1年中履きっぱなしでOK!雪道も走れる「オールシーズンタイヤ」を知っていますか?

みなさんはスタッドレスタイヤを使っていますか?降雪地域では「ノーマルタイヤ(夏タイヤ)」と「スタッドレスタイヤ(冬タイヤ)」を季節によって使い分けるのが当たり前ですが、悩ましいのが関東南部などの「年に数回は降ることもあるけれど、基本的には雪が降らない」という地域。年間365日のうち360日程度は夏タイヤで走れても、スタッドレスタイヤもしくはタイヤチェーンを装着しないとクルマに乗れない日が、年間数日あります。

日常的にクルマが必要ではなく「雪が降ったらクルマに乗らない」というのであれば、雪の日はクルマを使うのを諦めて1年を通して夏タイヤでもいいでしょう。しかし悩ましいのが、通勤や通学、子供の送迎などで「雪が降った日でもクルマを使う必要がある」というケース。

年間わずか数日のためにスタッドレスタイヤを買うのは経済的にも、そして外したタイヤを置く場所やタイヤ交換の手間を考えても効率が良くないですからね。当然ですが、だからといって夏タイヤで雪道を走るのは厳禁です。立ち往生や事故を起こす可能性が高くて危険ですから(もちろん取り締まりの対象にもなります)。

タイヤチェーンを装着すれば夏タイヤでも雪道を走れますが、タイヤチェーンをつけるのだって面倒だと考える人も多いでしょう。実は、そんなカーライフにピッタリのタイヤがあります。それが「オールシーズンタイヤ」です。

サーキットでも体験。舗装した高速道路でも不安なく走れる

オールシーズンタイヤの特徴は、夏タイヤと同じように舗装路を走れて、雪道でも問題なく走行できること。だから、東京のように年間数日だけ雪が降るような環境でも、1年を通じて道を走れるタイヤなのです。SUVに標準装備されていることもありますね。

雪の上での性能を不安に感じるかもしれませんが、たとえばアメリカでは真っ白に雪が降り積もった道でもオールシーズンタイヤで走るのが常識(アメリカでは一般的にスタッドレスタイヤを履きません)。そのくらい雪道でもグリップするのです。そして最近は、オールシーズンタイヤの中でも、特に雪道での走破性をアピールする製品も登場しています。たとえばグッドイヤーの「ベクター4シーズンズ」。

舗装路では夏タイヤとほぼ同じ走行性能を持ちながら、雪の上でもしっかりとグリップ。実際にサーキットでも雪道でも走ってみましたが、不安をまったく感じないどころか「ここまで走れるのか!」と驚いたほどでした。1年中履きっぱなしで大丈夫だからお財布にも優しく、交換の手間や外したタイヤを置く場所の確保からも解放されます。

雪道での走行性能に関しては、規格に合致しているので高速道路などのチェーン規制も、スタッドレスタイヤと同様にチェーンを装着することなく通行できるので安心です。※スタッドレスタイヤ装着車でもチェーンを巻かないといけない「全車チェーン規制」の場合を除く

その正体は、欧州で主流の冬用タイヤ

この雪に強いオールシーズンタイヤの正体は「欧州ウインタータイヤ」と呼ばれるジャンルです。欧州でも山岳地帯など一部の地域を除いてスタッドレスタイヤは一般的ではなく、冬になると舗装路での性能を保ちつつ、雪でも問題なく走れる特性を持った「冬用タイヤ」を履くのが常識。なぜなら除雪体制がしっかり整い、冬でも舗装路でハイスピード走行をすることが多いからです(スタッドレスタイヤは舗装路での高速走行に弱い)。

そんな特性を持ったタイヤが、日本で「雪道に強いオールシーズン」として販売されているタイヤの正体。雪道での走りはスタッドレスと変わらないどころか、それ以上の性能を発揮する場合もあります。

日本では、軽自動車用から大型セダン用まで幅広いサイズで展開するグッドイヤーの「ベクター4シーズンズ」のほか、ファルケンからは「EUROWINTER HS449」なども発売されています。

東京など非降雪地域のユーザーに最高のマッチング

ただし、そんなオールシーズンタイヤにもウィークポイントはあります。それは凍った路面でのグリップ力がスタッドレスタイヤよりも弱いこと。もちろんまったくグリップしないというわけではなく、夏タイヤと比べると段違いのグリップを持つので走れないことはありませんが、日常的に路面が凍結する地域に住む人にはオススメできません。

とはいえ雪道では冬用タイヤと同様に走れますから、ときどき雪が降る程度の地域の人にはきわめて魅力的な選択肢。そんな地域に住んでいるのなら、次のタイヤ交換の際には一年中履きっぱなしで大丈夫な「雪に強いオールシーズンタイヤ」を検討してみることをオススメします。年に数回あるかないかの雪道走行のためにスタッドレスタイヤを買う必要がないのは、うれしいですよね!

(文:工藤貴宏 編集:木谷宗義+ノオト)

[ガズー編集部]