【連載全9話】第7話 ホンダNSX(オールアルミモノコックボディー)・・・日本発の技術やアイデアのあるクルマ

工業製品として時代の先端を行く自動車は、さまざまな技術を生かしてつくられています。今回は、なかでも日本発祥のアイデアやテクノロジーが注がれた、注目すべき日本車を週替わりで紹介します。

ホンダNSX(オールアルミモノコックボディー)

フェラーリやランボルギーニなどの独壇場だったミドシップのスーパースポーツの世界に初めて斬り込んだ日本車が、1990年に発売されたホンダNSXである。モータースポーツの最高峰であるF1を制した“エンジン屋”のホンダの作であるにもかかわらず、イメージ的にその種のモデルにとって重要なパワーユニットのスペックは、実際の性能はともかく、欧州勢と比べて見劣りした。だがNSXには、それらにはない世界初の技術が採用されていた。市販量産車としては世界初となるオールアルミモノコックボディーである。

軽量化を目的に、車両のボディーに求められる強度、剛性、成形の自由度、耐熱性、耐蝕(たいしょく)性、量産性などを考慮したうえで、アルミ、FRP(繊維強化プラスチック)、CFRP(炭素繊維強化プラスチック)など各種の軽量素材を比較検討。テストの結果、選択されたアルミが抱えるコストや生産性の問題を解決してオールアルミモノコックボディーが実現した。ホワイトボディーの重量は210kgで、同じ構造、形状でスチール製とした場合に比べ140kg軽く、総重量では約200kgもの軽量化を達成したと発表された。

その車体に横向きにミドシップされたパワーユニットは、VTEC仕様のV型6気筒DOHC 24バルブ3リッター。最高出力は5段MT仕様では自主規制枠いっぱいの280PS/7300rpmだが、4段AT仕様では265PS/6800rpmに抑えられていた。車両重量は5段MT仕様が1350kgで、馬力あたり重量は約4.8kg/PS。オールアルミモノコックボディーの採用によって、目標としていた5kg/PSが実現。自動車専門誌のテストでは5段MT仕様が0-400m=13.6秒、0-100km/h=5.6秒という俊足を披露した。

[GAZOO編集部]

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