【大学自動車部】自由にクルマを楽しむ!-東洋大学(川越キャンパス)-

全国の大学や専門学校などの自動車部におじゃまして、日頃の活動風景や自慢の部員をレポート。今回は、東洋大学川越キャンパスを訪問。

東洋大学(川越キャンパス)自動車部プロフィール

●部員数
32名 ※部員数は2016年2月取材時
部員紹介ページ

●部車
スバル・ヴィヴィオ

●活動内容
毎週、水曜日の夕方18時10分に川越キャンパス内ガレージに集合し、1週間の活動内容の報告を全員で実施。個人車の車両整備を中心に、水曜日以外は部員それぞれが自由に活動している。1ヶ月に1度程度の頻度でサーキットへの走行会に参加する他、年に2回は走行会の主催も行っている。

●活動実績
平成27年度 新人ジムカーナ大会 出場
平成27年度 フォーミュランド・ラー飯能主催大学対抗レース第1戦 6位
平成27年度 フォーミュランド・ラー飯能主催大学対抗レース第2戦 2位
平成27年度 フォーミュランド・ラー飯能主催大学対抗レース第3戦 3位
平成27年度 全日本学生ドリフト王座決定戦 出場

ちょっとややこしい?2つの「東洋大学自動車部」

東洋大学は、1887年に「私立哲学館」として、井上円了博士により創立されました。
大学本部のある東京都文京区白山を中心に複数のキャンパスが存在し、今回訪れた川越キャンパスの自動車部は川越キャンパスすぐ横にガレージを構えています。

理系学部のために建設された川越キャンパスには、理工学部と総合情報学部に所属する学生が通っている

実は東洋大学には自動車部が2つ存在しており、文系の学生が通う朝霞キャンパスでの活動を行う自動車部もあるのだとか。まずはその違いについて、2015年度に財務を担当した堀井康平さん聞いてみました。

「朝霞キャンパスで活動する1部体育会所属の自動車部は、学生自動車連盟に所属してジムカーナやダートトライアル等の競技への出場をしている様です。川越キャンパスで活動する僕達は、個人車をガレージで整備してサーキットの走行会や合宿でウデを磨いていて、部としては学生対抗のカート大会に出場しています。」

タイヤを組み替える堀井さん。タイヤチェンジャーは昨年導入したばかりとの事

部のムードメーカー的な立ち位置の堀井さんですが、財務担当という事で活動資金には苦労をしてきたそうです。
「本当は部として一丸となって戦える大会にもっと出てみたい、という気持ちもあるのですが予算が少なくて・・・。昔から個人活動が中心だった部活動なので、その意識を変えるという点でも難しいです。一度、部費を上げようと提案した事があったのですが、部内で意見が割れてしまって上手く行きませんでした。」

言われてみると確かに、ガレージの敷地内にはクルマが沢山並んでいますが、競技専用の部車は見当たりません。
皆さん個人車の整備を行っていますが、大排気量のFRターボからNAの軽自動車まで様々です。

ガレージでの活動の中心は個人車の整備。少なくとも月に一度はサーキットの走行会に参加してウデを磨いている

「一口にクルマ好きといってもグリップで速く走りたい人、ドリフトを極めたい人、または楽しくドライブできればOKという人もいます。ウチの部はそうした多様性がある事が良い部分でもあると思いますが、そのせいでまとまりが無いとも言えます。そんな中でも自分達の代は新しい事にチャレンジして、カート大会以外にもみんなで競技をしたいという想いを持って活動してきました。」そう語るのは堀井さんと同級生で昨年度主将の菊本さん。

愛車を整備する菊本さん。このスズキ・アルトワークスでOBの先輩と一緒に耐久レース参戦を計画中

「昨年は大学対抗のカート大会で総合2位になりました。同じ学生同士で競い合う場としてはこれが唯一で、もっと他で自分達の実力を試したいと思っていましたが、時間切れになってしまいました。来年は4年生となり、下級生に役職を引き継いで見守る立場になります。一定の方向性は示せたと思うので、今後の活動については後輩たちに任せます。色んな制約に負けずに楽しく活動して欲しいですね。」

2016年度の主役は2年生が担う

そんな上級生の後を引き継いで主要な役職を任されたのは、4月で2年生になる部員達です。まだ入部から1年しか経たない彼らですが、部の主力を担うのに十分な頼もしさがあります。

そこで、主将を務める坂本拓海さんに入部してみて良かったと思うことを聞いてみました。
「走行会にしても大会にしても、モータースポーツを一人で始めるのはハードルが高いと思います。自動車部なら、何も分からなくても先輩から教えてもらえるし、同い年のクルマ好きの仲間が出来るのも強みですね。」

気づいたら入部していた、という坂本さん。ただ走るのではなく、考えながら上達を目指したいとの意気込みを聞かせてくれた

先輩の方針を受け継ぎ、部内で競うだけでなく外に向かっての活動を目指したいとも話す坂本さんからは、部活に対する思い入れの深さと自信が窺えます。
坂本さんと同級生の財務担当の渡辺航太さんと主務担当の小林将輝さんにとってはどうでしょう。

「もともとクルマが好きで自動車部に入りましたが、個人車を持つだけでなく上手く運転できるように努力したり、自分で整備したりできるのは自動車部のおかげだと思っています。自分で個人車を修理しようとしてネジをなめてしまう等、色々なトラブルに直面しましたが、先輩たちから色々と教えてもらって何とかやり遂げました。困った時の対処法や、特殊な工具の使い方など、部活で得た知識は今後一生クルマを楽しむ上での財産になると思います。」

活動中、渡辺さん(左)の個人車の整備を手伝う小林さん(右)

自動車部のメリットとして整備を挙げてくれた渡辺さんと対照的に、小林さんは運転技術の向上に熱中している様です。

「僕はもともと自分のクルマが欲しいという目標があって入部しました。去年1年間、先輩にサーキットやドライブに連れて行ってもらっていろいろな気づきがありました。クルマの走らせ方、楽しみ方、自分では考えもつかなかった新しい世界を教えてもらって、今では同期部員の中で誰よりも早くクルマを走らせられるようになることが目標です。カートでスポーツ走行の基礎を学びつつ、普段の街乗りから運転操作を見直したいと思っています。」
小林さんは先輩から教えてもらった事を活かして、後輩達の目標となる部員になりたいと力強く話してくれました。

自由さと仲の良さが大きな魅力

それぞれのスタイルでクルマを楽しみながら、チームとしてのモータースポーツにも力を入れつつある東洋大学川越体育会自動車部。部員の皆さんに共通しているのは、クルマに対する純粋な姿勢です。

毎週水曜日に各個人の活動報告を行っている。それ以外の時間の使い方は自由なので、それぞれの楽しみ方でカーライフを満喫している

例年、5月と11月に現役部員全員が参加するサーキットを貸し切っての走行会を開催しています。この際のサーキット場との往復の道のりは高速道路を使わず移動するとの事。ここ数年は、福島県のサーキットまで高速道路を使わずに遠征しており、走行会の高速道路を使わない移動は、先輩から受け継いだ伝統で、休憩を取りながら丸一日かけて移動するそうです。

そうしたクルマに対する基本的な意識が浸透しているからか、部員同士には不思議な一体感が有るように感じました。
取材に伺った日も部室のあちこちで個人車を整備する姿が見受けられましたが、「ちょっと手伝ってー!」という声にすぐ部員が集まって手を貸す姿が印象的でした。

お互いにアドバイスし合いながら、楽しんで整備を行っている

個人としての楽しみを自由に求めつつも、部としての連帯感があるので非常にバランスの取れた部活と言えるかもしれません。例年参加しているカート大会に加えて、何か一丸となって取り組む場を求めている彼らですが、新たなフィールドでもきっと活躍してくれる事でしょう。今後の動向に是非とも注目したい自動車部です。

[ガズー編集部]

MORIZO on the Road