まるでデコトラ! ド派手な焼き芋屋「金時」

今年3月、ネット上で1台のクルマが注目を浴びました。色とりどりに光るライトや長く伸びたマフラーなど、「デコトラ」路線のド派手な装飾のクルマ。実はこちら、焼き芋屋なのです。

なぜ軽トラじゃなく、こんなにも前衛的な焼き芋販売車なのでしょうか? 持ち主の山脇弘道さんと木崎公隆さんにお話を聞いてみました。

現代アートユニット「YOTTA(ヨタ)」の山脇さん(写真左)と木崎さん

焼き芋販売車の名前は「金時」。さつまいもの品種である「鳴門金時」に由来しているそうです。このクルマ自体が現代アートユニット「YOTTA(ヨタ)」の作品で、実際に焼き芋を販売しています。

制作でもっとも苦労したのは、「外部電源に頼らずライトを光るようにしたところ」だそう。

――どのようなきっかけで焼き芋販売の活動を始めたのでしょうか?

「そもそもは、2010年に行われたアートイベント「六本木アートナイト」へ出品をするために『金時』を作りました。アート制作には、日本文化をテーマに取り入れているのですが、日本独自だろうと思われる焼き芋屋を最近はあまり見かけなくなったことに気づきました。関東ではまだ見かけるという人もいるのですが、我々の地元である関西方面はほとんど見かけません。そこで、失われつつある焼き芋屋を作ることがアートになるのではないか、と考えたのです」

「使用しているクルマはトヨタ・センチュリーです。最高の焼き芋を作る上で、クルマも最高のものにこだわろうと思いました。日本車の中でも最高のクルマを考えた時に、センチュリーがパッと浮かびましたね」

本格的な焼き芋窯を搭載

――周りからの反応はいかがですか?

「最初に興味を持ってくれたのはデコトラ業の方々でした。たくさんのデコトラと一緒に『金時』を並べるイベントを開催したり、デコトラ雑誌の編集部に取材されたり」

「六本木アートの後は他の作品制作などで放置ぎみだったのですが、今年3月に2週間ほどお試しで路上販売をして、11月からは本格的に活動しています。反応としては、おじさんはクルマに、おばさんは焼き芋に興味を持って近づいてくれます。特におばさんたちは、こんなに目立つ装飾をしていても、まったく気にせず焼き芋を買う様子が面白い(笑)。若い人たちはまずクルマの姿に驚いて近づいた後、焼き芋屋だと知ってさらに驚く人が多い印象です」

「路上販売を始めた当初は警察に呼び止められることが多かったのですが、最近は世間でもそこそこ周知されたのか、止められることはなくなりましたね。路上で販売するにあたっては、道交法違反にならないよう陸運局などでしっかり調べました。派手な改造に見えますが、すべてルーフキャリアやトランクにモノを載せている状態です。こうしておくと、積み荷扱いになるんですよ」

さつまいもは鳴門金時のブランド「里むすめ」を使用

――最後に今後の展望をお聞かせください。

「いまのところは、物珍しさで興味を持ってくれる人が多いと思います。今後は定期的に販売することで、普通の焼き芋屋として認識してもらえるようになると面白いですね」

「金時」は、2015年1月中旬まで、杉並区を中心とした都内で焼き芋の移動販売を行う予定だそうです。販売場所は公式サイトに掲載されているので、興味がある人はぜひチェックしてみてください!

(杉山大祐/ノオト)

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[ガズー編集部]