もしもの時に。知っておきたい「非常電話」の仕組みと使い方

ドライバーなら必ず目にしたことがある「非常電話」。でも、実際に中身を見たことがある人は少ないのではないでしょうか。今回は非常電話の仕組みと使い方について、詳しくお聞きしてきました。ご回答いただいたのは、東日本高速道路株式会社(NEXCO東日本)広報課の天神正博さんです。

――非常電話はどれくらいの間隔で設置されているのでしょうか? また、中身はどうなっていますか?

弊社で管轄している高速道路では1kmおきに1つ、トンネル内は200mおきに設置されています。SAやPAにもあります。
種類は受話器だけのタイプと、押しボタン式の2つです。かつてはダイヤル式も使われていましたが、現在設置されているのは米沢南陽道路の1か所のみとなっています。

非常電話の外観。右はトンネル内に設置されているボックスタイプ
非常電話の外観。右はトンネル内に設置されているボックスタイプ

――どのように使えばいいのでしょうか?

受話器を上げるとすぐにつながる仕組みになっています。手順は以下の通りです。

1. 事故や故障などが発生したら、受話器を上げてください。弊社の道路管制センターにつながります。

非常電話の内部。(左)ボタンなし、(右)ボタン式
非常電話の内部。(左)ボタンなし、(右)ボタン式

2. 故障、事故、救急、火災の表示がある非常電話の場合、あてはまるボタンを押してください。横にあるランプが点灯します。ボタンがない非常電話についても、受話器を上げただけでおおまかな位置が特定できるのでご安心ください。電話機の上部にも「南関東下り55」「山辺 内回り 6」など、その地点が表示されています。

ボタンは「故障」「事故」「救急」「火災」の4つがあり、押すと道路管制センターに通知される
ボタンは「故障」「事故」「救急」「火災」の4つがあり、押すと道路管制センターに通知される

3. 道路管制センターの係員が応対します。一方的でかまいませんので、わかる範囲の情報(何が起こったのか、けが人の有無、クルマが車線上にあって危険かどうか、など)をお話しください。もし会話が困難な場合、受話器を叩くなどの合図で緊急事態の発生をお知らせください。

4. 緊急対応が必要と判断された場合は、道路管制センターの指示により交通管理隊(高速道路のパトロールを行っているスタッフ)が現地に急行します。また、道路情報板の点灯により後続車に注意喚起をうながすなど、適切な対応をします。

道路管制センター側の画面。受話器を上げただけで、おおまかな位置が表示されるシステムになっている
道路管制センター側の画面。受話器を上げただけで、おおまかな位置が表示されるシステムになっている

――道路緊急ダイヤル(#9910)もありますよね。どのように使い分ければいいのでしょうか?

最近は携帯電話からの通報も増加していますが、気が動転している場面など、現在地を正確に伝えることができないケースもあります。
受話器を上げただけでおよその位置が特定できるため、非常電話を使用していただく方が早く対応できます。もし近くにない場合は、110番または道路緊急ダイヤル(#9910)におかけください。

――その他にも、新しいタイプの非常電話があるとお聞きしました

トンネル内の大騒音下でもクリアな音質で通話できる「骨伝導式」の非常電話ですね。正確にお客さまの声を聞き取ることが可能で、現在は数か所で試行中です。従来のハンドセット(送受話器)に骨伝導マイクを組み込んでおり、操作方法は通常の非常電話と同じです。

骨伝導式非常電話機
骨伝導式非常電話機

遠方への旅行中など、見知らぬ場所で事故に遭遇した場合、いま自分がどこにいるか分からないことも多いでしょう。非常電話は受話器を上げるだけで、おおまかな場所が道路管制センターへ通知されるため、すばやい対応が可能となります。
事故や火災など、いつ起きるかわからない緊急事態。後続車への二次被害を防ぐためにも、冷静かつ迅速に対応することが大切ですね。

(取材・文・写真:村中貴士 編集:ミノシマタカコ+ノオト)

[ガズー編集部]

取材協力