【試乗記】日産エクストレイル モード・プレミア ハイブリッド(4WD/CVT)
フトコロの深いクルマ
日産エクストレイル モード・プレミア ハイブリッド ハイコントラストインテリア(4WD/CVT)
日本はもちろん、欧米でも支持を得ている日産のSUV「エクストレイル」。そのラインナップにおいて、唯一の“都会派モデル”となっているオーテックの「モード・プレミア」に試乗。グローバルカーならではの魅力に触れた。
日本はもちろん、欧米でも支持を得ている日産のSUV「エクストレイル」。そのラインナップにおいて、唯一の“都会派モデル”となっているオーテックの「モード・プレミア」に試乗。グローバルカーならではの魅力に触れた。
世界各地で人気を博す
「試乗車を運転していると、それと同じクルマばっかり目にとまる法則」というのがあって、今回の試乗中もエクストレイルが目についた。だがこれは、その法則のせいばかりではない。エクストレイルは実際、売れているのだ。現行の3代目モデルが登場したのは2013年12月にさかのぼるが、販売はいまなお好調で、2017年に入ってからも月平均5000台に迫る。日産車のなかで「ノート」「セレナ」の次くらいに売れているのだ。
「ローグ(Rogue)」の名で販売されるアメリカでも絶好調だ。2017年は月にかるく3万台を超えるペースで売れていて、「ホンダCR-V」とコンパクトSUVクラスのトップを争っている。
ヨーロッパは日本と同じ「エクストレイル(X-TRAIL)」の車名だが、昨年、ルノーが出した新型「コレオス」も、エクストレイルの兄弟車と言っていい。2705mmのホイールベースをはじめ、ボディーサイズはほぼ同じ。見た目もルノー顔のエクストレイルである。ルノーサムスンが生産する先代コレオスは、一時、ルノー・ジャポンが販売したが、今回は“ない”でしょう。
2017年上半期、日産三菱ルノー連合は、フォルクスワーゲン、トヨタをおさえて、世界販売トップに立った。もちろん三菱を傘下に収めたことが急伸の理由だが、エクストレイルはそんな急成長グローバルメーカーで重要な地位を占める世界戦略車なのだ。
「ローグ(Rogue)」の名で販売されるアメリカでも絶好調だ。2017年は月にかるく3万台を超えるペースで売れていて、「ホンダCR-V」とコンパクトSUVクラスのトップを争っている。
ヨーロッパは日本と同じ「エクストレイル(X-TRAIL)」の車名だが、昨年、ルノーが出した新型「コレオス」も、エクストレイルの兄弟車と言っていい。2705mmのホイールベースをはじめ、ボディーサイズはほぼ同じ。見た目もルノー顔のエクストレイルである。ルノーサムスンが生産する先代コレオスは、一時、ルノー・ジャポンが販売したが、今回は“ない”でしょう。
2017年上半期、日産三菱ルノー連合は、フォルクスワーゲン、トヨタをおさえて、世界販売トップに立った。もちろん三菱を傘下に収めたことが急伸の理由だが、エクストレイルはそんな急成長グローバルメーカーで重要な地位を占める世界戦略車なのだ。
ラインナップで唯一の“都会派”
今回試乗したのは、この6月にマイナーチェンジを受けた最新モデルの「モード・プレミア ハイブリッド」。ふつうのエクストレイルでは満足できないという人に向けたオーテック仕立ての高付加価値モデルである。
ヘビーデューティーな“タフギア”をうたうエクストレイルにあって、モード・プレミアのコンセプトは「都会向き」だ。シリーズ唯一の19インチホイールを履き、専用のバンパー、シート、内装パネルなどの特別装備をまとう。サイドスカートやホイールアーチのブラックアウト処理もやめて、モノカラーにしている。そのため、特に試乗車の白だと、大柄なボディーがいっそう大きく見える。1650kgの車重も、ノーマルのハイブリッド4WDより10kg重い。
試乗車に付いていたストーンホワイトレザーシートも専用装備だ。本革と合成皮革の混成だというが、カタログを読み込むまで、一点の曇りもないビニールレザーだと思っていた。気の置けないツルツルしたこういうレザーシートは、アメリカ車のセダンなどに昔からよくあるが、本革シート仕様のエクストレイル! と期待すると、肩透かしを食らうと思う。
ヘビーデューティーな“タフギア”をうたうエクストレイルにあって、モード・プレミアのコンセプトは「都会向き」だ。シリーズ唯一の19インチホイールを履き、専用のバンパー、シート、内装パネルなどの特別装備をまとう。サイドスカートやホイールアーチのブラックアウト処理もやめて、モノカラーにしている。そのため、特に試乗車の白だと、大柄なボディーがいっそう大きく見える。1650kgの車重も、ノーマルのハイブリッド4WDより10kg重い。
試乗車に付いていたストーンホワイトレザーシートも専用装備だ。本革と合成皮革の混成だというが、カタログを読み込むまで、一点の曇りもないビニールレザーだと思っていた。気の置けないツルツルしたこういうレザーシートは、アメリカ車のセダンなどに昔からよくあるが、本革シート仕様のエクストレイル! と期待すると、肩透かしを食らうと思う。
燃費よりもパワーが見どころ
- パワープラントやドライブトレインの設定は、標準車の「エクストレイル」と同じ。「モード・プレミア」にもガソリン車とハイブリッド車、FF車と4WD車が用意されており、またガソリン車では3列シート仕様も選択できる。
エクストレイル ハイブリッドのパワートレインは、「1モーター2クラッチ」方式。147psの2リッター4気筒エンジン、41psのモーター、CVTを直列に配置し、モーターの前と後ろにクラッチを入れた。その結果、モーターのみのEV走行もできる。今度のマイナーチェンジでカタログ燃費がわずかに向上している。
エクストレイルのハイブリッドに乗ったのは初めてだが、予想以上にパワフルだと思った。特に“スピードに乗せる“までの加速が意外や俊敏だ。グワッと力強いこの感じ、何かに似ていると考えたら、ノートの「e-POWER」にそっくりである。あれをそのまま大きくしたような印象だ。
高回転まで引っ張ると、エンジンはなかなかスポーティーな音を聴かせる。CVTということで、フロアセレクターの前進シフトポジションは「D」と「L」しかないが、降坂時の減速用としても、有段化してパドルシフトがほしいところである。
乗り心地はまずまずだ。19インチホイールのせいか、荒れた舗装路ではややバタつくが、SUVだから、これくらい野趣があってもいいだろう。
約340kmを走って、燃費は10.9km/リッターだった。「SUVの皮を着たプリウス」こと「トヨタC-HR」のほうが好燃費だが、チカラはエクストレイルのほうがある。同じく2リッターエンジン+1モーターでCVTを使う先代「スバルXV」のハイブリッドも、現実燃費はこれくらいだった。
エクストレイルのハイブリッドに乗ったのは初めてだが、予想以上にパワフルだと思った。特に“スピードに乗せる“までの加速が意外や俊敏だ。グワッと力強いこの感じ、何かに似ていると考えたら、ノートの「e-POWER」にそっくりである。あれをそのまま大きくしたような印象だ。
高回転まで引っ張ると、エンジンはなかなかスポーティーな音を聴かせる。CVTということで、フロアセレクターの前進シフトポジションは「D」と「L」しかないが、降坂時の減速用としても、有段化してパドルシフトがほしいところである。
乗り心地はまずまずだ。19インチホイールのせいか、荒れた舗装路ではややバタつくが、SUVだから、これくらい野趣があってもいいだろう。
約340kmを走って、燃費は10.9km/リッターだった。「SUVの皮を着たプリウス」こと「トヨタC-HR」のほうが好燃費だが、チカラはエクストレイルのほうがある。同じく2リッターエンジン+1モーターでCVTを使う先代「スバルXV」のハイブリッドも、現実燃費はこれくらいだった。
グローバルカーならではの包容力
試乗車にはオプションの “プロパイロット”が付いていた。「同一車線自動運転技術」とCMで高らかにうたう運転支援システムだ。高らかなわりに、単眼カメラですか!? といったツッコミもあろうが、高速道路では頼りになる。ウインカーを出さずに白線を踏んだときのハンドルの戻し方など、アシストとはいえ、けっこう攻めるタイプである。ステアリングのスポーク上にまとまったスイッチもわりと使いやすい。
エクストレイルの人気のひとつは、ボディーの実用性の高さである。外寸は、国産ライバルよりもワンサイズ大きく、特に4.7mの全長は「トヨタ・ハリアー」と同クラスである。おかげでリアシートはとても広い。座面も高く、ふたりの大人がゆったり快適に座れる。荷室も大きいが、ハイブリッドは駆動用バッテリー搭載で床が10cmほどかさ上げされている。
運転していて、どこか際立つ個性があるわけではないが、グローバルカーらしいフトコロの深さに好感が持てるSUVである。長く乗っても疲れないおおらかな乗り味は、「スバル・アウトバック」に似ていると思った。ノートe-POWERと同じく、売れるクルマは、売れるべくして売れるのだ。
(文=下野康史<かばたやすし>/写真=向後一宏/編集=堀田剛資)
エクストレイルの人気のひとつは、ボディーの実用性の高さである。外寸は、国産ライバルよりもワンサイズ大きく、特に4.7mの全長は「トヨタ・ハリアー」と同クラスである。おかげでリアシートはとても広い。座面も高く、ふたりの大人がゆったり快適に座れる。荷室も大きいが、ハイブリッドは駆動用バッテリー搭載で床が10cmほどかさ上げされている。
運転していて、どこか際立つ個性があるわけではないが、グローバルカーらしいフトコロの深さに好感が持てるSUVである。長く乗っても疲れないおおらかな乗り味は、「スバル・アウトバック」に似ていると思った。ノートe-POWERと同じく、売れるクルマは、売れるべくして売れるのだ。
(文=下野康史<かばたやすし>/写真=向後一宏/編集=堀田剛資)
テスト車のデータ
日産エクストレイル モード・プレミア ハイブリッド ハイコントラストインテリア
ボディーサイズ:全長×全幅×全高=4705×1830×1730mm
ホイールベース:2705mm
車重:1650kg
駆動方式:4WD
エンジン:2リッター直4 DOHC 16バルブ
モーター:交流同期電動機
トランスミッション:CVT
エンジン最高出力:147ps(108kW)/6000rpm
エンジン最大トルク:207Nm(21.1kgm)/4400rpm
モーター最高出力:30ps(41kW)
モーター最大トルク:160Nm(16.3kgm)
タイヤ:(前)225/55R19 99H/(後)225/55R19 99H(ブリヂストン・エコピアH/L422プラス)
燃費:--km/リッター
価格:364万3920円/テスト車=387万1651円
オプション装備:ボディーカラー<ブリリアントホワイトパール>(4万3200円)/ルーフレール(5万4000円)/インテリジェントアラウンドビューモニター<移動物検知機能付き>+インテリジェントパーキングアシスト<駐車支援システム>+インテリジェントルームミラー+NissanConnectナビゲーションシステム+インテリジェントDA<ふらつき警報>(34万9920円)/プロパイロット+ハイビームアシスト+ステアリングスイッチ<プロパイロット>+電動パーキングブレーキ+オートブレーキホールド+インテリジェントLI<車線逸脱防止支援システム>+BSW<後側方車両検知警報>+RCTA<後退時車両検知警報>(14万0400円) ※以下、販売店オプション 専用フロアカーペット<消臭機能付き+「モード・プレミア」エンブレム付き>(3万6504円)/専用ラゲッジカーペット<消臭機能付き+「モード・プレミア」刺しゅう付き>(2万2000円)
テスト車の年式:2017年型
テスト開始時の走行距離:720km
テスト形態:ロードインプレッション
走行状態:市街地(2)/高速道路(6)/山岳路(2)
テスト距離:339.2km
使用燃料:31.2リッター(レギュラーガソリン)
参考燃費:10.9km/リッター(満タン法)/12.0km/リッター(車載燃費計計測値)
ボディーサイズ:全長×全幅×全高=4705×1830×1730mm
ホイールベース:2705mm
車重:1650kg
駆動方式:4WD
エンジン:2リッター直4 DOHC 16バルブ
モーター:交流同期電動機
トランスミッション:CVT
エンジン最高出力:147ps(108kW)/6000rpm
エンジン最大トルク:207Nm(21.1kgm)/4400rpm
モーター最高出力:30ps(41kW)
モーター最大トルク:160Nm(16.3kgm)
タイヤ:(前)225/55R19 99H/(後)225/55R19 99H(ブリヂストン・エコピアH/L422プラス)
燃費:--km/リッター
価格:364万3920円/テスト車=387万1651円
オプション装備:ボディーカラー<ブリリアントホワイトパール>(4万3200円)/ルーフレール(5万4000円)/インテリジェントアラウンドビューモニター<移動物検知機能付き>+インテリジェントパーキングアシスト<駐車支援システム>+インテリジェントルームミラー+NissanConnectナビゲーションシステム+インテリジェントDA<ふらつき警報>(34万9920円)/プロパイロット+ハイビームアシスト+ステアリングスイッチ<プロパイロット>+電動パーキングブレーキ+オートブレーキホールド+インテリジェントLI<車線逸脱防止支援システム>+BSW<後側方車両検知警報>+RCTA<後退時車両検知警報>(14万0400円) ※以下、販売店オプション 専用フロアカーペット<消臭機能付き+「モード・プレミア」エンブレム付き>(3万6504円)/専用ラゲッジカーペット<消臭機能付き+「モード・プレミア」刺しゅう付き>(2万2000円)
テスト車の年式:2017年型
テスト開始時の走行距離:720km
テスト形態:ロードインプレッション
走行状態:市街地(2)/高速道路(6)/山岳路(2)
テスト距離:339.2km
使用燃料:31.2リッター(レギュラーガソリン)
参考燃費:10.9km/リッター(満タン法)/12.0km/リッター(車載燃費計計測値)
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