【SEMA特集】二代目シボレー・カマロでヴィンテージカー・レースを父親と楽しむ

ポニーカーを代表する存在として、フォード・マスタングと並び称されるシボレー・カマロ。初代モデルが誕生したのは1967年のことで、GMが誇る“F-body”プラットフォームを採用し、当初は2+2シーターのクーペとコンバーチブルが展開された。

そして1970年には二代目へとモデルチェンジ。基本設計は初代モデルと大きく変わらないが、ボディは大型化し、サスペンションパーツもリファインされたことで、初代よりも乗り手を選ばないクルマになった。年次改良が当たり前のアメリカでは、年式が一年違えば別の仕様と捉えるのが一般的だが、二代目カマロは74年モデルから大型バンパーを採用したフェイスに変更されたため、それを境に前期と後期で大別することも可能である。

いわゆる前期型の最終モデルといえる、73年式のカマロを所有するブライアン・ホーバーさんは、オートクロス(日本でいうジムカーナに近いトラック競技)を趣味としているカーガイだ。クルマ好きになった経緯を聞くと、「父の影響だよ」と即答してくれた。

「もともと父がオートクロスを趣味にしていて、僕は6歳の頃からずっとその姿を見てきたんだ。16歳になって免許を取ったら、すぐに父のクルマを運転し始めたんだよ。当時、父は72年式と74年式の二台のカマロを所有していたんだけど、後にそれらを売却したお金で65年式のコルベットを購入して、それも親子で共有しながらオートクロスを楽しんできたんだ」

お父さんがもともと所有し、オートクロスに使っていた72年式のカマロは、「Z/28」というハイスペックモデルで、ホーバーさんにとっては幼いころの記憶に残る憧れのクルマだ。現在所有しているカマロは2008年に購入し、当時の思い出も下敷きにしながらモディファイを楽しんでいるという。

「クルマがストック(改造されていないノーマルの状態)で手に入ったのはよかったんだけど、エンジンは壊れていたし、ボディや内装もすべてひどい状態だったんだ(笑)。もともと付いていた部品はひとまず全部取り外して、クルマをいちから作っていったんだよ。オリジナルの部品が残っているのはルーフと窓ガラスとフロアパネルの一部だけかな(笑)。完成させるまでに3年くらいかかったんだけど、エンジンとトランスミッションの載せ換えとか電気系の接続なんかは、実家のガレージで父と一緒に作業したんだ。エンジンや車体に合わせてエキゾーストを加工したり、取り付けたりしたのも父なんだよ」

現在48歳のホーバーさんと、73歳のお父さん。ふたりともアマチュアレーサーとして現役バリバリで、ドライバー2名でエントリーする地元のサーキットイベントでは、カマロをふたりでシェアしてレースを楽しんでいる。

「父もこのカマロをすごく気に入ってくれているよ。ボンネットからトランクまで続いているブラックのシングルストライプは、父が昔持っていたZ/28をイメージしたものなんだ。本当はルーフには付かないんだけど、そこは自分のオリジナリティを表現したくてね。クルマの全体像をデザインする作業は好きなんだけど、正直なところ僕はクルマを作る作業よりも、運転することのほうがずっと好き(笑)。僕のパッションは、ビルディングじゃなくてドライビングなんだ。きれいに仕上がったクルマを眺めるのもいいけど、やっぱりクルマはレースに連れ出して走らせなきゃね!」

ルックスよりもファンクション(機能)を重視するホーバーさんのカマロ。エンジンは、より高年式のカマロに採用されていたLS3型V8を搭載。エンジンチューナーのマストモータースポーツがチューニングを施し、最高出力は611馬力を発揮するという。Gフォーストランスミッション製のシーケンシャル4速ドグミッションを組み合わせている。

サスペンションやカスタムロールケージなどのシャシー&ボディワークは、ホーバーさんの友人でもあるプロのサスペンション・スペシャリストであるマイク・マイヤーさんが担当。フロントサスペンションにはカスタムメイドのアームとJRiのコイルオーバーを採用。本来はリーフスプリングが使用されるリヤには、オリジナルの3リンクサスペンションとコイルスプリングを使用。アライメントの自由度と乗り心地を改善し、オートクロスにおける回頭性を向上した。

ホイールはイベントによっても交換するそうだが、現在はCCWの18インチを装着。タイヤはファルケンのアゼニスRT615K+を組み合わせる。ブレーキはウィルウッド製で、前6ポット、後4ポットのキャリパーと軽量かつ耐熱性に優れたフローティングディスクを装着。

外装のパネルはワイドフェンダーだけでなく、バンパーやドアパネル、トランクフードに至るまで、ほとんどをFRPで製作した。いかにも空力に効きそうなリヤスポイラーが男らしい。

室内にはエンジンルームと一体になっているカスタムのロールケージが張り巡らされ、VFNファイバーグラスで製作したダッシュボードを装着。MOMOのステアリングやKIRKEYのバケットシート、HURSTのシフトノブなども備わる。

[ガズー編集部]

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