カメラで監視も セルフ式ガソリンスタンドの裏側

ドライバーなら誰もが利用するガソリンスタンド。最近はセルフ式の店舗が多くなってきましたね。今回は、セルフ式ガソリンスタンドの現役スタッフに、体験談やエピソードを聞いてみました。

まず、「今までで一番印象に残っている出来事は?」と質問すると、こんな答えが。

「やはり東日本大震災のときのことはよく思い出しますね。仕入量が極端に減ってしまったので、やむなく整理券を発行して給油制限をしました。なかには被災して福島から来た方もいて、『どうしてもすぐにガソリンが欲しい』と懇願されました。融通したいけど、そうすると待っている他の方に不公平になってしまうし……。辛かったですね。正常な状態に戻るまでに2カ月くらいかかりました」(埼玉県・Wさん)

震災のときはスーパーやコンビニなどの商品も品薄になったり、混乱していましたね。被災地近辺だけでなく、首都圏でもガソリン不足が続いたようです。

「夕方5時くらいだったかな。小学校低学年くらいの男の子が歩いて入ってきました。よくよく話を聞くと、どうやら家出してきた様子。警察に連絡して、ご両親に迎えにきてもらいました。後で聞いた話では、その子の家は20km以上離れた場所。なぜうちの店を目的地にしたのか、いまだに謎です」(埼玉県・Wさん)

その子が憶えている一番遠い場所が、ガソリンスタンドだったのでしょうか。

「うちの店では定期的にサービスイベントをおこなっています。先日『1回20リットル以上・満タン給油でティッシュ1箱プレゼント』という企画をやったのですが、あるお客さんが60リットルをわざわざ20リットル×3回に分けてレシートを持ってきて『ティッシュ3箱くれ』と言われ……。夫婦が40リットルを2回に分けて、別々でレシート持ってきたことも。その後、『分けて給油するのは禁止です』という注意書きを貼りました」(千葉県・Sさん)

うーん、プレゼントと聞くと、「できるだけ多く欲しい!」という気持ちになってしまうのも理解はできますが……。

さらに、「ガソリンスタンドのスタッフしか知らないようなことがあったら教えてください!」と聞いてみると、こんな答えが。

「1年でいちばん忙しいのは年末です。特に大晦日前の1週間は大忙し。普段はそれほど動かない洗車機も1日中フル稼働です。年末が近づくと、少し憂うつな気分になります」(埼玉県・Uさん)

やはりみなさん、「今年の汚れ、今年のうちに」なんでしょうか。ちなみに元旦以降はそれほど混んでいないとのこと。店舗によって異なるので一概には言えませんが、ゆっくり洗車したい場合は、年末よりお正月のほうがおすすめかも?

「ガソリンスタンドでは、どの時間帯にも必ず危険物取扱の指定の資格を持った者を置かなければいけません。昨年、資格を持っている先輩が1人辞めてしまって、僕に白羽の矢が。資格を取って時給はアップしましたが、そのぶん責任も増えるし……。ちょっと複雑な心境です」(埼玉県・Uさん)

危険物取扱者免状には甲種・乙種・丙種があり、乙種は取扱内容によって1類~6類に分かれています。セルフスタンドの場合は、甲種または乙4種を持ったスタッフが常駐する必要があります。

「セルフ給油の様子をスタッフがカメラで確認→解除ボタンを押す→給油、という流れになっています。油種の間違いを防ぐなどの理由です。ちょっとあやしいな、というときは『軽油で大丈夫ですか?』とお客様に確認するようにしています。なかには『軽自動車だから軽油でいいんでしょ?』と勘違いしている人も」 (千葉県・Sさん)

セルフ店でもカメラで確認しているんですね。よく「画面のメーターが0になってから、給油を開始してください」と注意書きがありますが、その間に店内のスタッフが解除ボタンを押しているそうです。

普段よく使うガソリンスタンドも、働いている方たち側の目線から見てみると、また違ったふうに感じられますね。あなたの街のガソリンスタンドにも、いろんなエピソードや裏事情があるのかもしれません。

(村中貴士+ノオト)

[ガズー編集部]