【買ってみた】クルマを載せる積載車を買って感じたメリット・デメリット

クルマを何台も所有している仲間は何人もいます。彼らと時々話すのは、「クルマを何台も持っていても仕方ないよね。だって、乗る人間は一人しかいないのに」ということ。確かに乗るクルマが複数あっても、一度に乗れるクルマは1台だけです。しかし、1台以上を動かすことができる方法が1つだけあります。それは「積載車にクルマを積む」という方法です。

積載車の購入をもくろむようになったのは、昨年のこと。1週間に4人から「クルマを運べる積載車、どこかにない?」という問い合わせが来たことがきっかけで検討を始めました。確かに積載車があれば、イベントで仲間のクルマを運んだり、動かなくなったクルマを動かしたりすることができます。そして遠くまでクルマを運んでおろした後に、1人で帰ってこられるのも積載車ならではでしょう。

昨年秋の終わり頃に積載車を購入。購入から実際に運転してみて感じた、業者ではない筆者が積載車を持つメリット・デメリットを紹介します。

買ってよかった!? 積載車のメリット

1、 積載車は見た目が意外とカッコいい

筆者の買った積載車は、極東開発工業というメーカーの「フラトップ」というすべて地面まで荷台が降りるタイプの日野デュトロのトラックです。この荷台は筆者にとって、こだわりのポイント。仲間はハイドロのシトロエンや車高の低いスポーツカーの人も多く、ほぼフラットに積み込めるタイプの荷台を探していました。リアのオーバーハングが長く、全長が7.5mほどあるので、かなり長め。キャビンもワイドボディの3人掛けタイプです。

このプロポーション、購入してから気づいたのですが意外と「カッコいい」。正直この一点をもって、買ってよかったと思えるほどでした。

私のように「主に仕事として使うわけではなく」所有している身からすると、昇降する荷台に機能美を強く感じてしまう

男子は働くクルマが好きですね。トラックという時点で心躍る部分はあるのですが、このプロポーションは自動車のデザイン的に美しく見せる定石のようなところも感じました。さらにその荷台が昇降! これはクルマ好きとしてテンションの上がるポイントでした。

2、 積載車の運転席は見晴らしがいい

トラックはGTカーではありません。ドライバーにとっての快適性はクルマづくりの主眼ではなかったはずです。しかしながら躯体のレベルについては、乗用車の比ではないと感心させられました。まずミラーが大きいため、クルマ自体の死角が少なく運転しやすいことに気づきました。ただし、クルマを積んでいるときは状況が変わるため、十分注意が必要ですが。

カーブに差し掛かって旋回する際は、ハンドルを切った分だけしっかりとクルマが曲がってくれます。ハンドリングの不快さやわずらわしさを感じることはありません。

そして何より、見晴らしがいい。アイポイントが高いのは運転していて非常に楽です。河川敷の道を走れば、乗用車では見ることのできない花々にいち早く気づくことだってできます。見晴らしの良さがもたらしてくれる恩恵は少なくないと感じました。

3、 オートマチックをチョイスしたのは正解

クルマを積載しているときでも、排気量4900㏄のディーゼルエンジンですので、加減速は変わらずにしてくれます。燃費も著しく悪化するということはありません。変わらないパフォーマンス、スムースな運転をサポートしてくれるのは、オートマチックを選んだおかげのようです。

私の場合、仕事のためというよりも「クルマを運べるマイカー」という側面が大きいので、マニュアル車も探したのですが、最初の積載車だったという面でもオートマチックの選択は間違っていなかったように思います。

クルマを預かって実際に運んだ時の写真。余裕あるエンジンは積んでいても積んでいなくてもパワー不足を感じることはほとんどない

積載車のデメリット

1、積載車は値段が高い!

いざ積載車を探すと、価格がかなり高いことがわかります。新車だと600万円以上見ておく必要があるでしょう。積載車を購入する場合、通常事業のために購入するケースがほとんどで、「ないと収益が上がらないクルマ」という位置づけなため、どうしても売り手が有利に。そんな状況が流通価格のベースになっているようです。
ですので、中古車といっても10万キロ以下のクルマはかなりいい値段します。300万円を切るとなると、年式的にも5年以上経過、走行距離15万キロオーバーも珍しくありません。

このカラーリングは前のオーナーのままだが、どことなくかわいらしいので気に入っている。写真はfun2meetingで友人の愛車を載せてみた時のもの。愛車を積載し、自分が運転席に座る友人。こんなに喜んでくれるとは思わなかった

筆者の購入したクルマは、大垣の中古車店が在庫していたクルマで購入時点で走行距離28.3万キロ(!)の日野・デュトロ。すべて含めて車検付き(1ナンバーなので車検は1年ごと)。筆者の自宅の川崎まで納車してくれて200万円でした。これは業販価格よりも安いかもしれません。なぜなら、購入したクルマにはいくつか中古車としてのマイナスポイントがあるからです。

・「沖縄のレンタカーで使われていたクルマ」だったこと
沖縄のクルマはサビが出やすいとされています。実際、購入したクルマにも相当なサビが出ていました(笑)。

・レンタカーの履歴をみたら、相当酷使されていた
・レンタカー会社のロゴが残っている
某レンタカー会社の加盟店のクルマだったようで、赤/白の塗装やレンタカー会社のロゴがかすかに残っています。こういうクルマは中古車市場では「カンバン」と言われマイナス評価となります。

マイナスは多いですが、自社で使うのなどであれば、むしろお買い得な個体で、岐阜県の中古車屋さんは最初自社で使おうとして仕入れたクルマなのだとか。

筆者としても購入後どのくらい使うか未知数でしたが、この価格で手に入ることはそうそうないので購入することにしたのです。

2、 駐車場に保険……積載車の大変なところ

案外普通のクルマのように来てしまった積載車ですが、大変だったところもありました。

<駐車場>
ここは入るだろうと思っても大家さんの「OK」がないと置けません。そしてトラックを置くスペースは人気ですぐに埋まってしまいます。私は自宅から2キロくらい離れた、細い道の奥に見つけたスペースに置いています。これは現地に密着した不動産屋さんをまわって見つけ出しました。

<保険>
安い通販型自動車保険などは、そもそも1ナンバーを取り扱っていない場合も多いでしょう。思っていたよりも高く、1日1000円くらいのコストがかかることに。ちなみに後から「3トン積みの方が運べるクルマも多くよかったかも」とも思ったのですが、「2トンまで」という保険プランもあったので安易に大きなクルマを選ぶと大変なことになっていたかもしれません。

<燃料関連>
私のクルマはすでに28万キロ以上を走っていたので、過走行のクルマに定評があるWAKO’Sのフューエル1という添加剤を3本連続投入しました。入れたとたん音が静かになったようで、効果を体感しました。燃料は軽油、満タン100リットルのタンクです。何か用事で半分くらいになったら満タンにするという入れ方なら、1回につき3000円から4000円くらいというコスト感です。

<そのほか>
シガーソケットで携帯など充電しようとする場合、24V というトラック用のものが必要です。乗用車と同じものをそのまま使うと壊れるので注意しましょう。

結論:クルマ好きは積載車を持っていていいかも?

結論としては、各自が1台ずつ持つ必要はありませんが、持っていると便利だし、乗用車とは違う発見を楽しめるクルマだと思います。複数台クルマを持っていて、大きなクルマが好きな人なら所有するのもアリかも。

(中込健太郎+ノオト)

[ガズー編集部]