TOM'S GRヤリス「サーキット走行で本領発揮」(竹岡圭)
「ホットハッチ」というネーミングを聞かなくなって久しいといいますか、今そういうふうに呼べるモデルも少なくなってきてはいるんですよね。そんななか、「TOM'S GRヤリス」はバリバリのホットハッチ……どころか、そのまま戦えるレーシングカーの勢いです(笑)。
こういうコンプリートカーやスポーツモデルって、よく最高出力○○PS!! なんてところが話題になったりしますよね。でも実際走るとなると、その○○PSをどういったタイミングで発生できるのか? が重要になってきます。
例えば、あまりに高い回転数でその○○PSが出る場合は、低いギアで高回転域まで引っ張らないといけないわけです。そしてその回転数が高ければ高いほど、スイートスポットが狭ければ狭いほど、速く走るためにはギアチェンジが忙しくなる……。となると、音量や操作の問題で普段使いにはほぼ向かないクルマ、ということになりますよね。
トルクもそうです。最大トルク●●N・mが、高回転域でしか発生されず、いわゆるよく「下のほうがスカスカで……」なんて言われるような場合は、やはりシフトが忙しくなりますし、気持ちよく乗るためには高回転域まで引っ張ることになったりして、周囲への影響を考えた場合、普段乗るには神経を使うクルマということになりします。
特にトルクは低回転域から、幅広い回転域にわたって発生されるほうが、いろんな場面で扱いやすいシーンが多くなります。幅広い回転域で●●N・mが出続けてくれれば、ギアチェンジの回数も減らせますからね。また低回転域から●●N・mが出てくれれば、高速巡行も街なかでのドライブも静かに走れます。
TOM'S GRヤリスは、本領を発揮させようと思ったら、やはりサーキット走行が向いているマシンといった感じの仕上がりですよね。上の伸びがいい! そこが気持ちイイ! というテイスト。私が活動しているラリーでは、どちらかというと、“下の太さ”が重要になってくるので、チューニング違いということになりそうです。だからこそクルマのセッティングは奥が深く、面白いんですけどね!
(文:モータージャーナリスト・竹岡 圭)
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