【西日本GR走行会 愛車紹介】男気溢れるM2&86オーナーがサーキット未経験の後輩へ楽しさをお裾分け
どんなにハイパフォーマンスなクルマを所有していても、一般の生活圏内ではそのすべてを引き出すことは不可能である。その点でいえばサーキットは、普段では垣間見ることのできない愛車の本当の姿が見られる、数少ないチャンスといえるだろう。『西日本GR走行会with REVSPEED』で出会ったBMW・M2のオーナーも、そんな愛車の新たな魅力に気づいたひとりだ。
もともとBMW・M135iやアバルト・695などハイパフォーマンスなハンドリングマシンを乗り継いでいたオーナーが、車両入れ替えとともに選んだのはM2クーペ。BMWのパフォーマンスグレードとして、搭載するエンジンは専用チューンが施され、最高出力も370psに設定される。通常の2シリーズよりもワイドなボディによって走行安定性を高めたハイパフォーマンスモデルだ。
しかしこのクルマでアクセルをベタ踏みするともれなく免許がなくなってしまうため、アクセル全開で楽しめるサーキット走行に目を向けた。その際に入手したのが、付き合いのあったトヨタディーラーで勧められた86だったという。
M2でサーキットを走るのではなく、サーキット用として86を手にしたのは、チューニングプランが豊富に揃っているから。もちろんサーキットを走るとなれば、まずはロール感や油温が気になりはじめ、次第にブレーキの効きに不満を感じるようになっていった。
こういった部分もサポートしてくれているディーラーでHPI製オイルクーラーの追加や、サスペンションをHKS・ハイパーマックスSPに交換。挙動や安定感を重視した改善を行い、86はそれなりに満足のいくセッティングが完了したのである。
今回の西日本GR走行会も当初はサーキット用の86でエントリーを考えていた。しかし会社の後輩がサーキットに興味を示したのが思わぬ転機。走りたいなら走らせてあげようと、急遽86を貸し出し、自分は街乗り用のM2で走ることに決めたのだという。
つまりM2でサーキットを走るのは今回がはじめて。もちろん街乗り用として購入しただけに、チューニングも一切なし。全開領域でも操り切れる慣れ親しんだ86から乗り換えたところ、速度域は高いがやはりコーナーでのロールが大きく、うまく走ることができない。さらにブレーキも初期制動の違いが顕著で、改めてクルマによる違いに合わせたドライブが重要だと思い知ったという。
こういった経験は話には聞いたことはあるものの、実際に体験してみて勉強になったなというのが率直な感想。これまで見えていなかったM2の乗り方のさらに深い部分を知ることができたのは、良い経験であるとともに、今後の街乗り時の安全運転にも大きなプラスに働くと考えている。
もちろん86の挙動と比べることでチューニングの効果も改めて認識。M2もサスペンションやブレーキパッドなど、いろいろなパーツを試したくなってきてしまったというから、さらに深みに足を踏み入れてしまった様子だ。
一方、86を借りて人生初のサーキットを経験した後輩はといえば、ひと通り主要部分に手が加えられた状態でのスタート。もともとサーキットに興味はあったが、所有車両がファミリーカーのみであったため、その夢は半ば諦めかけていたという。そんなタイミングで先輩に声をかけられ、86を借りることができたのは予想外のできごと。とはいっても、内心では「いえば貸してもらえそう」と思っていたのはナイショの話。
晴れて初のサーキット走行を終えた感想は「こんなに楽しいことが世の中にあったんですね」とのこと。これをきっかけに自分のマシンが欲しくなったとはいうものの、今回M2の走りを体感した先輩は、きっと次もM2で走るはず。そうしたらこの86は宙に浮くから…という皮算用を、当の先輩の横で軽く口から出せる親密さは、先輩への敬意と後輩への信頼があるからこそ、かもしれない。
M2&86オーナーも今回の走行会ではレーシングドライバーの佐々木雅弘選手による同乗走行にも参加して、プロの走りを目の当たりにした。ブレーキングなど勉強になることも多く、クルマの走らせ方を勉強することができたという。それだけにサーキットは改めてクルマとの付き合い方を学び、後輩との絆を深める場として、有意義であったことは間違いないだろう。
[ガズー編集部]
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