社会人2年目から26年乗っているケンメリには、幸せな思い出が沢山詰まっている
「社会人2年目から足掛26年も乗っているなんて、しつこい人間だと自分でも思います(笑)」と話してくれたのは、今回の取材対象者の「トネさん」。愛車はC110型スカイライン、通称ケンメリで、このクルマ以外考えられないと話してくれました。26年間も付き合っていると、嬉しいことも大変だったこともあったそうですが、どれも最高の思い出だと笑っていました。
今回は、トネさん×ケンメリのお話をお届けします。
―――購入のキッカケは何だったのですか?
免許取得を機にクルマ雑誌を読んでいたら、見開きページでケンメリGTRが載っていたんです。僕はそれまでクルマに興味がなかったんですけど、ビビビっときちゃいましてねぇ。なんてカッコいいクルマなんだと、一目惚れしてしまったわけですよ。
―――どういうところがカッコいいと思ったのですか?
まずは、全体のフォルムですね。2ドア独特の、ドアが大きくて長くて、リアがシュッと落ちているあのライン。丸いテールランプと、そしてオーバーフェンダー!ようは……全部です(笑)。
―――なるほどです(笑)。ケンメリには、いつ頃から乗ってらっしゃるのですか?
1998年から、足掛け26年間乗っています。社会人2年目の時に購入したんですけど、当時の上司に150万円で買うと言ったら、「そんなに金を出して買うクルマじゃない!騙されてるぞお前!」と言われたのを覚えています(笑)。
めちゃくちゃ売れたし、人気のクルマではあったんですけど、登場から暫く経った頃には、中古車雑誌でも大体10万円くらいで売られていた時期もありました(ただしGTRは除く)。
実際自分でも近所の道端に放置されてるのを見たことがありましたし安く手に入る時代でもあったので改造して乗ったり、コワイ先輩が手放すクルマを押し付けられる時代でもあったそうです。
―――安く買えるから、言ってしまえば無茶苦茶に改造できる?的な感じですか?
僕はそういう時代を過ごしていないで分からないですけど、ケンメリを改造していた人は多かったと聞きます。実際、このケンメリも購入時はGTR仕様に改造してありましたしね。
―――あれ?ということは、ノーマルに戻したんですね。
そうなんです!買った当初はオーバーフェンダーにリアスポイラー、チンスポイラーを付けて、太いアルミホイールが履かせてあるGTR仕様でした。エンジンはボアアップされていて、ソレックスキャブレター、タコ足マフラーとぱっと見は改造車だなっ!て感じではありました。でもブレーキはノーマル、キャブのセッティングも出てなくて調子は今ひとつでした。
―――なぜ、GT仕様に戻そうと思ったのですか?
ある旧車ツーリングの時、僕が白い煙をあげて、バッスンバッスン音を立てながら走っていると、隣をスーッとエレガントに(しかもエアコンを効かせながら)知り合いのケンメリが追い越していったんです。それを見て、あぁ、僕はそっちの走りの方が“らしい”なと確信したからです。
そしてオーバーフェンダーも十分に魅力的なのですが、サーフィンラインへの憧れも捨て難く・・・そこで一念発起して2012年にショップに預けてオーバーフェンダーを外す作業を依頼しました。で、家に帰ってきたのは2020年のことです。
―――8年!?ええ!どこに家出してたんですか!
あはは(笑)!家出って!まぁ、エンジンを下ろしたり、ボディの錆びを取ったり色々ありましたからね。預けた当時は神奈川県に住んでいて、その後都内に引っ越してきましたので、地盤を固める意味でも準備期間を設けることができたのは、それはそれで良かったのかも?と思います。手放すつもりは無かったですしね。
―――当たり前のことを聞いちゃうんですけど、手放したくない理由は何ですか?
“ケンメリだから”手放さないんだと思います。冒頭でもお話ししたんですけど、僕は免許取得するまでクルマに興味が無かったんです。ケンメリを預けている間に何回かレンタカーに乗りましたが、故障や税金(笑)の心配もなく現代の快適装備に驚きましたね。
自家用車はあれば便利だし助かるよなとは思いますけど、都内住みだと絶対に自家用車じゃないと!とは感じないんです。
そんな僕なのに、ケンメリは違うんですよ!維持費もかかるし、1週間に1回は動かすなどの手間もかかる、決して快適ではないけど大好きなんです。何故かというと、一番はケンメリに乗りたいから。そして乗ることで、人生が確実に豊かになったと思えることが多いからです。
今だってそうですよ?こうやって、取材して頂ける、ケンメリを通じて何十年来の友達が出来た、コンビニに行くと(人生の大先輩に)ほぼ話しかけられる、とかねっ♪(笑)。ケンメリのおかげで、好意的な人ばかりと繋がれた気がします。
―――素敵……。それが、トネさんがケンメリに乗る理由なんですね。
はい。それと、素敵な思い出が沢山詰まっているから、手放そうにも手放せないというのもありますね。ケンメリのCMで使われた“ケンとメリーの木”というのが北海道にあるんですよ。新婚旅行で東京から青森まで自走で行って、フェリーに乗って、函館についてそこまで走りました。そういう、何というか……照れくさいけど、幸せな思い出が車内に沢山詰まっているんですよね。
今後も、できる限り乗り続けたいというトネさん。そして、これからも素敵な思い出を作っていくということです。次はどんな人とのご縁を繋いでくれるのか?楽しみで仕方がないと笑っていました。
(文:矢田部明子)
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