多いユーノスロードスターマツダとして、そして日本車としても世界に誇れる名車であることは誰もが納得する1台といえるでしょう。

この35年間、現行モデルを含めると4代にわたり「ロードスター」というクルマの血を絶やすことなく、そして常に進化を続けてきた結果、2023年8月時点における歴代モデルの累計販売台数は、全世界で約119万台、日本国内では約22万台とのことです。

今回、取材させていただいた「キャさん」も、ロードスターに魅せられたおひとり。どのようなカーライフを送っていらっしゃるのでしょうか。

―― まずは、キャさんの愛車について教えてください

  • 1997年式ユーノスロードスター Vスペシャル シリーズ2

愛車は「1997年式ユーノスロードスター Vスペシャル シリーズ2」です。手に入れてから3年6ヶ月、現在の走行距離は7万km、私が手に入れてからは4万km走りました。私も1997年生まれなので、クルマと同い年です。

―― ほぼ最終型のユーノスロードスターですよね。キャさんがクルマ好きになったのは何才頃でしたか?

13才のときです。それまで、クルマには興味がなかったんですが、中学校のクルマ好きの友だちに「一緒にやろう」といわれて買ったPSP(プレイステーション・ポータブル)のグランツーリスモがきっかけです。

ライトウェイトスポーツが好きになったきっかけもやはり中学生のときで、部活の同級生に女の子がいたんです。お父さんが部活終わりに迎えに来るんですが、そのときのクルマが初代コペンだったんですね。いつかお金を貯めて買おうと思いましたね。

―― 大人になり、手に入れたのはコペンではなく…ユーノスロードスターだったんですね。何か理由があったのですか?

大学生のとき、お金を貯めてコペンを買うつもりだったんです。でもバイク好きの父親からは反対されて。

それならばオートザム AZ-1や、CR-X、シビックなども候補に挙げたんですが、ことごとく候補に挙げるクルマがライトウェイトスポーツばかりだったのでいずれもNGが出てしまいまして。でも、なぜかユーノスロードスターはOKが出たので買いました。

―― ユーノスロードスター、しかもVスペシャルです。もしや「指名買い」ですか?

  • オーナーが一択だったというユーノスロードスター Vスペシャル

そうです!「ユーノスロードスター Vスペシャル」一択でした。丸目が好きなのと、リトラクタブルヘッドライトに惹かれましたね。あとはネオグリーンのボディカラーとタンカラーの内装。これも外せませんでした。

買うと決めたときから、朝起きてから、昼間は時間が空いたとき、そして寝る前にも、時間があれば中古車検索サイトをチェックしていました。そして見つけたのが現在の愛車です。走行距離が3万2000km、見た目もきれいなのに割安だったんです。もしかしたらオートマだったから安く売り出していたのかもしれません。

―― じっくり探した甲斐がありましたね。現在の愛車が納車された日のことを覚えていますか?

納車当日の15時、積載車に載せてロードスターが運ばれてきました。駐車場に降ろしてもらったんですが、この時点ですごくきれいだったけれど、まずはウキウキ気分で洗車したことを覚えています。

……というのも、任意保険が適用されるのが納車日の翌日からだったので、日付が変わる午前0時になった瞬間、エンジンスタート!仲良しの友人と待ち合わせて、オープンにして夜ドライブしました。納車日は7月の中旬だったんですが、夜風が気持ち良かったですね。

―― 一生忘れないできごとになりそうですね。現在の愛車を手に入れてから、ご自身のカーライフにどのような変化がありましたか?学校のお友達の反応も気になります

  • ユーノスロードスター Vスペシャルのフロント

オープンカーに乗ったことがない人が多くて、けっこう「乗せて」といわれることがあったので、頼まれたらオープンにして積極的に乗せてあげましたね。みんな結構いい反応はしてくれましたよ。

実はこのとき種を蒔いて、今その芽が出るのを待っている状態ですが……、その後もオープンカーを買ったという話は聞こえてこないんですけれどね(苦笑)。

ある日、同じ大学に、面識はないけれどNDロードスターに乗っている人がいると知りまして。よくよく聞いてみたら、納車日も2日違いだということが分かったんです。それがロードスターつながりで最初にできた友人です。

―― 同じ大学で、しかも2日違いでロードスター納車ってすごい偶然じゃないですか!

  • ロードスターのオフ会

そうなんです。連絡先を聞いてオフ会しようという話になったんです。実際に会って2人でツーリングして。友人のその友人もロードスターに乗っているということで、4人・4台のロードスターでツーリングに行きました。

―― 4人・4台でツーリングって、ほどよい規模感でいいですよね

そうですね。何度かこのメンバーでツーリングに行きました。あと、趣味でイラストを描いているので、これがきっかけでロードスター以外のクルマ好きの方とも知り合うことできましたね。

  • ロードスターのイラスト

    キャさんの描いたイラスト

  • ロードスターとポルシェのイラスト

―― キャさんに愛車のイラストを描いてもらったオーナーさんの喜ぶ顔が浮かびます。現在は社会人とのことですが、会社のみなさんの反応はいかがですか?

おじさまたちのウケはいいですね(笑)。「イイクルマ乗ってるなー」っていわれます。なかでも、以前カーショップで働いていたことがある方からは「いいじゃん!」って、めちゃくちゃうれしそうに話し掛けられましたよ(笑)。

―― おじさん世代にとっては懐かしいクルマですからね〜(笑)。現在は通勤でもロードスターに乗っているんですよね

  • ユーノスロードスター Vスペシャルと山道

そうです。朝と仕事終わり、かならず暖機運転をしてから乗るようにしています。通勤のときはオープンにすることはあまりないのですが、音楽を聴いていますね。職場の先輩が電気グルーヴが好きで、影響を受けていつの間にか聴くようになっていました。

あとは私が小さい頃、父が車内で井上陽水の曲をよく聴いていたので、大人になってからも聴きますね。私にとっての「マザーミュージック」です。

―― 愛車を拝見する限り、キャさんのロードスターはオリジナル度が高いように見えます

  • ユーノスロードスター Vスペシャルの運転席

そうですね。ノーマルの状態が好きなんです。いま、シートが別のものを装着しているので、Vスペシャル純正シートに戻したいですね。あと、幌がボロボロだったので、アメリカ製のものを取り寄せて自分で交換したんです。

ネットで交換する手順を調べてやってみたんですが……、ものすごく大変でした。2度とやりたくないです(笑)。苦労した甲斐があってお気に入りでもある「タン内装+幌+ネオグリーン」の組み合わせになりました。

幌はガラスではなく、ウィンドウスクリーンなので「NA開け(ウィンドウスクリーンのファスナーを外すと、幌を上げたままリアが開けられる)」ができるのもこだわりです。

―― NA開け!この言葉出てくるあたりがマニアですね〜(笑)。愛車とのカーライフでいちばんの思い出をぜひ聞かせてください!

  • ユーノスロードスター Vスペシャルと夕焼け

下道を使って滋賀から東京まで往復したことです。当時、岡本太郎にハマっていて、渋谷駅にある絵画の「明日の神話」を見るためにロードスターで行きました。納車直後だったこともあり「納車ハイ」だったので、とにかく走っていて楽しかったです。途中で寄ったビーナスラインでススキと夕陽が映える景色が見られて素敵でしたね。

―― キャさんが愛車を維持するうえで気をつけていること、意識していることを聞かせてください

「大切にしすぎない」ことですね。少し汚れているぐらいがラフで付き合いやすくていいかなと思っています。あまり大事にしすぎるといざというときに乗れなくなってしまいそうで。

―― キャさんにとって「愛車」はどのような存在ですか?伝えたいメッセージがあればぜひ!

「生活必需品」です。視界に入るたびに「素敵…」ってなります。運転していて楽しい。見てヨシ、乗ってヨシ。もはや、ロードスターがない暮らしはありえません。ロードスターに対しては「愛してるよ!」って伝えたいです。

  • 走行するユーノスロードスター Vスペシャル

私事で恐縮ですが、キャさんと同じユーノスロードスター(1991年式のVスペシャル)を所有していたことがあり、この原稿をまとめながら思わず「ウンウン」とうなずいてしまいました。

なかでも「大切にしすぎない。ちょっと汚れているぐらいがラフで付き合いやすくていいかな」というコメントにハッとさせられました。

大切にしすぎるあまり、ちょっとした汚れや傷が気になってしまい、そのうちクルマに乗ること自体に気を遣うようになってしまう。やがて所有することがストレスになってしまい、手放し、後々になって悔やんでも悔やみきれない……。そんな経験をした方がいるかもしれません。

キャさんのように、あえて少しだけラフに接し、それでいて惜しみない愛情を注ぐ。肩に力を入れすぎず、適度に脱力して細かいところは目をつぶる。これこそが愛車と長く付き合える秘訣のように思えるのです。

【Instagram】
cantforgetme__さん

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キャさん

<取材・編集 株式会社キズナノート>