【連載全12話】第3話ダイハツ・フェローバギィ・・・ルーフが開く日本生まれの2シーター

サンルーフやパノラマルーフもいいけれど、ルーフそのものが外せたら、さらに開放的なドライブが楽しめます。今回は、そんな屋根が開くモデルのなかから、2人乗りの日本車をピックアップし紹介します。

ダイハツ・フェローバギィ

1960年代にアメリカ西海岸の若者の間で流行(はや)っていたサンドバギーを模したモデル。本場ではフォルクスワーゲン・タイプ1(ビートル)のシャシーにFRP製ボディーを載せたものが主流だったが、こちらは軽ボンネットトラックであるフェローピックアップのフレームにやはりFRP製ボディーを架装している。1968年の東京モーターショーにショーカーとして展示されたところ好評を博したため、1970年に100台限定で市販化された。

ショーカーにはビーチ、スピード、カントリーの3タイプがあったが、市販型はビーチに近い仕様で、登録は定員2人+最大積載量150kgの軽トラックとなる。最高出力26PSを発生するフェロー用の水冷2ストローク356cc 2気筒エンジンをフロントに積み、4段MTを介して後輪を駆動する。最高速度は95km/hとフェローの110km/hよりも遅くなっていたが、FRPボディーにより車重は50kg前後軽い440kgにおさまっていたため、加速性能は向上していたと思われる。

写真では取り外されているが、可倒式のウインドスクリーンとロールバーの間には簡易なビニール製のトップが張られる。メーター類やステアリングホイールなどはフェローピックアップのものを流用しているが、バギーらしいオフロード走行を考慮してエンジンのアンダーガード、助手席アシストグリップ、2点式シートベルトなどを標準装備。価格は37万8000円で、それまでフェローシリーズで最も高価だったSS(36万5000円)よりも高かった。

なお、1970年公開の日活映画『女番長 野良猫ロック』(主演:和田アキ子)では、藤 竜也が演じた不良のボス格がステアリングを握るフェローバギィが、その小柄な車体を生かして地下のショッピングアーケードを含む新宿の街を縦横無尽に駆け回る姿を見ることができる。

[GAZOO編集部]

【連載全12話】日本のオープン2シーター

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