限定仕様車だけのエメラルドグリーンに惚れ込んで。ユーノス・ロードスターSRリミテッド(NA8C型)

  • マツダ・ロードスター(NA型)

光沢あるエメラルドグリーンのボディカラーと背景のコントラストが映えるNA8C型ユーノス・ロードスター

このSRリミテッドという限定仕様車にだけ採用された限定カラーの『スパークルグリーンメタリック』の美しさに惚れ込んで購入を決意したというのが、オーナーの秋山さん(36才)だ。

新卒で会社員となった21才のときに新車で購入したホンダ・エアウェイブが人生初の愛車だったという秋山さん。

「無限のエアロでカスタムされたエアウェイブを見たときにカッコいいと思い、ディーラーで同じカスタムを純正オプションで選んで注文しました。当時の趣味が風景や鉄道写真を撮ることで、機材も大きな三脚などを持ち運ぶ必要があったので自分にとってはちょうどいい大きさのクルマでした」

  • マツダ・ロードスター(NA型)のヘッドライト
  • マツダ・ロードスター(NA型)のサイドミラー

その後、結婚をキッカケにあらたなクルマへ乗り換え。当時奥様がマツダディーラーに勤務していたため、社割が利くという理由から奥様の職場を通じて購入するためにマツダディーラーを家族で訪れることに。

「最初はアテンザを買うつもりでいたんですが、試乗してみると意外とフロントノーズが長くて街乗りに不安を感じたんです。

そこで営業の方から『CX-5にも乗ってみませんか?』と勧められて試乗したところ、車高が高くて視界が見やすいし、いままでと比べて乗り味も新鮮だと感じて気に入りました」

4年間ほどCX-5に乗ったあとは「乗り降りが気楽なスライドドアのクルマに乗り換えたい」という奥様の意見によってホンダ・フリードへ。サイズ感のちょうど良さ、さらに以前に秋山さんの愛車だったエアウェイブとエンジンなどの共通点が多かったということが後押しになったという。

  • マツダ・ロードスター(NA型)とオーナーの秋山さん

このフリードは2017年から現在まで、ひとり息子も乗る秋山家のファミリーカーとして現役を続けているという。

そのいっぽうで「正直言って運転するのがずっと退屈だったんですよね。そこまでクルマに詳しいわけじゃなかったんですけど、なんとなく憧れと興味はあって、マニュアル車にずっと乗りたいと思っていたんです」

秋山さんのロードスターは、そういった状況のなかで、日常使いとは別に趣味のセカンドカーとして手に入れた1台だったという。

「クルマを探し始めてから最終的にこのロードスターを買うまで1年くらいかかったんですけど、途中から選択肢は初代のNA型ロードスター1本でしたね」と秋山さん。
いろいろなクルマの情報を調べていくうちに、ロードスターの設計思想や歴史、そして『NA』という型式が秋山さんのイニシャルと同じという点にも不思議な共感を覚えたという。

  • マツダ・ロードスター(NA型)のレールランプ
  • マツダ・ロードスター(NA型)のリアバンパー

「このSRリミテッドのロードスターはフリマサイトで見つけた1台でした。限定モデルということもあってなかなか出てこない個体だったし、値段も安かったんですよ。だけど北海道の函館市で乗られていたので年式的にもサビが不安で、オーナーさんに色々質問しました。

そうしているうちに、偶然仕事で北海道に出張に行く機会ができたんです。そこで『実際に状態を見て、良ければ買わせてください』と相談し、函館を訪れました」

そこで初めて生で見たSRリミテッドの限定色『スパークルグリーンメタリック』の美しさに魅了され、その場で購入を即決。現車引き渡しというカタチで購入に至ったという。

出張先で現車を引き渡してもらうという展開もびっくりだが、このエピソードにはさらに続きがある。
なんと、引き渡し後のロードスターに乗り、そのまま北海道から自宅のある埼玉県まで自走で帰宅したのだという。

  • マツダ・ロードスター(NA型)のロゴとヘッドライト

「購入後まずは函館のマツダディーラーに持ち込んで『このあと埼玉まで走って帰る』と予定を説明して点検をしてもらいました。そこで不具合もなかったので、函館から青森までフェリーに乗り、青森からは高速道路で帰りました。2018年の9月30日のことです」

秋山さんがその日付までを詳細に覚えているのは、まさにこの日、本州に首都圏の計画運休が実施されるほどの台風が直撃するタイミングと重なったためだった。

「フェリーも運休する可能性があったんですが、無事に青森には到着できて、夜の21時に青森を出発して朝の8時に埼玉に到着しました」と秋山さん。

帰り道はまさに北上する台風に向かうコースとなり、愛車となったばかりのロードスターで暴風雨のなかを突き進んでいったという。

  • マツダ・ロードスター(NA型)のステアリング

「そこでひとつ車体のトラブルが見つかりました。経年による不具合で窓にすき間ができてしまう状態だったんです。だからすき間から雨水がすごく入ってきて大変でしたね。

仕事から帰る道のりは同僚と一緒だったんですけど、気を利かせて車内で話しかけてくれてもまったく聞き取れないくらいうるさくて(笑)」

そんな、秋山さんと愛車との絶対に忘れられない購入時のエピソードも、今となっては良い思い出。帰宅したあと、パワーウインドウの調整と、水まわり一式およびタイミングベルトの交換を経てからは、ほとんどトラブルと無縁に乗り続けることができているそうだ。

  • マツダ・ロードスター(NA型)のホイール
  • マツダ・ロードスター(NA型)の幌

「ホイールを変えたりしたこともあるけど、結局純正が一番に思えて戻してしまうんです」というエクステリアでは、幌のカラーリングが深緑へ変更されているのがほぼ唯一の変更点。

経年劣化が目立った黒い純正品からの交換だが、色選びは悩みに悩んだ結果、黒ほどコントラストが際立たないカラーを選ぶことにしたという。

  • マツダ・ロードスター(NA型)のシフト、サイドブレーキ
  • マツダ・ロードスター(NA型)のシート

また、めっき仕上げのアルミホイールやミラー、ドアノブなどの純正エクステリアとのマッチングを考え、インテリアのサイドレバー、シフトノブを変更。シートは腰痛対策のために人間工学からシミュレートされたというミューレン製に変更されていたが、撮影後には純正へ戻すという。

「座り心地はとても良くて気に入っていたんですが、ロードスターに付けたら座面が純正よりも高くなってしまって」と少し残念な様子だった。

前述の通り、日常のファミリーカーとして活躍するのはフリードだが、秋山さんにとってロードスターは欠かせない存在になっているという。

「しょっちゅう乗るわけじゃないですけど、しばらく乗らずにいると無性に乗りたくなってくる魅力があるんですよね。特にアクセルやハンドルのレスポンスの良さが気持ちよくて、街乗りで交差点を曲がるだけでも楽しい。ロードスターで遠出をしようと思うときも、わざわざ高速を使わず下道を使いたくなるんです」

  • マツダ・ロードスター(NA型)のエンジンルーム
  • マツダ・ロードスター(NA型)の横でほほ笑むオーナーの秋山さん

そんなロードスターのナビシートに、最近では4才になった息子さんが乗ることも多くなったと秋山さん。

「ドライブに行く前に、息子から『パパのブーブー乗りたい』って言ってくれるようになったんです」と運転する楽しさ以外にも思わぬ嬉しいできごとがあったことも教えてくれた。

そして、それをキッカケに新たな目標となったのが、その息子さんが免許を取るまで愛車のロードスターに乗り続け、車体を引き継いでもらうという未来だ。

  • マツダ・ロードスター(NA型)の左リア

発売から四半世紀が経過し、クルマの技術が進歩し続ける現在においても、その唯一無二の乗り味やスタイルに魅了される人々を生み出し続けているロードスター。

これからも、その魅力は不変のものとして秋山さん自身、そしてきっと息子さんにも伝わっていくことだろう。

取材協力:フェスティバルウォーク蘇我

(文:長谷川実路 / 撮影:堤 晋一)

[GAZOO編集部]

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