クルマ雑誌の編集部に潜入! 「Old-timer」

味のあるイラストが表紙を飾る『Old-timer(オールドタイマー)』は、「旧車をレストアする」をテーマに、1991年創刊以来、旧車を愛するファンの間で『バイブル』とも言われている雑誌です。クルマだけでなく、「旧車好きの人生」をも垣間見える内容は、どのように作られているのでしょうか。Old-timerの編集部でお話をうかがってきました。

「いじりもの」企画が大好評!

古いクルマの修理をプロに任せるのではなく、自分で直す文化を日本にも根付かせたい。この考えからOld-timerは誕生しました。現在、編集に携わっているのは、編集長の甲賀精英樹(こうが まさき)さんを含めた4人のメンバー。

ヴィンテージカーと言われる高価な名車ではなく、もっと身近な旧車をDIY的に自分で「直す・いじる」ことに焦点を合わせているのが、『Old-timer』の特徴のひとつ。こうした企画は「いりじもの」と呼ばれ、ページの多くを割いています。興味を持ち始めたばかりのアマチュアから筋金入りのマニアまで、「どう直すか、どうやって部品を手に入れるか」ということが、この雑誌の軸となっているのです。Old-timerが創刊されるまで、旧車をレストアして楽しむことに特化した雑誌はなかったそう。

「どうやってこの錆を落とすのかなど、錆取りや修理の具体的な方法を載せているうち、読者からいつの間にか『サビ取り雑誌』と言われるようになりました」と甲賀編集長。サンドブラストを使って錆を落とす手法は、この雑誌から広まったそうですよ!

巻末にある「Flea Market」と題されたページには、車体そのものやパーツなどの売買情報がずらり。こんなところにも、Old-timerの人気ぶりや読者層が垣間見えます。「売買ページは、昔のクルマ雑誌には多い企画だったんですよ」と甲賀編集長。コアな愛好家の方々にもとても好評なページだそうです。

「旧車好き」の人生が見える

クルマの雑誌だけど人が見える。こだわりを持って愛車を慈しむ、そんなオーナーと触れ合う取材は、人脈も培われ、おもしろいネタもどんどん現れるそう。

「週末は各地で行われているイベントに赴いて、つながりを作り、今ではその関係からいろんな情報を得ています。15~6年前まではネタ探しが大変でしたが、多くの人とのつながりができるにつれて、次々と取材対象に出会えるようになりました。新車雑誌よりも『人のこだわり、オーナーのこだわり』を全面打ち出していると思いますよね」。

全国津々浦々、「なるべく動き回ってネタを拾いたいから」とクルマ移動が基本。撮影も記者が行います。1号あたり、およそ20人の旧車オーナーに会いに行くそうです。

ちなみに、主な読者層は40代~60代の旧車ファンですが、実際に旧車を所有している人は、読者全体の1割ほどなんだとか。旧車への憧れから読んでいる人も多いんですね。自動車に携わるプロフェッショナルにも、Old-timerの愛読者はたくさんいるそうです。

若い世代へ旧車文化をつなげたい

「これからは若いマニアを育てていきたいですね。ベテランの方も、ある程度の年齢になると趣味からリタイアすることもあります。ベテランの方からクルマを引き継いでくれる世代の人に、クルマいじりの楽しみ方を伝えていければ。今はネットでも情報が入手できますし、お金をかけずに楽しめるやり方なども提案したいですね。始めてみると、きっと楽しいと思ってもらえるはず」。

旧車を楽しむ文化をこれからも広めていきたい。甲賀さんの言葉からも旧車に対する愛情がうかがえました。Old-timerを出版する八重洲出版では、雑誌やムックの発行に加えてイベント開催も行なっています。11月19日(日)には「お台場旧車天国2017」も開催されるので、古いクルマにちょっと興味が湧いてきた方は、ぜひその魅力を確かめに足を運んでみてはいかがでしょうか?

<Old-timer>
出版社:八重洲出版
発売日:偶数月26日
価格:¥970円+税
ウェブサイト:http://www.oldtimer.jp/

<お台場旧車天国2017>
開催日:2017年11月19日(日)
開催地:臨海副都心青海地区お台場特設会場
ウェブサイト:http://www.oldtimer.jp/tengoku/

(取材・文:別役ちひろ、写真:木谷宗義、編集:木谷宗義+ノオト)

[ガズー編集部]

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