世界最量販車種「カローラ」。日本とは異なる“海外での姿”を見てみよう

カローラは世界150ヵ国で販売。その累計販売台数はなんと4750万台!

「カローラ」といえばトヨタを代表する車種の1台で、その初代登場はなんと半世紀以上前の1966年。実は愛されているのは日本だけではなく、世界150ヵ国以上と聞くと驚く人も多いのではないでしょうか?

しかも、世界各地に向けたカローラは、現地の事情に合わせたバリエーション展開やラインナップになっていて、日本とは立ち位置やデザインが違ったりもします。そこで今回は、新型カローラの登場を記念して、世界各地のカローラ事情を覗いてみましょう。

年間30万台を売り上げる北米では、スポーティセダン

北米におけるカローラの歴史は古く、1968年から輸出がスタート。そして現在は、乗用車販売ランキング(トラックは含まず)で10位に入るほどの人気を得ています。2018年はセダンとハッチバックをあわせて約32万台を販売しました。

日本仕様と同様のデザインですが、車体は日本仕様よりもひとまわり大きい設計。パワートレインは、1.8Lガソリンと1.8Lハイブリッドのほか、日本にはない2.0Lガソリンも選べます。

また、ひときわスポーティなフロントデザインの仕様も設定。

実はアメリカにおけるカローラのイメージは、「若々しくてスポーティな小型セダン」。ユーザーの平均年齢も若いのだそうです。

もちろんハッチバックもラインナップ。こちらは日本と変わらないスタイルですね。

セダンは顔が違う? 欧州ではステーションワゴンも選べる

欧州においてもカローラは人気車種です。車体そのものは北米仕様と同じですが、よく見ると……

フロントのデザインが北米や日本とは違いますね。大胆さは控えめですが、端正な印象。

欧州は日本以外で唯一、ステーションワゴンボディが用意されています。「カローラツーリング」と呼ばれるステーションワゴンのフロントは、日本の「カローラスポーツ」と同じデザイン。セダンとワゴンで顔つきが違うなんて面白いですね。

ボディは日本仕様のワゴンよりも全長が155mm長く、2.0Lエンジンのハイブリッドも設定。高速移動が多い欧州の自動車環境にあわせて、ハイブリッドも動力性能を高めているというわけです。

そして欧州には、「カローラ トレック」と呼ぶワゴンベースのクロスオーバーSUVもラインナップ。樹脂製のオーバーフェンダーなどを装着したアクティブな雰囲気で、アウトドアレジャーに出かけるのが楽しくなりそうですね。

なんとスポーツ仕様の「GR」もラインナップ

欧州での人気モデルが5ドアハッチバック。先代までは「オーリス」という名前でしたが、新型では「カローラ ハッチバック」と呼ばれています。

そしてなんと、日本では設定されていないスポーツモデルの「GR」もラインナップ。専用チューニングのサスペンションなどで走りの楽しさを追求しています。日本への導入も期待したいですね。

プラグインハイブリッドや「レビン」という兄弟車も存在する中国

北米に次いでカローラの大きなマーケットとなっている中国。すでにフルモデルチェンジした新型が導入されていますが、気になるデザインや車体サイズは欧州仕様と同じです。

エアロパーツを装着したスポーティ仕様が設定されていることからも、若いユーザーをターゲットにしているのが分かりますね。

そしてこちらは、「カローラ」ではなく兄弟車の「レビン」。なんと日本仕様と同じフロントデザイン!

「カローラ」と「レビン」を用意することで、ユーザーは好みのデザインを選べるのがいいですね。

さらに中国には、カローラとしては世界で唯一の仕様が用意されています。

それが、プラグインハイブリッド仕様。現在発売しているプラグインハイブリッドモデルは先代カローラのボディですが、将来的には新型に切り替わるでしょう。

「アルティス」と呼ばれる東南アジア向けモデルも

タイなど東南アジアでは「カローラ アルティス」という名前で発売。デザインは欧州や中国向けと同じタイプです。

それらの国々でのカローラの位置づけは「高級セダン」。そんなポジショニングもあり、スポーティというよりは高級そうに見える意匠が好まれるのだとか。

タイの首都バンコクなどでは、「アルティス」はタクシーとしてもおなじみですね。

そして、日本向けモデルの特徴は「小さい」こと!?

世界視点でカローラを見たときに新型の大きなトピックは、それまで地域で異なり3種類もあったプラットフォームが世界中で統一されたこと。日本仕様も、久々に海外向けと同じデザインや基本設計になりました。

とはいえ、日本仕様(セダンとツーリング)の車体は海外に比べてひとまわり小さな専用設計。日本の道路における使い勝手を求めての結果ですが、わざわざ専用設計とするのは本国である日本でカローラを名乗る上での開発者のこだわりなのかもしれませんね。

ところで、カローラの累計販売台数は4750万台をオーバー。これは誕生50周年を迎えた1997年に「累計販売台数世界1位」としてギネス記録に認定され、いまでも記録を更新し続けています。

しかもここ数年は、単一車種として年間の生産台数でも世界1位を記録し続けていて、2018年には全世界で約150万台のカローラを生産。わずか1車種で150万台という数字は、小規模の自動車メーカーの年間生産台数(たとえばSUBARUは全車種をあわせた年間生産台数が100万台程度)よりも多いと言えば、いかに偉大な数字なのか理解できるでしょう。

いまも世界各地の工場で、10秒に1台以上のペースで新しいカローラが作られ続けているのです。

(文:工藤貴宏 編集:ミノシマタカコ+ノオト)

[ガズー編集部]

あわせて読みたい!

  • 意外なクルマもランクイン! トヨタ博物館「バックヤード収蔵車展 お客様が選んだ裏BEST10」
    意外なクルマもランクイン! トヨタ博物館「バックヤード収蔵車展 お客様が選んだ裏BEST10」
  • 中国のローカルショー「深センモーターショー2018」で見た現地のリアルなクルマ事情
    中国のローカルショー「深センモーターショー2018」で見た現地のリアルなクルマ事情
  • カローラハッチバックってどんなクルマ?【超初心者向け解説】
    カローラハッチバックってどんなクルマ?【超初心者向け解説】
  • 新車購入前にチェックしたい! 試乗記の読み方【初心者向け】
    新車購入前にチェックしたい! 試乗記の読み方【初心者向け】

コラムトップ

MORIZO on the Road