ビートがフォードGT40に大変身!学生が手掛ける“温かみ”の詰まったビンテージカスタム・・・大阪オートメッセ2024
2月10日~12日まで、大阪府大阪市のインテックス大阪で開催されていた大阪オートメッセ2024。自動車メーカーの新型車はもちろん、パーツメーカーやカスタマイズブランドの入魂のデモカー、大阪らしいド派手なカスタム車両まで660台もの展示車両が所狭しと並んでいた。
その中で、特に中年以上の男性が足を止め、そのスタイルやカラーリング、その車両が当時活躍していたことなどを楽し気に話しているのが印象的だったのが、日本工科大学校が手掛けた「HORD PP40」だ。
往年のモータースポーツファンであればご存じのフォードGT40。1968年と1969年にガルフカラーのフォードGT40がル・マン24時間レースを連覇し鮮烈な印象を残している。
今回この歴史的なマシンをモチーフに日本工科大学校が手掛けてきた「HORD PP40」は、実はホンダのビート(E-PP1)がベース車両というから驚きだ。
毎年、同校のカスタム自動車工学科の4年生が5人でグループを組み展示車両を製作してきていたというが、今年は4年生が一人のため、2人の3年生の手を借り3人体制で製作をしているという。
そして、このカリキュラムの一環としてこのカスタムに協力しているのが、日本を代表するカスタムカーの巨匠、アートレーシングの村手智一氏だ。実際にこのフォードGT40のビンテージデザインによる車両製作を手掛けており、「本物をレストアするときの技術を伝授して」一緒に作業を行っているという。
実際に本物のデータを活用した型からFRPでボディを製作しているというから本格的なことも頷ける仕上がりだ。
このビートをベース車両に、そしてカスタムのモチーフとしてフォードGT40を選んだ理由を唯一の4年生の高瀬さんに伺った。
「平成ABCトリオの中で、カプチーノはすでにコブラとかオースチンヒーレーなどのカスタムカーのベースになっていることもあり、僕はビートでやりたいなと思いました。さてビートで何を作ろうってなったときに、アメリカっぽいマッスルなクルマを作りたいと思い、ミッドシップレイアウト、マッスル、アメリカンで考えた時に、これだ!と思いつきました」
とはいえ、ベース車両はビートであるため、ホイールベースが実際のGT40よりも150mm短いという。そのため、一度製作したFRPボディのフェンダー周りをカットして、このホイールベースに合わせて違和感の無いように仕上げることが一番苦労した点だという。
いっぽう、一番好きなポイントとしては前から見た時の薄いボディから張り出すフェンダーやファットなタイヤとのバランスを挙げ、オリジナルのGT40よりもよりツライチになるように、ホイールのチョイスにもこだわったという。
なお、横幅はビートよりも300mm程度は広がっているそうだ。
インテリアは、ベース車両がビートで幅が狭いため、同じようなインテリアにするのが難しいということで、あえて鉄板を活用したストレートでスパルタンな仕様に。さらにビーディング加工(表面に半円形のふくらみができるような溶接をする加工)を施すなど、細かいところまでカッコよさを追求している。
このクルマは現状では走らせることを想定していないため、灯火類などは適合していなかったり配線をつないでいないという。
また、ボディやタイヤの大型化に対してエンジンや駆動系などについてはそのままであるため、転がす程度に動かすことができるという状況のようだ。
実際に大阪オートメッセに展示され、多くの来場者が足を止め楽しそうに話をしている姿をみた高瀬さんは、「もう、みなさんの驚く顔が見られてうれしいです。自分としても夢のある一台なので、それが自分の目の前にあるということがいまだに信じられません」と満面の笑みを見せてくれた。
この3月で卒業する高瀬さんは、村手氏が率いるアートレーシングに就職することが決まっているという。その村手氏によると最近のボディカスタムはパソコンで設計することが多くなってきているという。
いっぽう、村手氏は昔ながらの手作りでのデザインにこだわり、その車両の特徴を生かしながら洗練されたデザインに仕上げていくという。
「僕が手掛けると温かみがでるんじゃない」と語る村手氏に師事した学生たちが、たとえ電動車の時代になろうともこれからどのようなカスタムを手掛け、“世界に一台しかないクルマ”を生み出していくのか楽しみで仕方がない。
(GAZOO編集部)
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