【試乗記】スバル・レガシィ アウトバック リミテッド(4WD/CVT)
- スバル・レガシィ アウトバック リミテッド(4WD/CVT)
アクティブ家族のために
30年を超える歴史を持つ“筋金入り”のクロスオーバーSUV「スバル・レガシィ アウトバック」が、マイナーチェンジで商品力をアップ。スバルのこだわりが詰まったフラッグシップモデルの実力を、スキーシーズンを迎えた冬の霧ヶ峰で確かめた。
四輪駆動にかけるスバルのこだわり
<スバル=シンメトリカルAWD=水平対向エンジン+四輪駆動>という定理は、広く知られるところとなった。重量バランスのよさを生かして適切な駆動力配分を行い、滑りやすい路面から高速道路まで、どんな状況でも高い操縦安定性を実現する。スバルだけが持つ技術だから、この唯一無二の駆動システムが購入動機となるケースは多いだろう。
同じ方式ですべてのモデルをカバーするのではなく、4つのバリエーションが用意されている。メカニカルなシステム1種類と、電子制御を用いたシステム3種類だ。レガシィ アウトバックには、電子制御システムの中ではベーシックな「アクティブトルクスプリットAWD」が採用されている。スポーティーな走りのモデルでは回頭性最優先のシステムが使われているが、アウトバックはドライバーが走りを楽しむだけでなく、家族を乗せて遠くまで出かけることを想定したモデルである。クルマの性格を考え、安定性重視のシステムが選ばれているのだ。
SUVばやりで新しいモデルが続々と誕生しているが、アウトバックの歴史は古い。1994年に「レガシィ」をベースにしたクロスオーバーSUVとしてアメリカで発売され、翌年日本にも導入された。当初「レガシィグランドワゴン」という名前で売られたことでもわかるように、大きくて背の高いワゴンとして出発している。やたらにプレミアムをアピールする威圧的なSUVとは出自が異なる。
だから、運転感覚は至って普通である。着座位置はセダンと変わらない高さだし、実はスタッドレスタイヤを装着していることさえ意識せずに高速道路を飛ばせる。
同じ方式ですべてのモデルをカバーするのではなく、4つのバリエーションが用意されている。メカニカルなシステム1種類と、電子制御を用いたシステム3種類だ。レガシィ アウトバックには、電子制御システムの中ではベーシックな「アクティブトルクスプリットAWD」が採用されている。スポーティーな走りのモデルでは回頭性最優先のシステムが使われているが、アウトバックはドライバーが走りを楽しむだけでなく、家族を乗せて遠くまで出かけることを想定したモデルである。クルマの性格を考え、安定性重視のシステムが選ばれているのだ。
SUVばやりで新しいモデルが続々と誕生しているが、アウトバックの歴史は古い。1994年に「レガシィ」をベースにしたクロスオーバーSUVとしてアメリカで発売され、翌年日本にも導入された。当初「レガシィグランドワゴン」という名前で売られたことでもわかるように、大きくて背の高いワゴンとして出発している。やたらにプレミアムをアピールする威圧的なSUVとは出自が異なる。
だから、運転感覚は至って普通である。着座位置はセダンと変わらない高さだし、実はスタッドレスタイヤを装着していることさえ意識せずに高速道路を飛ばせる。
“ぽっと出”のSUVとはわけが違う
- 運転支援システムについても、前走車追従機能付きクルーズコントロールの使用可能速度域を拡大したり、後退時自動ブレーキシステムやフロント&サイドビューモニター、アダプティブドライビングビーム、ステアリング連動ヘッドランプを新たに採用したりするなど、大幅な改良がなされている。
- 走りに関する点ではサスペンションのチューニングを見直したほか、エンジンやトランスミッション、電動パワーステアリング、ブレーキなどについても改良を実施。快適性を高めるとともに、より人の感覚にあった操作性を追求している。
このところは<スバル=アイサイト>という定理のほうがシンメトリカルAWDよりも有名になっているが、もちろんアウトバックにも標準装備。2017年秋のマイナーチェンジで、アイサイトの機能もグレードアップされた。後退時自動ブレーキシステムを追加し、前走車追従機能付きクルーズコントロールの車速域を0km/h~約120km/hへと拡大している。目的地まではもちろんこのクルーズコントロールとレーンキープ機能を使って楽ちんドライブを決め込む。加減速などのレスポンスのよさは、相変わらず一級品だ。
向かったのは長野県の霧ヶ峰高原。すでにスキー場が営業を始めており、山を登っていくと路面がだんだん白くなっていく。途中で見つけたチェーン装着場を華麗にスルーして運転を続ける。ドライバーは何もしなくていい。アクティブトルクスプリットAWDは前60:後ろ40のトルク配分を基本にしているが、路面や走行状態に合わせて瞬時に配分を変える。前輪が滑ったのを感知すると後輪へのトルクを増やして駆動力を確保するらしいが、運転していて気づくことはない。
深い雪にハマってしまった時のために、「X-MODE」が用意されている。エンジンやトランスミッション、ブレーキ、VDCを統合制御し、路面へのトラクション伝達能力を一段と高める電子制御システムだが、スキー場のまわりを走るだけならお世話になる場面はない。凍結路面の下り坂で使う「ヒルディセントコントロール」も同様である。いざという時のための、安心機能なのだ。
試乗にはオールシーズンタイヤを装着したFF車も同行した。雪道でも不安なく走れることに感心したが、やはり発進時にはタイヤが一瞬空転する。アウトバックの盤石ぶりは、当然ながらワンランク上である。凝ったデザインを採用したSUVが増殖する中で、アウトバックは地味に見えるかもしれない。でも、使い勝手や操縦性能をしっかり見極めれば、高いアドバンテージを持っていることがわかる。見た目だけのファッションSUVとは違うのだ。どこにでも出かけていくアクティブな家族には、実質重視のアウトバックが似合う。
(文=鈴木真人/写真=荒川正幸/編集=堀田剛資)
【スペック】
全長×全幅×全高=4820×1840×1605mm/ホイールベース=2745mm/車重=1580kg/駆動方式=4WD/エンジン=2.5リッター水平対向4 DOHC 16バルブ(175ps/5800rpm、235Nm/4000rpm)/トランスミッション=CVT/燃費=14.8km/リッター(JC08モード)/価格=356万4000円
向かったのは長野県の霧ヶ峰高原。すでにスキー場が営業を始めており、山を登っていくと路面がだんだん白くなっていく。途中で見つけたチェーン装着場を華麗にスルーして運転を続ける。ドライバーは何もしなくていい。アクティブトルクスプリットAWDは前60:後ろ40のトルク配分を基本にしているが、路面や走行状態に合わせて瞬時に配分を変える。前輪が滑ったのを感知すると後輪へのトルクを増やして駆動力を確保するらしいが、運転していて気づくことはない。
深い雪にハマってしまった時のために、「X-MODE」が用意されている。エンジンやトランスミッション、ブレーキ、VDCを統合制御し、路面へのトラクション伝達能力を一段と高める電子制御システムだが、スキー場のまわりを走るだけならお世話になる場面はない。凍結路面の下り坂で使う「ヒルディセントコントロール」も同様である。いざという時のための、安心機能なのだ。
試乗にはオールシーズンタイヤを装着したFF車も同行した。雪道でも不安なく走れることに感心したが、やはり発進時にはタイヤが一瞬空転する。アウトバックの盤石ぶりは、当然ながらワンランク上である。凝ったデザインを採用したSUVが増殖する中で、アウトバックは地味に見えるかもしれない。でも、使い勝手や操縦性能をしっかり見極めれば、高いアドバンテージを持っていることがわかる。見た目だけのファッションSUVとは違うのだ。どこにでも出かけていくアクティブな家族には、実質重視のアウトバックが似合う。
(文=鈴木真人/写真=荒川正幸/編集=堀田剛資)
【スペック】
全長×全幅×全高=4820×1840×1605mm/ホイールベース=2745mm/車重=1580kg/駆動方式=4WD/エンジン=2.5リッター水平対向4 DOHC 16バルブ(175ps/5800rpm、235Nm/4000rpm)/トランスミッション=CVT/燃費=14.8km/リッター(JC08モード)/価格=356万4000円
- 運転支援システムについても、前走車追従機能付きクルーズコントロールの使用可能速度域を拡大したり、後退時自動ブレーキシステムやフロント&サイドビューモニター、アダプティブドライビングビーム、ステアリング連動ヘッドランプを新たに採用したりするなど、大幅な改良がなされている。
- 走りに関する点ではサスペンションのチューニングを見直したほか、エンジンやトランスミッション、電動パワーステアリング、ブレーキなどについても改良を実施。快適性を高めるとともに、より人の感覚にあった操作性を追求している。
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