【連載全9話】第8話 トヨタ・プリウス(ハイブリッドシステム)・・・日本発の技術やアイデアのあるクルマ

工業製品として時代の先端を行く自動車は、さまざまな技術を生かしてつくられています。今回は、なかでも日本発祥のアイデアやテクノロジーが注がれた、注目すべき日本車を週替わりで紹介します。

トヨタ・プリウス(ハイブリッドシステム)

「21世紀に間に合いました」というキャッチコピーを掲げて1997年に市販開始された、世界初の量産ハイブリッド車。それまで日本発の自動車技術といえば、極論すれば改良と大衆化の歴史であり、その後の自動車史を左右するような革命的、根源的な技術開発は見当たらなかった。その意味では、自動車の発明からおよそ1世紀が経過した20世紀の終わりになって、自動車史に刻まれるであろう日本発の技術がようやく登場したといえる。

空力を考慮しつつも、4215mmというカローラ級の全長に対して長めのホイールベースと高めの全高としたことで、ミディアムクラスの室内空間を実現した5ナンバーサイズの4ドアセダンボディー。“新世代パッケージ”といわれたそのボディーに、1.5リッター直4のガソリンエンジンに電気モーター、発電機、ニッケル水素電池を組み合わせた、独自のトヨタハイブリッドシステム(THS)が搭載された。エンジンの動力をプラネタリーギアを用いた動力分割機構により発電機とモーターに分割し、状況に応じてエンジンのみ、モーターのみ、あるいは双方を併用して走行する高効率なスプリット方式を採用していた。

公称データではリッターあたり28km(10・15モード)という、既存の1.5リッター級AT車の約2倍の低燃費を実現。同時にCO2排出量は約2分の1に削減し、CO、HC、NOxは規制値の約10分の1という排出ガスのクリーン化を実現、環境性能という新たな評価軸でもその後の基準を構築した。プリウス以降、世界中の自動車メーカーからハイブリッド車が登場したことは、いまさら言うまでもないだろう。

[GAZOO編集部]

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