抽選倍率10倍以上!! FFニュル最速を誇ったシビック・タイプRは贅沢な家族空間に

  • ホンダのシビックタイプR(FK2型)とオーナーのやっはーさん

『タイプR』…それはシビック、インテグラ、NSXなど歴代のホンダ車において、スポーツモデルの最上位グレードにだけ与えられてきた特別な称号だ。

やっはーさんの愛車は、グリルに輝く赤いエンブレムが象徴するように、そのタイプRにあたるモデル。しかも、このFK2型シビックタイプRは、日本国内では2016年に抽選によってわずか750台だけ販売されたという、特に希少な限定車モデルという扱いだった。

そんなシビックタイプRを相棒に過ごすやっはーさんは、幼少期からトミカで遊んで育ち、免許を取得する18才を迎えるころには生粋のホンダ党に育っていたという。

「F1のアイルトン・セナの影響がとくに大きかったと思います。それに、父もホンダのクルマ(ラファーガ)に乗っていたのもありますね」

  • ホンダのシビックタイプR(FK2型)のアイルトン・セナのステッカー
  • ホンダ・CR-X

そして、初めての愛車に選んだのはホンダのコンパクトスポーツとして知られるCR-X(EF8)だった。
「VTECのエンジンが載っているクルマがどうしてもほしかったんです。当時はインテグラのタイプRが出たばかりで、そちらにも憧れたんですが、予算の問題でシビックのEG6とも悩んだ結果、カタチも気に入っていて手頃だったCR-Xにしました」

この頃にはF1から始まったモータースポーツへの興味は国内レースにも広がっていた。JTCCや全日本GT選手権を現地観戦するようになり、気づけばホンダのワークスチームである無限を応援するファンになっていったという。

  • ホンダの初代フィット
  • ホンダのS2000

「自分のCR-Xも少しずつエアロパーツなど無限が出しているアフターパーツを付けてイジるようになっていきました。

それから、2007年に初代フィットに乗り換えました。ちょうどモデルチェンジ直前でしたが、1.5Lのマニュアルがあったのと、黄色いボディカラーの無限仕様の初代フィットがカッコいいと思ったのが決め手でした。そのときもディーラーオプションで付けられる無限のパーツはほとんど注文しましたね」

2014年ころにはホンダのライトウェイトFRスポーツとして知られるS2000も手に入れて、2台の愛車を同時に所有するカーライフを楽しむ時期もあったという。

「当時はいまほど値上がりもしていなくて、友人が売ると言うので『それなら自分が乗ってみたいな』と。ほぼノーマルのままでしたが2年間ほど乗って遊びましたね。そんなわけで今まで乗ったクルマは全部ホンダのマニュアル車です。でも、クルマに乗り始めてからずっと憧れだったタイプRにはまだ乗れてなかったんです」

  • ホンダのシビックタイプR(FK2型)のグリル
  • ホンダのシビックタイプR(FK2型)のハンドル
  • ホンダのシビックタイプR(FK2型)の右前

そんななか、シビックタイプRが日本でも限定販売されるというニュースが飛び込んできたのは、2015年のことだった。

「その年の東京モーターショーで実物が展示されるということで見に行ったんです。そして特設サイトで募集をしていた750台の販売台数に対して倍率は10倍以上になっているということも耳にして、どうせ無理だろうと思ってダメもとで申し込んだら、そのあとまさかの当選の連絡が届いてしまって(汗)」

  • ホンダのシビックタイプR(FK2型)の運転席に座るやっはーさん

申し込み時点では当選という未来はまったく想像していなかったと当時を振り返るやっはーさん。そのときの愛車だったフィットも、まだまだ現役で乗り続けるつもりで半年前にホイールを買い替えたばかりというタイミングだったそうだ。

「『タイプRが当たっちゃったんだけどどうしよう?』と嫁さんに相談したら、『せっかく当たったんだから』とOKももらって、乗り換えることになりました」

ちなみにそんな奥様とは2010年にご結婚されたというやっはーさん。
出会った当初はクルマへの興味も薄かったそうだが、いっしょに過ごすうちにいまではやっはーさんの趣味のレース観戦もいっしょに楽しむほどに理解を得られるようになったという。

  • ホンダのシビックタイプR(FK2型)のエンジンルーム
  • ホンダのシビックタイプR(FK2型)のニュルブルクリンクのステッカー
  • ホンダのシビックタイプR(FK2型)のサイドステップ

こうして家族の了承も得て、長年の悲願だったともいえるシビックタイプRに乗ることになったやっはーさん。

「初めて乗ったタイプRは、やっぱり速いクルマだなというのが第一印象でしたね。正直言って、自分にとっては馬力がありすぎると思うくらいのパワーがあります」

それもそのはず、FK2型シビックといえば、ニュルブルクリンク北コースでの市販車タイムアタックで当時のFF最速タイムを誇っていた車種である。
その心臓部である2リッターのVTECエンジンにターボを組み合わせたタイプRのエンジンは310psの出力を発揮するスペックが備わっているのだ。

エクステリアはタイプRとしてのノーマル状態から、サイドとリヤ部にDIYで赤いラインを追加。
これは欧州仕様のタイプR GTのデザインの特徴であるアンダーパネルの赤いラインをモチーフにした装飾で、シンプルながら引き締まったスポーティな雰囲気を演出してくれる。

  • ホンダ・シビックタイプR(FK2型)の後席のチャイルドシート

そして、やっはーさんのシビックタイプRの一番のこだわりとも言えるのが車内の環境だろう。取材時には3才になったという娘の世奈(セナ)さんのために、チャイルドシートをリヤシートに装着してるのだ。

「チャイルドシートのメーカーから『FK2には適合がないから売ることができない』といちど断られたのですが、どうしても必要だと販売店さんにも協力してもらって、なんとか無事につけることができました」とやっはーさん。

さらに、ルーフ部にはリヤシートでくつろぐ娘さんが退屈しないようにフリップダウンモニターを後付けで追加するなど、スポーツグレードのタイプRでありつつもファミリーカーとしての役割も担っているというわけだ。

  • ホンダのシビックタイプR(FK2型)のリア

「抽選に申し込んだときは半分記念のような感じでしたが、いまとなっては『当選して良かった!』と心から言えるクルマですね」というやっはーさんからは、シビックタイプRオーナーとしての充実したカーライフを過ごしているということがひしひしと伝わってくる。

娘さんとは0才のころからこのシビックタイプRに乗って、スーパーGTを現地観戦することが家族の恒例行事として続けているそう。

「このままGT好きに育ってくれたら嬉しいんですけどね(笑)」と未来への期待も語っていただいた。

  • ホンダのシビックタイプR(FK2型)とやっはーさんの娘さん

最後にやっはーさんから取材後に送っていただいた娘さんと愛車の2ショットも掲載させていただこう。これからもシビックタイプRといっしょに元気に成長していく姿が、やっはーさんにとって楽しみでいかたないだろう。

取材協力:フェスティバルウォーク蘇我
(⽂: 長谷川実路/ 撮影: 堤 晋一)

[GAZOO編集部]

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