DIYするたびに愛着が増したハイエースで、家族時間を充実させる

トヨタハイエースワゴン GL(TRH214W)の室内をDIYでカスタムして、家族とのキャンプを楽しんでいるそうだ。そのため「イジるたびに愛着が増していく」ハイエース。こだわり満載のDIY方法、DIYのこだわり、初めてのドライブなどをご紹介する。

テレビや雑誌で特集が組まれるほど注目を集めている「キャンプ」。自然の中で大切な人との時間を満喫できるほか、密を避けて楽しめるということもあり、その人口はどんどん増えている。今回の取材対象者である富澤拓也さんも、キャンプに魅了された1人だ。
「僕の中で、子供達と向き合える時間=キャンプなんです。共働きだから、平日は日々の生活に手一杯で子供達との時間をなかなかとることができない。かといって、たまの休日に家にいると、溜まっていた家事や用事をしちゃうんですよ。だけど、キャンプに行けばご飯を食べたり一緒に遊んだりするしかなくなるんです(笑)。キャンプはそういうところがいいなって思っています」

富士山の絶景が見えるキャンプ場や海遊びができるキャンプ場に、月に1回は必ず足を運んでいるという富澤さん。
どこに行ってもいい、食事は気が向いたら作ればいい、最悪テントだって張らなくてもいいという自由なキャンプスタイルが富澤家にはピッタリなのだという。

5人家族なのにテントを張らずにどこで寝るの?と思った人もいるかと思うが、富澤家には“車中泊"という手がある。
富澤さんの愛車はトヨタ・ハイエースワゴン GL(TRH214W)。さまざまなボディタイプがラインアップされるハイエースのなかでも、ワイド&ロングボディの乗用モデルだ。
「はじめは『車内で快適に過ごせたらいいなぁ~。よし、机を自分で作ってみるか』という程度だったんですよ。それが今では…」と言いながらバックドアを開けて、意味ありげな顔をした富澤さん。堰を切ったように溢れ出す数々のアイテム達は、確かに目を見張るものがあった。

バックドアを開けてまず目に飛び込んだのはベッドキットだ。色とりどりのクッションを両腕に抱き抱え、足を伸ばしてお子さん達がゴロゴロしている。木材や合皮などの材料費込みで、2万1000円でDIYしたとのこと。相場よりもかなり価格が抑えられているし、とても寝心地が良さそうだった。

「車中泊仕様のハイエースはたくさんありますが、値段が高めなのに対して自分好みのデザインで我が家のカーライフにピッタリな仕様が見つからなかったというのも、DIYをするキッカケとなりました。それならば、自分でやってみよう!と思ったんです。とは言っても、何の知識もなかったので探り探りでしたが(笑)」

ハイエースの車内コンセプトは“アメリカンビンテージ"で、1980~90年代を思わせる居住空間が広がっている。使い込まれた感じのする床や、木の温もりにほっとさせられる机、ピカピカ光っている黄土色のシートなど、味のある空間が何とも洒落ている。

「夫婦で古着が大好きなんですけど、その世界観を車内に持ち込めたら素敵だなと思ったんです。古着の魅力ってたくさんあるんですけど、僕が思うのは、生地が少し擦れていたり、何回も履くことによっていい塩梅に色が落ちているというダメージ感なんです。それによって、生活に馴染んでいる感じがするというか。妻はハイエースの機能には興味がないんですけど『ここの部分はもう少し明るい色の木にした方がいいと思う♪』みないたアドバイスはくれるので、とても助かっています」

細かいところまでこだわり出したらキリがないそうで、木目にシルバーのビスだと加工感が出てしまうため、茶色のものを使うようにしているのだと職人のような顔つきをしながら教えてくれた。最近では、ビスを打つ位置にもこだわってミリ単位での調整を行ってしまうのだという。
ひとつでも気に入らない部分があると、納得がいくまで何度もやり直してしまうため、それを見た友人達からは変態呼ばわりされていると笑いながら話してくれた。ただ、DIYにこだわり抜いている富澤さんにとっては、その言葉は褒め言葉だと言えそうだけど。

そして、そんな見た目に対するこだわりだけでなく、使い勝手にも余念がないのが富澤さんのすごいところである。
「ハイエースを購入して、1番最初に行ったのがディズニーランドだったんです。近くの温泉で一風呂浴びて、次の日の朝から遊ぶために車中泊をしたんですけど、めちゃくちゃ狭くて圧迫感があったんですよ」
この原因は、釣竿を置く事ができる“サイドロッドホルダー"を取り付けていたからなのだとか。収納スペースとしては◎なものの、5人で車中泊をするとなると、1cmでも居住空間のスペースを広げた方が過ごしやすいということに気付いたのだという。ちなみに、現在は釣り竿の収納は天井に沿わせる形に変更しているそうだ。
ほかにも、窓に貼るタイプの目隠しのサイズがピッタリ合っていないと隙間から太陽の光が入ってきて安眠できないことがわかり、ボードを取り付けたりしたという。

「キャンプを終える度に『ここを少しイジったらもっと過ごしやすくなるんじゃないか?』と閃くんですよ。それで、ちょっとでも手を入れてあげると、あぁ~、やっぱり良くなったな~ってなるんです。それが嬉しくて! これからもたくさんキャンプに行くつもりですが、ずっと同じレイアウトのままということは無いと思います。例えば、子供達の身長が伸びてきたらベッドキットの位置が変わったりとか、何かしら変化があると思いますよ」

DIYの良い所は、自分の思うままに進化させることができることだという富澤さん。それをもっとも体現しているのが、運転席のコンソールボックスだという。
「コンソールボックスは作るのが難しそうだし、市販品を買った方が良いのかなとも思ったんです。肘掛けの部分がパカッと空くようになっているのを探してみたんですが、勢いよく閉まるタイプの商品が多かったんですよ。ウチは小さな子供がいるから、それだと手を挟んじゃったりするし、どうしたもんかなと。だったら、その部分にクッションが付いている、ゆっくり閉まるタイプのコンソールボックスを作ればいいんだ!と制作に取り掛かりました。かなり、かなり、かなり大変でしたけどね(笑)」

3回も“かなり"というので、どれ程だろうと伺ってみると、その理由が分かった。
まずは、設計図を書くために車両のサイズが詳しく書いてある図面をネットで探し、実際に自分で長さを図りメモしていく。その後にパソコンを使って具体的な形を作成し、完成したらダンボールを使って実際に組んでみる。これでOKだったら、実際に作業に取りかかるという手順を経て完成したという。

「いろんなものをDIYしていくうちに気付いたことがあって。自分で作ると、使っていく度に愛着が増すからやっているんですよ。コストとか、自分にピッタリの物が作れるとか、もちろんそれもありますよ。だけど、楽しくて、ハイエースが好きだからやっているんです。自分の愛車で、家族と一緒にたくさんお出掛けに行きたいですからね」

キャンプを心待ちにしている子供達のために、インスタグラムで“キャンプ飯"を探すのが夫婦の日課になっているという富澤さん。ホットケーキミックスでホットドックを作ろうかと計画したり、ピザ生地を作って焼いたりなど、子供達のワクワクする顔が沢山見られることが、日々の生活の糧になっていると話してくれた。
奥様は最近パスタを作ることにハマっているそうで、富澤さんの祖父の農家で採れたほうれん草を使った“明太子クリームパスタ"は絶品なのだとか。

「妻の料理の腕前がどんどん上がってきているんですよ。必要最低限のものしかない過酷な環境で作るので手際も良くなっているし、味付けも素材の味が引き立つような、とにかく美味しいです」と、奥様の手料理を思い出して美味しそうな顔をした笑顔が夕焼けに照らされてキラキラして見えた。そして、遠くから聞こえてくる子供達の笑い声が幸せな気持ちにさせてくれた。

取材協力:
カンセキスタジアムとちぎ 栃木県宇都宮市西川田二丁目1-1
栃木県フィルムコミッション

(⽂:矢田部明子 / 撮影:土屋勇人、富澤さん 編集:GAZOO編集部)

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